freeeとマネーフォワードは、どちらもオンライン上で利用できる法人・個人事業主向けのクラウド型会計ソフトです。
仕訳を自動化するなど共通の機能がある他、それぞれ個人事業主や法人ごとの事業規模や利用シーンに合わせた料金プランが設定されています。
どちらも業界のシェアが大きく、コストパフォーマンスの高さや使い勝手の良さなど多くの魅力があるため、どちらを選べば良いか迷ってしまう方も多くいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事ではfreeeとマネーフォワードの機能や料金プランをなどを徹底比較します。
1.【個人事業主向け】freeeとマネーフォワードを徹底比較
freeeとマネーフォワードは個人事業主向けに複数の料金プランや機能などを提供しているため、どちらが良いのか迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの章では、個人事業主向けに以下の五つの項目を比較します。
比較1 料金プラン
会計ソフトの導入で初めに気になるのは料金プランではないでしょうか。
まずは以下の表でfreeeとマネーフォワードの個人事業主向けの料金プランの違いを比べてみましょう。
ソフト名 | プラン | 料金(税抜) |
---|---|---|
freee | スターター | 年払い:11,760円(月換算980円) 月払い:1,480円 |
スタンダード | 年払い:23,760円(月換算1,980円) 月払い:2,680円 |
|
プレミアム | 年払い:39,800円(月換算3,316円) ※月払いなし |
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マネーフォワード | パーソナルミニ | 年払い:10,800円(月換算900円) 月払い:1,280円 |
パーソナル | 年払い:15,360円(月換算1,280円) 月払い:1,680円 |
|
パーソナルプラス | 年払い:35,760円(月換算2,980円) ※月払いなし |
freeeの個人事業主向けの料金プランでは、最も安いスターターが年払いで11,760円、スタンダードは年払いで23,760円となっています。
マネーフォワードの料金プランは、最も安いパーソナルミニが年払いで10,800円、パーソナルが15,360円です。
2社の料金プランを比較すると、freeeよりもマネーフォワードの方が低価格で導入できることが分かります。
比較2 システムの使い勝手
ご自身にとって使い勝手の良いシステムを選ぶことも重要です。
freeeにもマネーフォワードにも有料プランのほとんどの機能を試せる無料期間が設けられているため、導入前に使い勝手を確かめておきましょう。
freeeでは全プラン、マネーフォワードではパーソナルプランを無料で試すことができます。
お試し期間を利用すれば事前にソフトの使い勝手が分かるため、導入した後に後悔するリスクを抑えることができますよ。
なお無料のお試し期間終了後、申し込まない限り自動で有料プランに移行されることはありません。
比較3 シェア
多くの人に使用されている会計ソフトはそれだけ信頼性が高いといえるため、シェアを参考にして決めるのもおすすめです。
2022年4月にMM総研が公表した「クラウド会計ソフトの事業者別シェアの推移」によると、個人事業主のクラウド型会計ソフトのシェアはfreeeが25.4%でマネーフォワードが15.5%という結果でした。
つまりfreeeの方がマネーフォワードよりも個人事業主のシェアが多いということがが分かります。
比較4 機能
会計ソフトを利用するにあたり、どのような機能があるのかも重要ですよね。
freeeとマネーフォワードの有料プランで利用できる主な機能を以下の表でまとめました。
自動仕訳機能 | 銀行口座・クレジットカードなどの連携 | 確定申告書類の作成 | 消費税申告書の作成 | 見積書・納品書・請求書・領収書の作成 | e-Taxの申告用ファイルの作成 | スマホアプリでの確定申告書類の作成・提出 | レポートの作成 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
freee | ○ | ○ | ○ | ○(※スタータープランは利用不可) | ○ | ○ | ○(※「直接編集」などの一部機能はWeb版のfreee会計で利用する必要あり) | ○(※スタータープランは損益レポート・現預金レポートのみ) |
