会計ソフトを導入しようと考えたときに、「弥生会計」を目にした方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
弥生会計は数ある会計ソフトのなかでもナンバーワンの売り上げ実績を誇る人気のソフトです。
この記事では弥生シリーズのラインアップや、人気の理由である弥生会計のメリットなどをご紹介します。
また弥生シリーズのなかで特におすすめできるソフトもご紹介するので、会計ソフト選びで悩んでいる方は必見です。
対象 | ソフト名 | 料金 |
---|---|---|
個人事業主 | やよいの白色申告 オンライン | 無料 |
やよいの青色申告 オンライン | 初年度:無料〜 2年目以降:10,300円/年(税抜)〜 |
|
中小規模法人 | 弥生会計 オンライン | 初年度:無料〜 2年目以降:27,800円/年(税抜)〜 |
福留 正明
1.弥生会計とは?特徴や種類を解説
弥生会計(弥生シリーズ)は、弥生株式会社が提供する国内でも有数の会計ソフトブランドです。
弥生シリーズは数ある会計ソフトのなかでも特に人気が高く、25年連続売上実績ナンバーワン、登録ユーザー数は310万を突破しています(2023年7月時点)。
弥生シリーズが初めて発売されたのは1987年であり、40年近く多くの企業の支持を集めてきたことからも、サービスの信頼性の高さがうかがえます。
操作性の高さが特長で、AIを導入した自動仕訳などが可能なため初心者でも扱いやすいことも人気の理由でしょう。
「弥生はスモールビジネスのあらゆるステップを支え続けます」という公式サイトの文言からも分かるように、弥生シリーズは個人事業主や小規模法人、中小企業でよく利用されています。
また初年度の利用料が無料になるキャンペーンを実施していることから弥生シリーズはスタートアップ企業にもおすすめできるソフトだといえます。
弥生シリーズには多くのラインアップが存在します。
弥生シリーズの会計ソフトは「クラウド型」と「インストール型」に大別できます。
ここでは、「クラウド型=インターネット上で情報の管理・処理ができる」「インストール型=ソフトをパソコンにインストールして使う」と簡単に覚えておきましょう。
弥生シリーズの会計ソフトにはクラウド型が3種、インストール型が2種あります。
以下は全5種を表にまとめたものです。
ソフト名 | 料金 | 概要 | |
---|---|---|---|
クラウド型 | やよいの白色申告 オンライン | 無料~21,000円/年 | 白色申告専用のクラウド型ソフト 永年無料で利用できる |
やよいの青色申告 オンライン | 無料~30,000円/年 | 記帳から確定申告まで可能な青色申告専用のクラウド型ソフト | |
弥生会計 オンライン | 無料~37,600円/年 | 簡単な操作で、簿記の知識がなくても経理業務や決算書の作成が可能 サポートの期間が限定される「セルフプラン」、無期限サポート付きの「ベーシックプラン」の2種類がある |
|
インストール型 | やよいの青色申告 24+クラウド | 無料~24,000円 | 操作サポートを省いた「セルフプラン」、操作質問から業務相談までできる「ベーシックプラン」、パソコントラブル対応なども可能な「トータルプラン」の3種類がある |
弥生会計 24+クラウド | 無料~127,500円 | はじめて会計ソフトを利用する方向けの「スタンダード」、部門管理や経営分析機能も搭載した「プロフェッショナル」、3台以上のネットワーク環境で使える「ネットワーク」の3種類がある |
2.弥生会計のメリット
弥生会計の会計ソフトを利用しようと考えても、具体的なメリットが分からないと導入には踏み切れませんよね。
ここでは弥生シリーズの主なメリットを五つご紹介します。
メリット1 初心者でも操作が簡単
会計や経理業務を行ったことがない、またパソコンが得意でないという初心者の方でも、弥生シリーズであれば安心です。
弥生会計の公式ホームページには以下のような記述があります。
- ・はじめての経理でも操作はかんたん。簿記の知識はいりません。
- ・経理をもっとかんたんに。とってもやさしい弥生の会計ソフト。
例えばアイコンで業務の流れが分かる「クイックナビゲータ」という機能や、簿記がわからない方向けの入力補助機能が搭載されています。
このように初心者でも簡単に使いこなせる設計が追求されており、慣れない作業に戸惑うことなく利用することができるのです。
