フリーランスとは?必要な手続きを流れで解説!よくある疑問も解決

よく耳にするフリーランスって、具体的にはどういう意味なんだろう?
フリーランスとして働くためにはまず何をしたらいいのかな?

「フリーランス」という言葉を聞いたことや使ったことがあるという方は多くいらっしゃるでしょう。

しかし、フリーランスの正確な定義はあまり知られておらず、しばしば「個人事業主」や「自営業」と混同されます。

フリーランスとは特定の企業や団体に属さずに、スキルを活かして個人で仕事を請け負う働き方を指す言葉です。

仕事の内容にかかわらずフリーランスが活躍する職種は多くありますよ。

この記事ではフリーランスとして働くために必要な手続きを流れで解説し、フリーランスに関連したよくある疑問も解決します。

税理士
最後にフリーランスの事務的な手続きをサポートしてくれるおすすめのサービスもご紹介します。

この記事の監修税理士
監修税理士の税理士法人チェスター代表 福留正明
税理士法人チェスター代表
福留 正明
税理士・公認会計士・行政書士・登録政治資金監査人・ファイナンシャルプランナー。富裕層の資産税コンサルティングに強みを持つ税理士法人チェスターの代表社員。 相続税申告実績は税理士業界でもトップクラスの年間1,700件以上(累計9,000件以上)を取り扱う。相続税申告サービスやオーダーメイドの生前対策、相続税還付業務等を行う。 資産税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。
税理士法人チェスターは、グループ総勢200名以上の税理士事務所です
「税理士が教えるお金の知識」(以降、本メディア)では一部、メーカーやサービス提供事業者から広告出稿をいただいておりますが、コンテンツの内容については本メディア独自に制作しており、情報の掲載有無やコンテンツ内容の最終意思決定に事業者は関与しません。

1.フリーランスとは

フリーランスとは「特定の企業や団体に所属することなく、個人のスキルを活かして仕事を請け負う働き方」を指す言葉です。

フリーランスって自由で憧れるなあ。
自分の裁量で仕事や働き方を選べるなんていいなあ。

フリーランスに対してこのようなイメージをお持ちの方は多いでしょう。

確かに場所や時間を問わず、自分の得意分野を活かして仕事ができるのはフリーランスの大きなメリットです。

一方で、独立した事業主として多くを自己責任で引き受けることに伴う苦労もあります。

たとえばフリーランスは企業に雇用されていないため、「労働基準法」などの労働法規の適用の対象外となります。

労働時間や最低賃金、休日、有給休暇、労災の補償など、会社員を保護するための規定はフリーランスには適用されません。

仕事をもらえずに収入が減ってしまったり、反対に働きすぎて心身の調子を崩してしまったりといったリスクとも隣り合わせなのですね。

メモ
ただし、フリーランスを保護する法律として「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」があります。詳しくは「疑問3 フリーランスを保護してくれる法律はある?」で解説します。

2.フリーランスとその他の形態の特徴の違い

フリーランスって、要するに個人事業主のこと?
フリーランスと自営業は何が違うの?

フリーランスとよく似た言葉に「個人事業主」と「自営業」があります。

どちらも正確にはフリーランスとは異なる概念ですが、違いを認識せずに使っているという方も多くいらっしゃるでしょう。

ここからはフリーランスと個人事業主の違い、フリーランスと自営業の違いについて解説します。

2-1.個人事業主との違い

個人事業主とは「事業によって所得を得ている法人を設立していない個人」を指す税法上の区分です。

事業とは
ある仕事が独立・継続・反復して行われていると判断された場合に「事業」となります。事業を営んで得た所得を「事業所得」といいます。

個人事業主として開業するには、税務署に開業届を提出する必要があります。

一方、税務署に開業届を提出していなくてもフリーランスを名乗ることは可能 です。

メモ
フリーランスが開業届を提出し、個人事業主になるべきかどうかは「疑問1 個人事業主になった方がいい?」にて詳しく解説します。

また、フリーランスは「働き方」を指す言葉なので、法人を設立していてもフリーランスを名乗ることができます。

一方、法人を設立している個人は個人事業主を名乗ることはできないため、この点も大きく異なります。

フリーランスと個人事業主の関係を図に表すと以下のようになります。

2-2.自営業との違い

自営業とは独立して事業を営む個人を指します。

法人を設立していない個人も、法人化した個人も「自営業」に含まれます。

それなら、フリーランスと自営業の意味は同じなの?

