マネーフォワードが提供するマネーフォワード クラウド会計は簿記や会計の知識のない方から税理士まで幅広く利用されている会計ソフトです。
会計業務はもちろんバックオフィス業務を効率化する便利な機能が充実しているのが魅力です。
とはいえ、利用者の評価や感想、具体的な機能などが気になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、マネーフォワード クラウド会計の評判や口コミをご紹介し、10の特徴を解説します。
福留 正明
１．マネーフォワード クラウド会計とは？
マネーフォワード クラウド会計の存在は知っているけど、詳しいことは分からない方もいらっしゃるでしょう。
マネーフォワード クラウド会計は、家計簿アプリ「マネーフォワードME」などで有名な株式会社マネーフォワードが提供する、クラウド型の会計ソフトです。
マネーフォワード クラウド会計には、個人事業主向けと法人向けの2種類があります。
これらのソフトでは、銀行口座やクレジットカードなどの金融関連サービスと連携し、取引データの自動取得・自動仕訳が可能です。
日頃から仕訳作業を行っておけば、確定申告や決算に必要な書類の自動作成が可能なため、面倒な手間を減らすことができますよ。
また初心者でも使いやすい一方で、従来の簿記の形式にもとづいた画面構成なので、簿記の知識がある方にとっても違和感なく操作できる仕様になっていますよ。
さらに経費や給与の計算、請求書の作成など、合計11のサービスを基本料金内で利用することが可能です。
必要に応じてサービスを追加できるので、バックオフィス業務全体を効率化したい方におすすめですよ。
２．マネーフォワード クラウド会計の評判は？口コミも紹介
マネーフォワード クラウド会計の導入を検討するに当たって、ソフトの評判や利用者の口コミはとても気になるポイントですよね。
2025年にMM総研がクラウド会計ソフトを利用する個人事業主を対象に行った調査で、マネーフォワード クラウド会計は弥生
・freeeに続く業界3位のシェアを獲得しています。
この結果から、多くの事業者に選ばれている人気の高いサービスであることがうかがえます。
公式サイトに掲載されている導入事例から、利用者の口コミの一部を以下にまとめました。
- ・データ連携機能のおかげで、作業時間が1／10に減った
- ・導入してからすぐに使いこなすことができた
- ・初めての確定申告が数日で終わった
- ・サポート対応が丁寧だった
- ・バックオフィス業務をまとめて効率化できるのが非常に便利
マネーフォワード クラウド会計は操作性やサポート体制、業務効率の面で高く評価されていて、多くの利用者に支持されていることが分かります。
３．マネーフォワード クラウド会計の特徴を徹底解説
このようにマネーフォワード クラウド会計の魅力や機能などをしっかり理解してから、自分に合っているかどうか判断したい方もいらっしゃるでしょう。
この章では、マネーフォワード クラウド会計の特徴を10項目に分けて詳しく解説します。
特徴１ 事業の規模に合わせて料金プランを選べる
マネーフォワード クラウド会計では、個人事業主向けと法人向けにそれぞれ料金プランが用意されていて、事業の規模に合わせて選ぶことができます。
個人事業主向けのマネーフォワード クラウド会計には、以下の三つの料金プランがあります。
| プラン名 | 料金（税抜） | 主な機能 |
|---|---|---|
| パーソナルミニプラン | 年払い：10,800円（月換算900円） 月払い：1,280円 |
・確定申告書類の作成（白色申告・青色申告対応） ・確定申告書類の提出（電子申告） ・銀行、クレジットカード明細の自動取り込み ・メール、チャットサポート（操作方法） ・契約書の作成 ・レシート撮影（月15件まで無料） |
| パーソナルプラン | 年払い：15,360円（月換算1,280円） 月払い：1,680円 |
・パーソナルミニプランの全ての機能 ・消費税申告（インボイス制度対応） ・レシート撮影（月30件まで無料） ・電子ファイルの保存数の上限なし ・請求書作成、メール送付の一括操作 ・経営状況のレポートの確認 |
| パーソナルプラスプラン | 年払い：35,760円（月換算2,980円） ※月払いなし |
・パーソナルプランの全ての機能 ・レシート撮影（月100件まで無料） ・電話サポート（操作方法） |
パーソナルミニプランは最小限の機能で十分な方に、パーソナルプランは充実した機能で無理なく確定申告を済ませたい方に、パーソナルプラスプランは電話で手厚いサポートを受けながら安心して利用したい方に向いていますよ。
また、法人向けのマネーフォワード クラウド会計の料金プランは以下の三つです。
| プラン名 | 料金（税抜） | 主な機能 |
|---|---|---|
| ひとり法人プラン | 年払い：29,760円（月換算2,480円） 月払い：3,980円 |
・利用人数：1人まで ・1会計年度の仕訳数：500件まで ・決算書の作成 ・部門登録：2部門まで ・部門階層の作成：1階層まで ・AI-OCRからの入力：月30件まで ・電子帳簿保存法：電子取引・書類保存への対応 |
| スモールビジネスプラン | 年払い：53,760円（月換算4,480円） 月払い：5,980円 |
・利用人数：3人まで ・1会計年度の仕訳数：無制限 ・決算書の作成 ・部門登録：2部門まで ・部門階層の作成：1階層まで ・AI-OCRからの入力：月60件まで ・電子帳簿保存法：電子取引・書類保存への対応 |
| ビジネスプラン | 年払い：77,760円（月換算6,480円） 月払い：7,980円 |