メリット2 AIで自動仕訳ができる
弥生シリーズには「スマート取引取込」というAIによる自動仕訳機能が搭載されています。
銀行の取引データや領収書などを取り込むと、自動で仕訳をしてくれるのです。
スマート取引取込を利用するためには、「あんしん保守サポート」という有償のサポートに加入する必要があります。
有償ではありますが、弥生シリーズのサポートに加えてユーザーの業務もサポートしてくれるため、会計業務に不慣れな方は加入しておくと安心でしょう。
メリット3 種類が豊富
弥生シリーズはラインアップが豊富で、どのような方でも自分に合ったソフトやプランが選びやすいのが特徴です。
以下に弥生シリーズの会計ソフトのラインアップと各プラン、料金をまとめました。
ソフト名 | プラン | 料金 | |
---|---|---|---|
クラウド型 | やよいの白色申告 オンライン | - | 無料 |
セルフプラン | 10,300円/年(1年間無料キャンペーン実施中) | ||
ベーシックプラン | 17,250円/年(1年間無料キャンペーン実施中) | ||
トータルプラン | 30,000円/年(1年間半額キャンペーン実施中) | ||
弥生会計 オンライン | セルフプラン | 27,800円/年(1年間無料キャンペーン実施中) | |
ベーシックプラン | 37,600円/年(1年間無料キャンペーン実施中) | ||
インストール型 | やよいの青色申告 24+クラウド | セルフプラン | 8,800円(特別価格:0円) |
ベーシックプラン | 13,800円(特別価格:0円) | ||
トータルプラン | 24,000円(特別価格:12,000円) | ||
弥生会計 24+クラウド | スタンダード | 36,700~67,300円(特別価格:0~33,650円) | |
プロフェッショナル | 50,800~95,600円(特別価格:0~47,800円) | ||
プロフェッショナル2ユーザー | 77,100~127,500円(特別価格:0~63,750円) | ||
弥生ネットワーク | 288,000~1,428,000円 |
ソフトの種類が多く、またそのなかでもいくつかのプランが用意されています。
必要な機能・サポートや価格面など、自分にぴったりのソフトが見つかりますよ。
メリット4 カスタマーセンターのサポートが手厚い
弥生シリーズはサポートが手厚いことも大きな魅力です。
総座席数約700席の業界最大規模のカスタマーセンターがユーザーをサポートしてくれます。
弥生会計の導入や操作方法はもちろん、会計業務の相談も可能です。
会計業務に精通した専門スタッフが質問や相談に答えてくれますよ。
お客さま満足度調査でも94%が「満足した」と回答する弥生会計のカスタマーサポートなら、初めて会計ソフトを利用する方でも安心です。
メリット5 税理士にも利用者が多い
税理士にも弥生シリーズのユーザーが多くいます。
自社で帳簿を付け、その帳簿をもとに税理士に決算の業務を依頼しているという企業や個人事業主の方もいらっしゃいますよね。
このようなとき、同じ弥生シリーズであればデータのやり取りなどもスムーズです。
また弥生シリーズを使用している上で分からないことがあったりトラブルがあったりした場合にも、税理士に相談できるため非常に便利です。
3.弥生会計のデメリット
前章では弥生会計のメリットについて解説しましたが、導入する前にデメリットとなる点も把握しておきたいものですよね。
この章では弥生会計のデメリット2点について解説します。
デメリット1 アップデートが必要
会計ソフトは会計や税制の改正に伴うアップデートがあり、弥生会計では毎年更新が必要となります。
「あんしん保守サポート」に加入している場合は無料でアップデートが可能ですが、加入していない場合はアップデートが有料となる点には注意しましょう。
またインストール版では買い替えとそれに伴う再インストール作業が必要です。
デメリット2 帳簿のカスタマイズができない
弥生シリーズでは基本的に帳簿のカスタマイズはできません。
弥生シリーズで利用できる帳簿の種類は限定されています。
自社で独自の資料などを作成したい場合、弥生シリーズでは対応できないので注意が必要です。
4.弥生会計で自分に合ったソフトを選ぶためのポイント