という疑問をお持ちになった方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、自営業でもフリーランスと呼ばない場合があります。

たとえば、飲食店などの店舗を持つ事業の場合、働く場所と時間がおおむね決まっているためフリーランスには該当しません

フリーランスと自営業の関係を図に表すと以下のようになります。

3.フリーランスの代表的な職種

どんな職種でもフリーランスになれるの?
フリーランスとして働きやすい職種は何だろう?

自己のスキルを活かして組織に所属することなく働いている人は職種を問わず「フリーランス」と呼ばれます。

そのため、仕事の内容にかかわらずフリーランスとして働くことはできますが、フリーランスで活動する人が多い職種も存在します。

以下の五つの分類に当てはまる職種は、フリーランスとして活躍しやすいといえるでしょう。

【フリーランスの代表的な職種】

職種1 ITエンジニア系

ITエンジニアとはシステムを開発し、その成果物に報酬が支払われる仕事のことです。

フリーランスのエンジニアが活躍する主な職種は以下の通りです。

【フリーランスが活躍するITエンジニア系の職種】
  • ・プログラマー
  • ・SE(システムエンジニア)
  • ・インフラエンジニア
  • ・データアナリスト
  • ・組み込みエンジニア
  • ・Web系エンジニア
  • ・ゲームエンジニア
プログラマーとSEは違うの?

という疑問をお持ちになった方もいらっしゃるかもしれません。

プログラマーはプログラミング言語を用いてシステムなどの開発を行うのに対して、SEはプログラマーのシステム開発プロジェクトの管理や、開発するシステムの要件の設定を行います。

いわばSEはプログラマーより上の階層の仕事なのですね。

また、「組み込みエンジニア」の仕事内容が分からないという方もいらっしゃるでしょう。

組み込みエンジニアは、スマートフォンやカーナビ、ゲーム機などの工業製品が動く仕組みを作る仕事です。

職種2 マーケティング系

マーケティング系の仕事は、ITエンジニア系と並んでフリーランスが活躍しやすい環境であるといえるでしょう。

フリーランスが多いマーケティング系の職種は以下の通りです。

【フリーランスが活躍するマーケティング系の職種】
  • ・Webライター
  • ・ブロガー・アフィリエイター
  • ・Webマーケター

「アフィリエイト」という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。

ブロガーやアフィリエイターは副業として手軽に始めやすく、軌道に乗ってからフリーランスとして独立することもできます

また、ブロガーやアフィリエイターとしての経験を積んでいくなかでWebマーケターへの転身を視野に入れる方もいます。

職種3 クリエイティブ系

クリエイティブ系の仕事でフリーランスとして働くことを目標としている方も少なくないでしょう。

主なクリエイティブ系の職種には以下のようなものがあります。

【フリーランスが活躍するクリエイティブ系の職種】
  • ・Webデザイナー
  • ・YouTuber
  • ・動画編集者
  • ・イラストレーター
  • ・グラフィックデザイナー
  • ・カメラマン