マネーフォワード | ○ | ○(※パーソナルミニプランは電子証明書連携ソフトの利用不可) | ○ | ○(※パーソナルミニプランは利用不可) | ○ | ○ | ○ | ○(※パーソナルミニプランはキャッシュフローレポートのみ) |
有料プランの機能を見ると、freeeとマネーフォワードではほとんどの機能を同じように利用できることが分かります。
ただし連携できるサービス数や作成できるレポートの種類は、freeeの方がやや多いといえます。
なお無料期間終了後に制限される機能については、freeeとマネーフォワードで以下のような違いがあります。
制限される機能 | |
---|---|
freee | ・取引データの閲覧、編集 ・請求書類の閲覧、編集 ・書類の写真などのデータ取り込み ・仕訳帳のCSV/PDF出力 ・総勘定元帳のCSV/PDF出力 ・取引データのCSV出力 ・メンバー招待可能人数 ・確定申告書類の作成機能 |
マネーフォワード | ・仕訳登録件数 ・仕訳帳、総勘定元帳などのCSV出力 ・確定申告書と青色申告決算書(収支内訳書)のプレビューと出力 ・補助元帳のPDF一括出力 ・メンバーの新規追加 ・金融機関明細の手動取得機能 |
比較5 ユーザーサポートの内容
会計ソフトに慣れていない初心者にとって、どのようなユーザーサポートがあるのかは気になりますよね。
freeeとマネーフォワードには、それぞれ以下のようなサポートがあります。
チャット | メール | 電話 | 税務調査サポート補償 | |
---|---|---|---|---|
freee | ○ | ○ | ○ | ○(※プレミアムプランのみ) |
マネーフォワード | ○ | ○ | ○ | ✕ |
どちらにもチャット・メール・電話でのサポートが付帯しますが、freeeのプレミアムプランのみ税務調査サポート補償が付帯します。
税務調査に備えておきたい個人事業主には魅力的なサービスといえるでしょう。
2.【法人向け】freeeとマネーフォワード徹底比較
freeeとマネーフォワードには、法人向けの機能や料金プランもあります。
そこでこの章では、法人向けにfreeeとマネーフォワードについて以下の五つのポイントを比較します。
比較1 料金プラン
freeeとマネーフォワードの法人向けプランの利用料は以下のとおりです。
ソフト名 | プラン | 料金(税抜) |
---|---|---|
freee | ひとり法人 | 年払い:35,760円(月換算2,980円) 月払い:3,980円 |
スターター | 年払い:65,760円(月換算5,480円) 月払い:7,280円 |
|
スタンダード | 年払い:107,760円(月換算8,980円) 月払い:11,980円 |
|
アドバンス | 年払い:477,360円(月換算39,780円) 月払い:51,980円 |
|
マネーフォワード | スモールビジネス | 年払い:35,760円(月換算2,980円) 月払い:3,980円 |
ビジネス | 年払い:59,760円(月換算4,980円) 月払い:5,980円 |
freeeの法人向けの料金プランでは、最も安いひとり法人が年払いで35,760円、スターターは年払いで65,760円です。
マネーフォワードの料金プランは、最も安いスモールビジネスが年払いで35,760円、ビジネスが59,760円です。
freeeのひとり法人プランとマネーフォワードのスモールビジネスプランを比較すると、同じ値段であることが分かります。
freeeのスタータープランとマネーフォワードのビジネスプランの場合は、マネーフォワードの方がやや低い価格で導入できることが分かります。
比較2 システムの使い勝手
会計ソフトのシステムはソフトによって異なるため、会社にとって使い勝手が良いかどうか確かめてから選ぶことが重要です。
個人事業主向けのソフトと同様に、freeeとマネーフォワードの法人向けプランにも有料版の機能を試せる無料の体験期間があります。
freeeでは全プラン利用でき、マネーフォワードではビジネスプランが利用できますよ。
なお無料期間が終了しても有料プランに申し込まなければ、無料プランへ自動的に移行するため安心ですよ。
比較3 シェア
2017年4月にMM総研が公表した「クラウド会計ソフトの事業者別シェアの推移」によれば、法人のシェアはfreeeが32.3%でマネーフォワードが19.2%という結果でした。
シェアを見る限り、個人事業主向けと同様に法人でもfreeeの方が人気だといえます。
比較4 機能
freeeとマネーフォワードで利用できる主な機能を以下の表でまとめました。
