不動産小口化商品に関するよくある質問を、Q&A方式で紹介していきます。今回は3回目、「サブリース契約のある商品とない商品どちらを選ぶべき?」「建物に地震保険は加入している?」の2つを解説します。
目次
1. Q.サブリース契約のある商品とない商品どちらを選ぶべきですか?
A.安定した利回りを重視するか、高い利回りを重視するかによります。
サブリース契約とは、賃貸物件をサブリース会社に賃貸し、サブリース会社が入居者へ又貸しする契約を指します。
サブリースは一棟を借り上げたサブリース会社から定額の賃料が入るため、利回りが入居率に左右されません。投資家にとっては、実際の入居状況に関係なく一定の家賃収入が得られるというメリットがあるため、「安心を買う」のであればサブリース契約は有用です。
ただし、サブリース契約をすれば85〜90%程度しか家賃が入ってこなくなり、利回りが低下することを念頭に置入れておく必要があります。サブリース会社の利益分だけ利回りが低くなるということです。
一方、サブリースなしの商品は、利回りが入居率に直接左右されます。仮に入居率が50%であれば、想定利回りも半分程度になってしまいますが、(事業者が)高い入居率を維持できれば、サブリース契約のある商品よりも高い利回りが得られます。
商品選択の際は、安定した利回りを重視するか、高い利回りを重視するかで判断しましょう。
ただし、サブリース契約がついているといっても、入居率が低迷すればサブリース会社から契約の見直しの提案があり得ます。どちらの商品であっても稼働率には気を配ることが大切です。
2. Q.建物に地震保険は加入していますか?
A.地震保険の加入は商品設計により異なります。個別にご確認ください
東京に大きな被害をもたらした関東大震災から90余年、記憶に新しい東日本大震災から10年以上が経過し、首都圏に大きな地震のリスクが高まりつつあります。その他の地域であっても日本国土の形成過程に鑑みれば地震のリスクのないところはないと言ってよく、その点を重視すれば、建物には地震保険を掛けた方がよいと言えます。
しかし、地震保険の制度趣旨は、地震保険法(第1条)にある通り「被災した人々の生活の安定に貢献する」ことを目的にできた制度であって、建物を建て直すための費用を補償する保険ではありません。
よって、地震保険は建物が全壊した場合であっても当該物件の火災保険の保険金額の50%までしか出ません。この点を踏まえれば収益物件に対する地震保険に対する見方もやや変わってきます。
地震保険料は物件に通常掛ける火災保険料を上回ることが想定され、かつ、地震保険料は年々上昇傾向にあることから、分配金利回りに大きな影響を与えます。概ね、物件の火災保険料と同額以上に地震保険料がかかると見込まれます。
読者の皆様は不動産小口化商品を購入するにあたり、地震保険に加入していない物件に投資する場合は、事業者は販売前にリスクに対する説明責任がありますので納得のいくまで確認をしてください。
この際、投資物件のエンジニアリングレポートに掲載されているPML値を確認することをお勧めします。PML値とは地震リスク分析における予想最大損失率のことをいい、数値が小さいほど地震の際の被害が小さいと言えます。各Jリートの運用方針などを見ると、個別物件のPML値が15%を超える場合には地震保険の付保を検討し、実務では15%以下の物件を取得していることから、投資物件のPML値が「15%」以下であることを判断基準にするとよいでしょう。