今では職業として定着したYouTuberのなかにも、フリーランスと呼べる人はいます。

YouTuberの人気が高まると同時に、YouTuberなどのクライアントから発注を受けて動画を編集する動画編集者の需要も高まっています。

また、フリーランスのカメラマンとして活動するためには得意分野を持つことが重要です。

カメラマンが活躍する場としては、広告や報道、スポーツ、学校などがあります。

職種4 コンサルタント・カウンセラー系

資格を取って活動するコンサルタント・カウンセラー系もフリーランスの代表的な仕事として挙げられます。

資格の取得が必ずしも必要ではない場合も、仕事の基礎的な知識を固めたり、同業者のネットワークを作ったりできるため検討して損はないでしょう。

【フリーランスが活躍するコンサルタント・カウンセラー系の職種】
  • ・経営コンサルタント
  • ・心理カウンセラー
  • ・インテリアコーディネーター
  • ・ファイナンシャルプランナー
  • ・ウェディングプランナー
  • ・フードコーディネーター

ただし、資格を持っているからといってすぐに仕事が来るわけではありません。

安定的に仕事を得るためにはSNSやYouTubeなどを活用し、自らのイメージを売り出していくことが必要です。

職種5 士業系

資格の取得が必要であるところはコンサルタント・カウンセラー系と同様ですが、資格の取得までの道のりが困難であるところが士業系の特徴です。

士業系のなかで人気の職種は以下の通りです。

【フリーランスが活躍する士業系の職種】
  • ・弁護士
  • ・税理士
  • ・司法書士
  • ・公認会計士 など

最近では資格を持っている方の就職難や、士業の過剰なども問題になっています。

一方で、難易度の高い資格を持っている分多額の収入を得られる可能性が高い職種でもあります。

4.フリーランス関連のよくある疑問を解決

フリーランスには明確な定義や決まった仕事内容があるわけではないため、分からないことが多く困っている方もいらっしゃるでしょう。

特に、フリーランスとして働き始める際の手続きや、会社員と比べて弱い立場にあるフリーランスを保護する制度については知らないと損をしてしまう恐れもあります。

ここからは以下の四つの疑問を解決していきます。

疑問1 個人事業主になった方がいい?

フリーランスとして働き始めるなら、開業届を出して個人事業主になるべきかな?
税理士
いくつものメリットがあるため、基本的には個人事業主になることをおすすめします。

個人事業主になることで得られる税制上のメリットは以下の通りです。

【個人事業主になることで得られるメリット】
  • ・青色申告ができる
  • ・屋号で銀行口座を開設できる
  • ・経費に計上できる項目が増える
  • ・個人事業主を対象とした補助金や助成金を受けられる
  • ・社会的な信用が得られる

開業届を出すことで得られる最大のメリットは青色申告ができるようになることです。

青色申告をすると65万円分の控除を受けられ、節税効果があります。

また、個人事業主になることで家族に支払った給与 などを経費として計上できます。

家族への給与を経費に含めるための手続きについては「5-1-3.青色申告承認申請書の提出」で詳しく解説します。

一方、会社員が副業でフリーランスとして「雑所得」を得ている場合は、基本的に開業届を出す必要はありません

雑所得とは
利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および 一時所得という9種類の所得のどれにも当てはまらない所得を指します。

ただし、仕事が独立・継続・反復して行われており、「事業所得」と見なすことができると判断される場合は副業でも個人事業主になった方がいいでしょう。

また、個人事業主になる道の他に法人を設立するという道もあります

個人事業主と法人のどちらを選ぶべきかについては次の「疑問2 個人事業主と法人のどちらを選ぶ?」を確認しましょう。

疑問2 個人事業主と法人のどちらを選ぶ?

開業届を提出して個人事業主になるべきか、法人を設立するべきかはその人が置かれている状況によって異なります

税理士
個人事業主と法人の違いを把握し、自分に合った選択をしましょう。

【個人事業主と法人の違い】
個人事業主 法人
事業開始の手続き 開業届の提出 法人登記
事業開始にかかる費用 0円 株式会社:25万円~
合同会社:10万円~
社会的信用 法人に比べて低い 高い
税率 累進課税(最大45%) 個人事業主に比べて緩やか(最大23%)
経費として認められる範囲 法人に比べて狭い 個人事業主に比べて広い

