相続税の相談先を選ぶときに知っておきたい三つのこと

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相続が始まると、限られた時間の中でさまざまな手続きをしなければなりません。特にまとまった額の遺産があれば、相続税の申告と納税は避けて通れない問題です。

相続税についての相談は税理士にしかできません。さらに、税額の計算だけでなく節税も視野に入れたアドバイスを期待するのであれば、税理士のなかでも「相続税専門の」税理士に相談することが重要になります。

ここでは、なぜ相続税の相談は税理士にしかできないのか、相続税に詳しい税理士はどうやって探すのかについてご紹介します。相続の相談はその内容によって適切な相談先が変わるので、上手に使い分けることが大切です。

1.相続税の相談先

1-1.相続税のことは税理士に

相続税に限ったことではありませんが、税金に関する相談は税理士にしかできません。たとえ無料であっても、税理士資格がない人が税務申告を行ったり、税額計算をしたり、税金について個別具体的な相談を受けたりすることは法律で禁止されています。

1-2.税理士なら誰でもいいわけではない

相続税についての相談先は、税理士なら誰でもよいというわけではありません。意外にも思えますが、すべての税理士が相続税に詳しいとは限らないのです。

医者と同じように税理士にも専門分野があり、税理士によって得手不得手があるということを覚えておきましょう。

多くの税理士は所得税や法人税を専門にしています。所得税や法人税は所得がある限り毎年申告・納税するので、業務に対する安定したニーズがあります。一方、相続税は一定額以上の遺産の相続があったときにしか申告・納税しないため、ニーズは限られています。国税庁の統計によると、平成25年の申告件数は、所得税は約2,140万件、法人税は約272万件であったのに対し、相続税は約5万件にとどまります。このことからも、所得税・法人税にくらべて相続税の申告に携わる税理士は限られていることがわかります。

普段から税理士とのつきあいがあると、その税理士に相続税の相談をしたい気持ちにもなるものです。しかし、所得税や法人税を専門にしている税理士は、相続税の申告をほとんど行っていないか、行ったとしても年間に数えるほどの件数であることが多いものです。懇意にしている税理士が相続税に詳しいかどうかは、前もって確かめる必要があります。

1-3.相続税の相談は相続税専門の税理士に

前の項では、相続税の相談先は税理士なら誰でもよいわけではないことをお伝えしました。税額の計算だけでなく節税も視野に入れたアドバイスを期待するのであれば、ぜひ相続税専門の税理士に相談しましょう。これから、相続税専門の税理士に相談するメリットと、相続税専門の税理士の探しかたをお伝えします。

相続税専門の税理士に相談するメリット

相続税専門の税理士に相談することには、次のようなメリットがあります。

【相続税専門の税理士に相談するメリット】
・相続税専門の税理士は税制の最新情報に詳しい。
・相続税専門の税理士は財産評価の方法を熟知していて節税提案の引き出しが豊富
・相続税専門の税理士は税額計算にとどまらない総合的なアドバイスをしてくれる
・将来、税務署の税務調査に入られにくくなる

相続税の申告ではさまざまな場面で高度な判断が求められることから、経験を積んだ相続税専門の税理士に相談するほうが安心できます。相続税専門の税理士に相談するメリットについて、もう少し詳しくご紹介します。

相続税専門の税理士は税制の最新情報に詳しい

近年、相続税法が改正されたことはご存知の方も多いでしょう。税率が改定されたほか、相続税が課税される遺産の最低金額が引き下げられたことで、相続税の負担の増加が見込まれています。

税金の制度には改正がつきものです。相続税専門の税理士であれば、税制に関する最新の情報をキャッチしています。相続税について専門知識のない税理士であれば、制度の改正などの知識が追いついていない可能性があります。

相続税は特例や控除のルールがたくさんありますので、相続税が得意な税理士でなければ過大に相続税を計算してしまう可能性があります。

相続税専門の税理士は財産評価の方法を熟知していて節税提案の引き出しが豊富

相続税を節税するポイントはたくさんありますが、その代表格が土地の相続税評価となります。これは土地について細かい評価の方法が定められており、相続税経験が豊富にないとその評価を減額するルールを上手く適用できない可能性があるためです。