弥生シリーズにはいくつかの会計ソフトがありプランも豊富なため、どれを選べば良いのか悩んでしまう方もいらっしゃいますよね。
特に初めて会計ソフトを使う方であれば、なおさらご自身に合ったソフトが分からないということもあるでしょう。
そこで、ここでは弥生会計のなかからご自身にぴったりのソフトを選ぶためのポイントを三つご紹介します。
ポイント1 クラウド型かインストール型か
会計ソフトには「クラウド型」と「インストール型」の2種類があります。
以下の図は、クラウド型とインストール型の仕組みを比較したものです。
クラウド型の会計ソフトは、端末にソフトをインストールせずにオンライン上でデータの処理や保存をします。
インターネット環境があれば作業場所を選ばず、複数の端末で使用できるため利便性に優れているのが特徴です。
また、インストール型よりも比較的安価であるというメリットもあります。
一方でインストール型の会計ソフトは、端末にソフトをインストールしてオフラインで使用します。
オフラインで使用する場合、システム障害が起こりにくく、セキュリティー性が高いという利点があります。
以下の表はクラウド型とインストール型の特徴を比較したものです。
クラウド型 | インストール型 | |
---|---|---|
インストール | 不要 | 必要 |
ネット環境 | 必要 | 不要 |
使えるデバイス | PC、スマホ、タブレットなど | インストールしたPCのみ |
対応OS | OSを問わずに使用可能 (Windows、Macの両方) |
対応のOSのみ使用可能 (Windows向けが多い) |
データの共有 | 共有しやすい | 共有しにくい |
料金形態 | 月額払いまたは年額払い | 一度購入すれば基本的に利用料はかからないが、バージョンアップの際に費用が発生するケースがある |
バージョンアップ | 自動で行われるケースが多い | 手動 |
法令改正への対応 | 自動で行われるケースが多い | 手動(対応版のインストールが必要) |
「複数の端末で利用したい」「データの共有をスムーズに行いたい」「導入コストを抑えたい」という方にはクラウド型がおすすめです。
対して「セキュリティーの高さを重視したい」「月々のランニングコストを抑えたい」という方にはインストール型が適しています。
ポイント2 法人か個人事業主か
会計ソフトを選ぶ際、事業の規模や条件に合っているかを確認することも重要です。
個人事業主と法人では、税金の種類や計上できる経費などが異なります。
それぞれに適した仕訳・決算処理を行う必要があるため、会計ソフトは「個人事業主向け」と「法人向け」に分かれているのが一般的です。
事業規模が小さい場合などは、機能が豊富な会計ソフトを導入しても機能を十分に活用し切れずかえって使いにくかったり、運用コストが高くついてしまったりするケースが考えられます。
ポイント3 サポートは充実しているか
同じ弥生シリーズでもソフトやプランによってサポート体制がどれほど充実しているかは異なります。
サポートはチャットやメールでの対応が一般的ですが、操作が分からないときなどにすぐ質問したいという方は、電話対応をしてくれるサポートプランがおすすめです。
また会計業務に関する相談ができるサポートが付いているプランもあるので、今まで会計業務をしたことがない、不安があるという方は相談サポート付きのプランを選びましょう。
5.弥生会計おすすめのソフト3選
弥生会計を導入しようと思っても、初めて会計ソフトを使う場合などはどれを選ぶべきか悩んでしまいますよね。
インストール型よりもクラウド型の方が利便性が高く、価格も抑えられるのが一般的です。
ここではクラウド型に絞り、弥生シリーズのなかでも特におすすめできる三つのソフトをご紹介します。
おすすめ1 やよいの白色申告 オンライン
ソフト名 | プラン | 初年度価格(税抜) | 2年目以降(税抜) | 無料期間 |
---|---|---|---|---|
やよいの白色申告 オンライン | セルフプラン | 0円 | 0円 | 永年無料 |
ベーシックプラン | 0円 | 11,500円 | 初年度無料 | |
トータルプラン | 10,500円 | 21,000円 | – |
やよいの白色申告 オンライン は白色申告を行う個人事業主向けの会計ソフト(確定申告ソフト)です。
やよいの白色申告 オンラインの「フリープラン」は永年無料で使えるというお得さが魅力です。