個人事業主の利点は、法人に比べて低コストかつスピーディーに開業できることです。

その半面 、法人に比べて社会的な信用が低く、受けられる税制メリットが少ないという弱みもあります。

自己資金に不安があるが、まずは開業してみたいとお考えの方には個人事業主がおすすめです。

法人の利点は、個人事業主よりも税率が緩やかであり、経費として認められる範囲が広いため、節税効果があることです。

ただし、設立の手続きは個人事業主に比べて煩雑であり、事業を開始するためにまとまった資金が必要です。

既に十分な自己資金があり、事業を開始してすぐに大きく展開していきたいとお考えの方には法人を設立することをおすすめします。

疑問3 フリーランスを保護してくれる法律はある?

フリーランスは企業と雇用契約を結んでいないため、労働基準法などの労働法規の適用対象外となります。

じゃあ、フリーランスは法的には守られていないのかな?

と不安を感じられた方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、依頼主に対して弱い立場を強いられることの多いフリーランスを保護するために「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」が適用される場合もあります

下請法は依頼主に以下のような法的義務や禁止事項を課します。

【下請法によって依頼主に課される法的義務】
  • ・書面の交付義務
  • ・書面の作成・保存義務
  • ・代金の支払期日を定める義務
  • ・遅延利息の支払い義務
【下請法によって依頼主が禁じられている事項】
  • ・成果物の受領拒否
  • ・代金の支払い遅延・減額
  • ・返品・買いたたき
  • ・購入・利用の強制
  • ・報復措置 など

疑問4 フリーランスが使える補助金や補償は?

フリーランスが利用できる補助金は主に個人事業主向けのものか小規模の法人向けのもののいずれかです。

国や自治体が提供する補助金のなかから、自分に合ったものがないかをチェックしてみましょう。

また、残念ながら会社という後ろ盾のある会社員に比べて補償が薄いのはフリーランスの弱点です。

民間の補償制度や保険に加入することで、福利厚生を自ら整えましょう。

例えばフリーランスに特化したサービスであるFREENANCEの「フリーナンスあんしん補償」は、情報漏えいや著作権の侵害、納品物の瑕疵(かし)など、フリーランスが遭遇しうるトラブルに対する補償が充実しています。

疑問5 フリーランスとノマドワーカーの違いは?

時間と場所にとらわれないフリーランスの働き方には憧れるなあ。
税理士
正確には、好きな時間に好きな場所で働くスタイルをとる人々は「ノマドワーカー」と呼ばれます。

フリーランスと聞いて「カフェやコワーキングスペースなどの好きな場所で、自分で決めた時間に働く人々」をイメージする方は多くいらっしゃるでしょう。

しかし、上記のような時間と場所を選ばない働き方は「ノマドワーカー」と呼ばれ、厳密にはフリーランスの定義とは異なります

フリーランスはあくまでも「特定の企業や団体に雇われない」ことに特徴があり、フリーランスでありながら決まったオフィスで働いている方もいます。

また、近年では会社員でありながら会社に出勤せず、自宅やカフェなど好きな場所で働く方も増加しています。

フリーランスは「雇用形態」を指す言葉であり、ノマドワーカーは「ワークスタイル」を指す言葉であるという違いがあります。

メモ
ただし、特定の企業に縛られないフリーランスの働き方と場所や時間に縛られないノマドワーカーのワークスタイルは相性が良く、実際にノマドワーカーでありフリーランスである方は多くいらっしゃいます。そのため、「フリーランスは場所や時間を選ばない働き方」というイメージも誤りではありません。

5.フリーランスとして働くための手続き

フリーランスとして働くためには、まず何をしたらいいんだろう?
フリーランスとして働き始めてからするべきことはあるのかな?

