このようにfreeeを導入した後、ご自身の事業に税理士のサポートがいらなくなるのかどうか気になる方もいらっしゃるでしょう。
freeeは簿記の知識がない方でも会計業務が簡単にできる会計ソフト です。
freeeを利用することで日々の帳簿付けや確定申告の準備が簡単にできるようになります。
その結果、税理士のサポートが不要になるケースも多くあるでしょう。
しかし事業の規模や形態、取引の内容などによっては、税理士に依頼した方が良いケースもあるので注意が必要です。
そこで本記事では、freeeを使えば税理士がいらないといわれる理由を詳しく解説した上で、freee
を導入するだけで十分なケースと、税理士のサポートも検討すべきケースをご紹介します。
併せて税理士に依頼するメリットとデメリットもお伝えするので、ぜひご参考にしてくださいね。


福留 正明
1.freeeを使えば税理士がいらないといわれる理由
freeeを使えば税理士がいらないといわれる理由に、freee
が簿記の知識がない方でも会計業務をスムーズに進められるよう設計された会計ソフトであることが挙げられます。
freeeには、以下のような便利な機能やサポートが備わっています。
- ・金融関連サービスとの連携による明細データの自動取得・自動仕訳
- ・レシートや領収書のデータの取り込み
- ・確定申告書や決算書の自動作成
- ・レポートや帳票の自動作成
- ・請求書・領収書・見積書などの作成や管理
- ・法令改正への自動アップデート対応
- ・メール・チャット・電話でのサポート対応(※プランによる) など
銀行口座やクレジットカードなどの金融関連サービスとfreeeを連携しておけば、自動で明細データが取得され、人工知能(AI)による仕訳が行われます。
またレシートや領収書をスマートフォンで撮影し、専用のアプリに画像データを取り込めば自動で記帳・仕訳されますよ。
帳簿付けや仕訳の負担が減るなら、初心者でも安心ですよね。
また日々の仕訳データをもとにした確定申告書や決算書、レポート、帳票を確認することが可能です。
請求書や領収書、見積書などの書類も簡単に作成・管理できるので、事務作業の手間も減らせますよ。
さらに法令改正があった場合にも、ソフトが自動で最新の状態にアップデートされるので、ご自身で都度対応する必要はありません。
操作方法について分からないことがあればメールやチャットなどで相談ができますよ 。

しかし、全てのケースに当てはまるわけではありません。
事業の規模や状況よっては、税理士のサポートを受けた方が良い場合もあります。
2章 でfreee導入後も税理士のサポートを検討すべきケースをご紹介するので、ご自身がどちらに当てはまるかご確認くださいね。
2.freeeを導入するだけで十分なケース
このようにfreeeの利用で税理士への依頼が不要になるケースを具体的に知りたいという方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの章では、freeeを導入するだけで十分なケースを三つご紹介します。
ケース1 事業の規模が小さい
事業の規模が小さい場合、freeeを使えば税理士のサポートがいらない可能性があります。
起業したばかりのときや副業などで、取引の件数自体が少なかったり、金額が少なかったりする場合には、複雑な会計処理が不要なのでfreeeだけで十分対応することも可能 でしょう。
なお売り上げがほとんどない状況で税理士に依頼しても、節税はほとんど期待できません。
税理士に依頼するとかえってコストがかかるため、 事業が安定するまではfreeeだけで対応するのがおすすめといえますよ。
ケース2 取引内容がシンプル
取引内容がシンプルな場合も、freeeを導入するだけで十分といえるでしょう。
例えば、取引が仕入れと販売だけなど、収支の流れが分かりやすい場合には帳簿付けが比較的簡単にできます。
税理士に頼らなくても、freeeを使えば効率良く会計処理できる でしょう。