このため、特に土地が財産の中にある人は相続税に強い税理士に相談に行くことが重要となります。

また土地評価以外にも小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減、各種税額控除等、相続税を節税するポイントが多くあり、それらを漏れなく適切に使っていくことも相続税の実務経験が試されるポイントとなります。

さらに生前から相続税の相談を行う場合にも、生前贈与、不動産活用、養子縁組、生命保険等、相続税専門の税理士だからこそ相談対応できるポイントが多くあります。

相続税専門の税理士は税額計算にとどまらない総合的なアドバイスをしてくれる

相続税専門の税理士は、相続税の税額計算だけではなく、節税や二次相続なども視野に入れた総合的なアドバイスができます。

相続税にはさまざまな特例があり、これらの特例を適用すると節税ができます。ただし、特例を適用するには細かな条件が定められています。相続税専門の税理士であれば、特例を適用すればどのようなメリットがあるか、特例を適用するためにはどのようにすればよいかについて、適切なアドバイスができます。

また、夫婦のどちらかが亡くなり、次に残された配偶者が亡くなるときの相続を二次相続といいますが、二次相続では、比較的短い間に相続が発生するうえ、配偶者の税額軽減が適用できないことから税負担が大きくなりがちです。相続税専門の税理士であれば、二次相続まで考慮してトータルで負担が少なくなるように相続対策を考えることができます。

将来、税務署の税務調査に入られにくくなる

相続税は税務調査の確率が20%~30%程度と高い確率となっています。そして大半の相続人が税務調査に来てほしくないという希望を持っています。

この点相続税に詳しくない税理士が申告書を作成しますと、計算誤りや検討漏れがある可能性が高くなり結果的には税務署の調査を誘発してしまう可能性が高くなってしまうのです。

相続税を得意にしている事務所であれば税務調査率が3%以下と低い数字になっていることも珍しくありませんので、実際の税務調査率を税理士に相談する際に聞いてみるとよいでしょう。

2.相続税専門税理士への相談先の探しかた

相続税専門の税理士に相談するためには、次の方法が考えられます。

・インターネットで検索する
・ 知人等に紹介してもらう

簡単な方法はインターネットでの検索です。具体的には、検索サイトに「相続税専門 税理士」などと入力して検索します。

相続税専門の税理士や税理士事務所はインターネットでの広告に力を入れていて、検索結果にはそのような税理士のサイトが数多く表示されます。それらのサイトをいくつか確認して、良さそうな税理士を探していきます。

また、インターネットで相続税専門の税理士を探すとき、1年間でどれだけ相続税を申告しているかも重要な指標になります。中には「相談件数」を実績として掲げているところもありますが、相談だけで終わって申告に至らないケースが含まれる可能性があります。

税理士に相続税について相談するときの最終的な目的は、申告書の作成・提出であることから、税理士の実績を測るには、どれだけ相続税の申告書を作成・提出したかという「申告件数」の実績が重要になります。

【相続税に強い税理士かどうかを見極める三つのポイント】
1.年間の相続税申告件数が200件以上
2.累計の相続税申告件数が1.000件以上
3.その税理士事務所の名前で検索した際に別に法人税のサービスを紹介するHPがない

この3つの条件をクリアしている税理士事務所があれば、相続税の相談先としてはまず問題がないと判断できるでしょう。

さらにここから検討するのであれば、「相続税の税理士報酬・費用」ということになるでしょう。この点については、「相続税申告の税理士報酬・相場の実態と税理士選びのポイント」の記事を参考にするとよいでしょう。

HP上に詳細な相続税の税理士報酬を掲載していない税理士事務所は、報酬が高額になる傾向がありますので覚えておきましょう。

何でも屋の税理士には要注意

医者とは違って、税理士の中には、相続税の経験が全くなくても相談に対応する税理士も多くいます。相続税専門の税理士を探すときは、こうした不得意な分野でも相談に対応する税理士もいるということに気を留めておきましょう。相続税専門の税理士を選ぶ方法は、「相続税申告を依頼する良い税理士の選び方徹底ガイド」もご参照ください。

2-1.気軽に相談をするなら

相続税の税制について基本的なことを聞きたい場合や、自分で相続税を申告するつもりで助言が欲しい場合など、気軽に相談したい場合の窓口として、次の二つをご紹介します。

最寄りの税務署

最寄りの税務署では、電話による相談や個別相談を受け付けています。税務署の窓口は全国にあるほか、無料かつ匿名で相談できる点が特長です。一方、税務署の職員が必ずしも相続税に詳しいとは限らないため、判断が難しい部分については答えが得られない場合もあります。また、節税に関するアドバイスは望めません。