自動仕訳機能 | 銀行口座・クレジットカードなどの連携 | 見積書・納品書・請求書・領収書・の作成 | 決算書・消費税申告書の作成 | 労務管理 | レポートの作成 | 法人税の申告 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
freee | ○ | ○ | ○ | ○ | ✕(※freee人事労務が必要) | ○ | ✕(※freee申告が必要) |
マネーフォワード | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ✕(※法人税の達人が必要) |
freeeとマネーフォワードの機能の大きな違いは、労務管理が一つの会計ソフトで完結するか否かという点です。
マネーフォワードでは、給与計算や勤怠管理などの労務管理も行えます。
また無料期間終了後に制限される機能についてもfreeeとマネーフォワードで異なるので、以下の表でまとめました。
制限される機能 | |
---|---|
freee | ・取引データの閲覧、編集 ・請求書類の閲覧、編集 ・書類の写真などのデータ 取り込み ・入金・支払い管理レポート ・仕訳帳のCSV/PDF出力 ・総勘定元帳のCSV/PDF出力 ・取引データのCSV出力 ・メンバー招待可能人数 ・決算書の作成機能 |
マネーフォワード | ・仕訳登録件数 ・補助元帳の「PDF一括出力」 ・各種CSV出力 ・金融機関明細の手動取得機能 |
比較5 ユーザーサポートの内容
freeeとマネーフォワードの法人向けのユーザーサポートは以下のとおりです。
チャット | メール | 電話 | |
---|---|---|---|
freee | ○ | ○ | ○(※ひとり法人プランは不可) |
マネーフォワード | ○ | ○ | ✕ |
マネーフォワードの法人向けプランには電話サポートがありません。
3.freeeの利用が向いている方
結論からいうと、freeeの利用が向いている方の特徴は以下のとおりです。
- ・会計の知識がない方
- ・スマホで簡単に確定申告を済ませたい方
- ・毎月の決まった収支の仕訳を自動化させたい方
freeeの最大の利点は、会計の知識がない方でも使いやすい仕様になっていることだといえます。
freeeでは以下のように、勘定科目の説明が出るなど独自の仕組みを採用しています。
またPCだけでなくスマホでも操作がしやすいのが特徴で、専用アプリを利用すればレシートや領収書を撮影するだけで日付や金額が自動的に読み取られます。
入力の手間が減り、効率よく手軽に収支の管理ができますよ。
また銀行口座と連携させれば、自動で明細を取得・仕訳してくれるのも便利だといえます。
4.マネーフォワードの利用が向いている方
以下のような方にはマネーフォワードの利用が向いているといえます。
- ・会計の知識がある程度ある方
- ・会計ソフトの使用経験がある方
- ・給与計算などの労務管理も行いたい方
マネーフォワードの法人向けのソフトでは、以下のように給与計算や勤怠管理などの労務管理ができます。
- ・給与計算
- ・社会保険事務
- ・年末調整業務
- ・勤怠管理
- ・マイナンバー管理
- ・電子契約
またバックオフィス業務に役立つサービスと会計ソフトを連携できるという点もメリットとして挙げられます。
なお個人事業主向けのソフトでも、家計簿アプリ「マネーフォワード ME」や銀行口座、クレジットカードとの連携ができます。
明細からの自動仕訳や家計簿のデータを利用した入力もできるので、会計業務にかかる手間を大幅に削減することが可能ですよ。
5.まとめ
今回はfreeeとマネーフォワードについて、「料金プラン」「無料期間の有無」「シェア」「機能」「ユーザーサポートの内容」という五つの項目で比較しました。
freeeのシステム設計は従来の会計ソフトよりも初心者向けになっており、会計の知識や会計ソフトの利用経験が少ない方でも使いやすいという特徴があります。
また専用のスマホアプリを使って収支の管理もできるため、会計データの入力の手間も省くことができます。
一方でマネーフォワードのシステムは従来の会計ソフトと似たような設計になっており、ソフトを乗り換える場合にも違和感なく使うことができるでしょう。
またバックオフィス業務に役立つ機能なども使用できるので、会計業務だけでなく労務管理などを効率化したい法人にとってもおすすめといえますよ。
どちらの会計ソフトにもそれぞれ良さがあるため、ご自身や会社が何を重視するのか検討した上で導入するのがおすすめです。