ケース3 会計の知識がある
freeeを導入するだけで十分なケースの一つに、事業者や会計業務の担当者に会計の知識がある場合も挙げられます。
簿記の基本を理解している方であれば、税理士のサポートがなくても、freeeだけで日々の仕訳から確定申告・決算まで一通りの会計業務をこなせる可能性が高いといえます。
またfreeeでは、法令改正に応じてソフトが自動でアップデートされるので、最新のルールに沿って対応することも可能です。
操作方法や会計処理で分からないことがあれば、メールやチャットなどによるサポートを受けられたり、ヘルプセンター やユーザーガイドが充実していたりする ので、ご自身だけで解決しやすい環境が整っていますよ。
3.freee導入後も税理士のサポートを検討すべきケース

freeeを導入後に、税理士に相談すべきかどうか迷っている方もいらっしゃるでしょう。
freeeには会計業務を効率化する機能が備わっています が、場合によっては税理士に頼った方が良いケースもあります。
そこでこの章では、freee導入後も税理士のサポートを検討すべきケースを三つご紹介します。

- ケース1 事業の規模が大きい
- ケース2 法人または法人化を検討している個人事業主
- ケース3 税や会計について専門家に相談したい
ケース1 事業の規模が大きい
事業の規模が大きい場合は、freeeを導入しても税理士のサポートを検討した方が良いでしょう。
事業が成長するにつれて、取引の件数が増えたり、仕訳の内容が複雑になったりするので、会計処理の負担や手間が大幅に増えます。
freeeには自動仕訳や自動書類作成などの便利な機能が備わっています が、事業者だけでは対応しきれないケースが出てくるかもしれません。
そのようなときに会計の専門知識がある税理士のサポートを受けていれば、正確に処理することができ、ミスも防ぎやすくなりますよ。
ケース2 法人または法人化を検討している個人事業主
法人または法人化を検討している個人事業主も、freee導入後に税理士のサポートを検討することをおすすめします。
税理士に依頼せずに、法人の経営者や経理担当者が会計処理や決算の申告を行っても法的には問題ありません。
しかし個人事業主の確定申告と比較して、法人税の申告は記載すべき書類が多く内容も複雑であり 、より専門的な知識が求められます。
財務省が発表した 「令和5事務年度 国税庁実績評価書」によると、法人税の申告に税理士が関与した割合は以下のとおりです。
令和元年 度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 |
---|---|---|---|---|
89.3% | 89.4% | 89.5% | 89.5% | 89.8% |
法人税の申告に税理士が関与した割合は、約90%を占めていて、多くの企業が税理士の力を借りていることが分かります。
また個人事業主の方が法人化を検討している場合、早い段階で税理士に相談しておくことで手続きがスムーズになりますよ。
ケース3 税や会計について専門家に相談したい
税や会計について専門家に相談したい場合も、freee導入後に税理士のサポートを検討すべきケースに当てはまります。
税金 の申告で損をしないための最適な方法は状況によって異なり、専門的な知識がない方がご自身で調べて判断するのは難しいといえるでしょう。
しかし税の専門家である税理士に相談すれば、状況に応じた的確な判断ができますよ。
法律の範囲内で行える控除の活用方法や、経費計上の見直し などをアドバイスしてもらえるなら安心ですよね。
また税務調査が行われる場合、事前の準備や調査当日の対応が必要です。
こうした場面でも、税理士のサポートがあれば、適切な対応や助言を受けられるため、精神的な負担を軽減することができますよ。