最寄りの税務署の連絡先は、国税庁のサイトの「税についての相談窓口」をご参照ください。

税理士会などの無料相談

税理士会などの団体が無料相談を受け付けていることがあります。営利目的ではないため気軽に相談できるほか、事前に相談内容を伝えておけば、相続税に詳しい税理士に対応してもらえることもあります。ただし、回答は一般論にとどまることが多く、個別具体的な事項については相談できない場合があります。また、時期によっては対応していないこともあります。

日本税務研究センターでは、一般の納税者に向けた税務相談サービスを行っています。連絡先や受付時間など詳細は、公益財団法人日本税務研究センターのサイトの「税務相談室 ご利用案内」をご参照ください。

また、全国各地の税理士会が個別の無料相談会を開催することがあるので、最寄りの税理士会に問い合わせることをおすすめします。最寄りの税理士会は、日本税理士協同組合連合会のサイトの「全国の税理士会一覧」から検索できます。

3.相続”税”の相談ができそうでできないところ

世のなかには相続の相談に応じる窓口が数多くあります。相続税への関心の高まりを背景に、相続の相談に乗り出す専門家や業者は増加傾向にあります。しかし、相続税の相談となると、税理士以外の窓口では限界があることはここまでお伝えしてきたとおりです。

これからご紹介する窓口(専門家)は、個々の立場では税務相談を受けることはできませんが、相続税専門の税理士と提携していれば紹介してもらうことができます。また、相続税専門の税理士自身が弁護士や司法書士、ファイナンシャル・プランナーといった資格を持っているのであれば、より有益なアドバイスが期待できます。

地域の相続センター

近年は「相続支援センター」や「相続サポートセンター」という名称の窓口が数多く運営されています。主に行政書士や司法書士が運営しており、相続に関するあらゆる相談が1か所でできることが特長です。ただし、相続税の相談を受けてもらえるかどうかは、よく確認する必要があります。税理士が所属していたり、税理士を紹介してくれたりするセンターがある一方で、相続税の申告は別料金になったり、そもそも相続税の申告がサービスのメニューになかったりするセンターもあります。

弁護士

相続をめぐって親族の間でもめた場合に頼りになる専門家が弁護士です。当事者に代わって交渉できるのは弁護士だけで、他の資格保有者にはできません。

弁護士は制度の上では税理士業務を行うことも可能であるため、相続税の相談も一緒に依頼できればと思いがちですが、あまり現実的ではありません。先ほどお伝えしたように、相続税の相談先選びでは申告件数が重要であることから、専門の税理士に依頼することをおすすめします。

司法書士

司法書士は相続のあらゆる場面で頼りになる専門家です。相続に必要となる戸籍の取り寄せや遺産分割協議書の作成、不動産の相続登記の代行などは司法書士の業務です。また、相続放棄や調停などで家庭裁判所へ申し立てる場合も司法書士に依頼します。しかし、税務相談に応じることはできません。

ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナーは、家計の見直しや住宅の購入、保険の加入に関する相談を主な業務としていますが、相続の相談に特化したファイナンシャル・プランナーもいます。ファイナンシャル・プランナーは、相続だけでなく、税制、不動産、保険、金融商品などに関する知識があり、総合的なアドバイスが期待できます。しかし、他の専門家と同じく税務相談に応じることはできません。

保険会社

相続対策として生命保険を活用する場合には、保険会社は有効な相談先になります。しかし、相続税については、税制の一般的な事項は説明してもらえますが、他の専門家と同じく個別具体的な税務相談には応じてもらえません。

不動産会社

生命保険と同じく、相続対策として不動産を活用するケースが多くなっています。不動産会社に相談する場合も、税制に関しては一般的な説明にとどまり、個々の税額計算までは応じてもらえません。

4.まとめ

ここまで、相続税の相談は誰にすればよいかについてお伝えしてきました。相続税の相談は税理士にしかできません。税額計算だけでなく、節税など有効なアドバイスが必要であれば、相続税専門の税理士に相談するとよいでしょう。

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