このように、フリーランスとして働く際の手続きにお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

ここからはフリーランスとして働くために必要な手続きを時系列順に 解説していきます。

「フリーランスになる前」と「フリーランスになってから」のどちらにも忘れてはいけない手続きがありますよ。

5-1.フリーランスになる前にするべきこと

まずはフリーランスになる前にするべきことを確認しましょう。

【フリーランスになる前にするべき四つのこと】
フリーランスになる前にするべき四つのこと
【フリーランスになる前にするべき四つのこと】
  • ・クレジットカードの作成・ローンの申し込みなど
  • ・開業届の提出
  • ・青色申告承認申請書の提出
  • ・働く環境を整える

5 -1-1.クレジットカードやローン

会社を辞めてフリーランスとして独立する場合は、退職前にクレジットカードの作成やローンの申し込みをしておきましょう。

残念ながら、フリーランスの社会的な信用は会社員と比較すると低くなってしまうのが現状です。

フリーランスになってからクレジットカードやローンの申し込みをすると、審査に通らなかったり、ローンを受けられる金額が下がってしまったりする 可能性が高いのです。

注意
会社員と並行してフリーランスとして開業する場合は、会社の就業規則を必ず確認しましょう。副業を禁止している会社の場合、黙って副業を開始することはトラブルの原因となります。

5-1-2.開業届の提出

開業届を事業開始日から1カ月以内に提出します。

開業届は国税庁のサイトからダウンロードするか、最寄りの税務署でもらうこともできます。

以下の必要事項を記入して、最寄りの税務署に持ち込むか、郵送しましょう。

【開業届に記入すること】
  • ・開業日
  • ・屋号
  • ・マイナンバー
  • ・事業内容 など

5-1-3.青色申告承認申請書の提出

青色申告を希望する方は、開業届と同時に青色申告承認申請書を提出しましょう。

青色申告承認申請書の提出期限は開業日から2カ月以内です。

注意
開業届の提出が遅れてもペナルティーはありませんが、青色申告承認申請書の提出が遅れると青色申告特別控除などの特典を受けることができなくなります。
提出する書類の準備で忙しくなりそうだな。
税理士
開業時の手続きをスピーディーに終わらせるための便利なサービスは「6-1.開業届作成サービス」でご紹介します。