4.税理士に依頼するメリット
このように税理士のサポートを受けるとどのようなメリットがあるのか知ってから、依頼するかどうか判断したい方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの章では、税理士に依頼するメリットを解説します。
- ケース1 本業に集中できる
- ケース2 確定申告や決算などを正確に行える
- ケース3 専門的なアドバイスを受けられる
メリット1 本業に集中できる
税理士に依頼するメリットの一つは、本業に集中できる点です。
freeeを活用することで日々の会計業務をスムーズできます が、仕訳の確認作業や確定申告・決算の準備なども全て事業者側で済まそうとすると、時間や手間がかかります。
しかし税理士に任せれば、会計業務にかけていた時間を本業に充てることができます。
本業により多くの時間を使えれば、結果的に事業の成長や売り上げ の増加につながる可能性もあるでしょう。
メリット2 確定申告や決算などを正確に行える
確定申告や決算などを正確に行えるのも、税理士に依頼するメリットです。
作成した確定申告書や決算書に計算ミスや記載漏れがあると、追徴課税などのペナルティーを受ける可能性があります。
また書類の再提出が必要な場合、修正に時間がかかって事業に支障をきたすケースもあります。
税理士のサポートがあれば正確に書類を作成できるので安心ですよ。
メリット3 専門的なアドバイスを受けられる
税理士に依頼するメリットには、専門的なアドバイスを受けられる点も挙げられます。
例えば、税金の申告や納付に関する質問をしたり、節税対策に関する相談などをしたりすることが可能です。
また最新の税制や法令改正の動向なども把握しているので、自分では気付きにくい控除の活用や正しい節税の方法 など、さまざまなアドバイスをもらえる可能性がありますよ。
さらに税務調査が入る場合に調査官とのやりとりの代行を依頼できるのもポイントです。
必要な書類の準備から当日の立ち会い 、調査後の対応まで、専門家の視点でしっかりサポートしてくれますよ。
5.税理士に依頼するデメリット
税理士のサポートを受けることで、本業に集中できたり、確定申告や決算を正確に行えたりするなど、多くのメリットが得られます が、注意しておきたいポイントもあります。
そこでこの章では、税理士に依頼するデメリットを解説します。
- デメリット1 費用が発生する
- デメリット2 税理士とのやりとりに時間がかかる
デメリット1 費用が発生する
税理士に依頼すると費用が発生する点には、注意が必要です。
料金は事業の規模や依頼する業務内容によって異なりますが、一般的には月数万 ~数十万円程度とされています。
日常的な仕訳作業だけでなく確定申告や決算書類の作成・提出など、依頼する 範囲が広くなるほど、費用も高くなる傾向がありますよ。
費用をできるだけ抑えたい場合は、確定申告・決算の時期だけサポートを受けたり、会計や税務に関する相談のみに絞ったりするなど、依頼内容を限定するのがおすすめです。
なおfreeeを活用すれば、日々の会計業務はご自身で対応できる ので、税理士に依頼する内容を必要最低限に絞ることができるでしょう。
デメリット2 税理士とのやりとりに時間がかかる
税理士に依頼すると、やりとりに時間がかかるのもデメリットの一つです。
例えば、会計業務を税理士に依頼する場合、レシートや領収書などの書類を送付する必要があります。
さらに提出した書類の内容について税理士から確認の連絡が入ったり、追加の情報提供を求められたりするケースもあります。
スムーズに対応してくれる税理士もいますが、返信や対応に時間がかかる税理士もいて、業務の進行に影響が出る可能性があるので注意が必要です。
このようなリスクを避けるためには、税理士の選び方が大切です。
対応スピードや過去の実績、相談のしやすさなどをチェックし、円滑にコミュニケーションを取れる税理士を見つけましょう。
なお、freeeには税理士とオンライン上でデータの共有ができる機能が備わっています。
この機能を使えば、仕訳や帳簿などの内容をリアルタイムで確認できるため、やりとりの手間やタイムラグを大幅に減らすことができますよ。

6.まとめ
freeeには、金融関連サービスとの連携による明細データの自動取得や自動仕訳、確定申告書・決算書の自動作成など、簿記の知識がなくても会計業務をスムーズに行える機能が備わっています。
そのため、事業の規模が小さい場合や取引内容がシンプルな場合、会計の知識がある場合には、freeeを導入するだけで税理士に依頼しなくても十分に対応できる可能性があります。
一方、事業の規模が大きい場合や、法人または法人化を検討している個人事業主の場合、税や会計について専門家に相談したい場合には、 税理士への依頼を検討すると良いでしょう。
税理士に依頼すると費用は発生しますが、本業に集中することができたり、確定申告や決算を正確に行えたりするなど、多くのメリットが得られますよ。