「ベーシックプラン」にはメールや電話での操作サポート、「トータルプラン」にはベーシックプランのサポートに加え確定申告や仕訳についての相談ができるサポートが付帯します。
まずは無料のフリープランを利用し、必要に応じてサポートのあるプランに変更するのも一つの手ですね。
サポートが不要という方は、コストゼロで帳簿付けや確定申告にかかる手間を削減することができますよ。
また青色申告に切り替える場合、やよいの青色申告 オンラインにデータを移行することも可能です。
法改正があると自動でアップデートが行われるため、「インボイス制度」や取引の書類を電子データで保存する際の要件を定めた「電子帳簿保存法」の改正にも対応していますよ。
おすすめ2 やよいの青色申告 オンライン
ソフト名 | プラン | 初年度価格(税抜) | 2年目以降(税抜) | 無料期間 |
---|---|---|---|---|
やよいの青色申告 オンライン | セルフプラン | 0円 | 10,300円 | 初年度無料 |
ベーシックプラン | 0円 | 17,250円 | 初年度無料 | |
トータルプラン | 15,000円 | 30,000円 | – |
弥生シリーズのなかで青色申告に特化したソフトがやよいの青色申告 オンラインです。
やよいの青色申告 オンラインの「セルフプラン」は初年度のみ無料で利用することができます。
ベーシックプラン・トータルプランの場合は初年度から料金がかかりますが、手厚いサポートが受けられるので初めて会計ソフトを利用する方にはおすすめです。
ベーシックプラン、トータルプランに付帯するサポートはやよいの白色申告 オンラインと同様です。
やよいの青色申告 オンラインからのデータ移行も可能なため、白色申告から青色申告へ切り替えることが想定される方にもおすすめです。
なおインボイス制度や電子帳簿保存法にも対応していますよ。
おすすめ3 弥生会計 オンライン
ソフト名 | プラン | 初年度価格(税抜) | 2年目以降(税抜) | 無料期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
弥生会計 オンライン | セルフプラン | 0円 | 27,800円 | 初年度無料 | 最大2カ月の無料サポートあり |
ベーシックプラン | 0円 | 37,600円 | 初年度無料 | 通年サポート対応 |
弥生会計 オンラインは法人向けのクラウド会計ソフトです。
「セルフプラン」と「ベーシックプラン」のどちらも初年度無料で利用できるキャンペーンを実施しています。
どちらのプランでも取引入力や決算書類の作成、領収書・レシートの自動仕訳、取引・残高・損益・貸借レポート、銀行口座・クレジットカード・POS(販売時点情報管理)レジとの連携などの機能を利用できます。
二つのプランの違いはサポートの内容と期間です。
セルフプランの場合サポート期間は最大2カ月間で、電話・メールでのサポートが受けられ、また仕訳や経理業務に関する相談ができます。
ベーシックプランのサポートには期間の制限が設けられておらず、セルフプランのサポート内容に加え、チャットによるサポートが受けられます。
コストを抑えたい方はセルフプラン、いつでも相談できるトータルサポートを希望する方はベーシックプランがおすすめです。
なお随時バージョンが更新されており、インボイス制度や電子帳簿保存法にも安心して対応できます。
6.まとめ
弥生会計は売り上げ実績ナンバーワンの会計ソフトであり、初めて会計ソフトを利用する方でも安心して導入できます。
弥生会計には以下のようなメリットがあります。
- メリット1 初心者でも操作が簡単
- メリット2 AIで自動仕訳ができる
- メリット3 種類が豊富
- メリット4 カスタマーセンターのサポートが手厚い
- メリット5 税理士にも利用者が多い
弥生会計はアイコンで業務の流れが分かる、簿記が分からない方向けの入力補助機能が搭載されている、AIで自動仕分けができるなど、初心者が使いやすい機能が備わっています。
またソフトやプランの種類が豊富であり、どのような方でもご自身にぴったりのソフトが見つけやすいといえます。
さらにサポートでは、会計ソフトの操作方法といった基本的なことから会計業務の相談までフォローしてもらえますよ。
基本的にはクラウド型の方が便利かつ価格が低いため、個人事業主は「やよいの白色申告/青色申告 オンライン」、小中法人は「弥生会計 オンライン」の利用がおすすめです。