5-1-4.働く環境を整える

フリーランスとして働くためにはインターネット環境が欠かせません

クライアントとのやり取りのために各種のツールやSNSを一通り使えるようにしておきましょう。

また、プライベート用ではない仕事専用のメールアドレスも用意する必要があります。

名刺に自宅の電話番号や住所を記載することに抵抗を感じる方は、事業用の住所を貸し出すサービスである「バーチャルオフィス」を利用しても良いでしょう。

5-2.フリーランスになってからするべきこと

フリーランスとして独立して第一にするべきことは保険と年金の手続きです。

【フリーランスになってからするべきこと】
フリーランスになってからするべきこと

どちらの手続きも原則として期限があるため、退職後速やかに行いましょう。

5-2-1.健康保険への加入

健康保険の手続きについては以下の3つの選択肢があります。

【フリーランスの健康保険の選択肢】
  • ・国民健康保険への加入
  • ・退職する会社で加入していた健康保険を継続
  • ・扶養家族として健康保険に加入

もっともスタンダードなのは国民健康保険への加入です。

退職した日の翌日から14日以内に、最寄りの役所で手続きを行います。

本人確認書類・顔写真付きのマイナンバーカード(または通知カード)・社会保険の資格喪失証明書の3点を持参しましょう。

役所に行く際は次に説明する国民年金への加入も同時に済ませましょう。

退職する会社の健康保険は、資格喪失日から20日以内に申請すれば最長2年まで継続することができます。

また、年収が130万円未満であり、被保険者である両親や配偶者の年収の2分の1以下の場合は被保険者の健康保険に扶養対象者として加入するという手もあります。

メモ
60歳以上の方、障害厚生年金を受給している障害者の方は年収180万円未満まで扶養対象者として加入することができます。

5-2-2.年金の切り替え

健康保険の加入と同時に、厚生年金から国民年金への切り替えも行いましょう。

通常の場合、厚生年金からの脱退の手続きは退職する企業が行ってくれます。

国民年金への加入の手続きは原則として退職から14日以内に、以下の持ち物を最寄りの役所の国民年金窓口へ持参します。

【国民年金加入の手続きに必要なもの】
  • ・退職を証明する書類
  • ・身分証明書
  • ・年金手帳
  • ・印鑑

5-2-3.事業用口座の作成

プライベートと事業用の口座を分けることで、確定申告の手続きをスピーディーに済ませることができます。

屋号付きの口座はメガバンクやゆうちょ、ネット銀行にて開設することができます。

手続きに必要な書類は金融機関によって異なりますが、主に用意するべきものは以下の通りです。

【事業用口座の作成に必要な書類】
  • ・本人確認書類
  • ・開業届
  • ・印鑑
  • ・屋号確認書類

一般の口座は申し込みの当日に開設できますが、事業用口座の開設には一週間程度かかる場合があります。

5-2-4.確定申告の準備

1年間の所得にかかる所得税を自ら計算して国に納める「確定申告」はフリーランスの必須の業務の一つです。

期限までに申告を済ませなければ延滞税が課せられてしまう場合もあるため気を付けましょう。

確定申告って難しそう……。ちゃんとできるかな……。
税理士
ご安心ください。次の章では、初めての確定申告を助けてくれる便利なサービスをご紹介しますよ。

6.フリーランスにおすすめのサービス

こんなにたくさんの手続きを一人でこなすのは大変だなあ……。
フリーランスが簡単に手続きを終えるにはどうしたらいいのかな?

このようなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからは、フリーランスとして働くことをサポートしてくれるおすすめのサービスをご紹介します。

6-1.開業届作成サービス

開業届を用意し、いざ記入をしようとしたが「職業」や「所得の種類」に迷ってしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでおすすめなのが「開業届作成サービス」です。

画面の指示に従って質問に答えるだけで、手軽に開業届を完成させることができますよ。

【おすすめの開業届作成サービス】

上記の二つのサービスはともに無料で利用できます。

開業届を作成する際の心強い味方になりますね。

6-2.クラウド請求書作成サービス

事業が軌道に乗って取引先の数が増えてくると、請求書の作成が手に負えない数になってしまうこともあります。

そこでおすすめなのがクラウド見積・納品・請求書サービス「Misoca(ミソカ)」 です。

品名や金額、支払期日、取引先の情報などを入力するだけで請求書が作成され、送信方法は郵送かメールを選ぶことができます。

スタンダードな「プラン15」の利用料金は年間8,000円で、初年度は無料で利用できます。

6-3.会計ソフト

「フリーランスになって初めて確定申告をしなければいけなくなった……。」

このように、確定申告に不安をお持ちの方は多くいらっしゃるでしょう。

確定申告に不慣れな方には、以下のような会計ソフトを導入することをおすすめします。

これらのサービスはスマホアプリと連動しているものもあり、日々のちょっとした時間で確定申告の準備ができるのです。

税理士
おすすめの会計ソフトについて詳しく知りたい方はこちら の記事も参考にしてください。

7.まとめ

フリーランスとは、仕事の内容を問わず特定の企業や団体に属すことなく自らの技能を活かして仕事を請け負う働き方を指します。

働く場所と時間を自分の裁量で決められる自由度の高さが魅力です。

一方、福利厚生や社会的な信用という面では会社員に及ばない部分があります。

フリーランスとしての独立を考えているが自己資金がないという方は、まずは個人事業主として開業するのが得策です。

個人事業主になることでさまざまな税制メリットが受けられるほか、社会的な信用も高めることができますよ。

税理士
フリーランスとして働くために必要なさまざまな手続きにお困りの方は、本記事でご紹介した開業届や請求権作成サービス、会計ソフトの導入を検討してみてくださいね。

【おすすめの開業届作成サービス】