・利用人数：無制限（4人以上は従量課金が発生する） ・1会計年度の仕訳数：無制限 ・決算書の作成 ・部門登録：無制限 ・部門階層の作成：2階層まで ・AI-OCRからの入力：月100件まで無料（101件以上は、1件20円（税抜）が発生する） ・電子帳簿保存法：電子取引・書類保存への対応 ・電子帳簿保存法：優良電子帳簿への対応 ・振り込みファームバンキングデータ（FBデータ）の作成 ・帳簿残高と口座残高の突き合わせ ・消費税申告書の作成> |
ひとり法人プランは経営者1人で事業運営する法人に、スモールビジネスプランは利用者が3人以下の小規模な法人に、ビジネスプランは利用者が4人以上の中小規模の法人におすすめです。
また個人事業主向け・法人向けのソフトのどちらにも1カ月の無料トライアル期間が設けられているので使い勝手をしっかり確かめることができますよ。
特徴２ データの自動取得・自動仕訳ができる
マネーフォワード クラウド会計には、データの自動取得・自動仕訳ができる機能が備わっていて、銀行口座やクレジットカード、電子マネーなど、2,300以上の金融関連サービスと連携することが可能です。
各サービスの明細データを自動で取得し、AIが取引内容に応じて仕訳の勘定科目を自動で提案してくれますよ。
さらに仕訳ルールの学習機能が搭載されているので、使えば使うほど仕訳の精度が向上していくのもうれしいポイントです。
仕訳作業にかかっていた時間を大幅に削減できるでしょう。
特徴３ 確定申告や決算に必要な書類を自動で作成できる
マネーフォワード クラウド会計では、確定申告や決算に必要な書類を自動で作成することが可能です。
日々、仕訳を入力していれば、専門的な知識がなくても簡単に書類を作成することができます。
また、「e-Tax（国税電子申告・納税システム）」にも対応しています。
e-Taxを利用すれば、確定申告の際に税務署に行かなくても自宅からオンラインで書類を提出することが可能ですよ。
特徴４ さまざまな帳票やレポートを確認できる
さまざまな帳票やレポートを確認できるのも、マネーフォワード クラウド会計の特長です。
個人事業主向けと法人向けのソフトでは、それぞれ以下の帳票やレポートを確認できます。
| 事業形態 | 帳票 | レポート |
|---|---|---|
| 個人事業主 | ・現金出納帳 ・貸借対照表 ・損益計算書 ・総勘定元帳 |
・キャッシュフローレポート ・収益レポート ・費用レポート ・収入先レポート ・支出先レポート ・ローカルベンチマーク ※パーソナルミニプランは、キャッシュフローレポートのみ |
| 法人 | ・仕訳帳 ・現預金出納帳 ・総勘定元帳 ・補助元帳 |
・キャッシュフローレポート ・収益レポート ・費用レポート ・収入先レポート ・支出先レポート ・財務指標(β) |
ただしプランによっては一部、利用できないものがあるので注意しましょう。
帳票やレポートはPDFやCSV形式で出力できるので、社内で共有したり税理士と共有したりすることも可能です。
日々のデータを記録しておけば、経営状況をリアルタイムで確認できるのも魅力ですよ。
特徴５ バックオフィス全体を効率化することができる
マネーフォワード クラウド会計は、会計業務だけでなくバックオフィス全体を効率化したい方におすすめです。
クラウド会計ソフトの他に、基本料金内で以下の11のサービスを利用できます。
| サービス名 | 詳細 |
|---|---|
| クラウド請求書 | 請求書の作成・送付・受け取りまでを管理することができる |
| クラウド経費 | 従業員の経費精算ができる |
| クラウド債務支払 | 請求書の受け取りから支払いまでを効率化することができる |
| クラウド給与 | 従業員の給与の自動計算や給与明細の発行ができる |
| クラウド勤怠 | 従業員の勤怠管理ができる |
| クラウド年末調整 | 従業員の年末調整ができる |
| クラウド社会保険 | 従業員の社会保険の手続きができる |
| クラウドマイナンバー | 従業員のマイナンバーの収集・管理・廃棄ができる |
| クラウド人事管理 | 従業員の情報を一元管理できる |
| クラウド契約 | 契約書の作成・申請・承認・締結・保存まで一元管理できる |
| クラウドBox | 紙や電子の書類を電子帳簿保存法の要件に従って一元管理 できる |
経理財務や人事労務、電子契約などの業務をクラウド上で管理できるサービスがありますよ。
勤怠や給与、経費、請求書などに関連するツールを連携することで業務を効率化でき、手入力によるミスの削減にもつながるでしょう。
なお全てのサービスを一度に導入する必要はなく、必要な機能だけを段階的に導入することが可能ですよ。
特徴６ スマホアプリの機能が充実している
スマートフォンのアプリの機能が充実している点もマネーフォワード クラウド会計の特長です。
領収書やレシートをスマホで撮影してアップロードするだけで、AIが画像から文字情報を読み取り、自動で仕訳の候補を作成してくれますよ。
手入力の手間が省け、入力ミスの防止にもつながるでしょう。
またアプリ上でさまざまなレポートを確認できるため、外出先でもリアルタイムで経営状況をチェックできます。
さらにe-Taxにも対応していて、個人事業主の場合はスマホアプリで確定申告書類の作成から提出まで行うことができますよ。
特徴７ サポート内容が充実している
サポート内容が充実しているのもマネーフォワード クラウド会計の魅力です。
全てのプランで、メールやチャットで操作方法を相談することが可能です。
特にチャットサポートは回答が早く、ユーザーから高評価を得ていますよ。
さらに個人事業主向けソフトのパーソナルプラスプランでは電話での相談にも対応していて、より丁寧なサポートを受けることが可能です。
なおマネーフォワードの公式サイトには、初心者向けに使い方を解説した動画や記事が豊富に用意されているので、サポートサービスと合わせて利用してみてくださいね。
特徴８ 法令改正に対応している
法令改正に対応しているのも、マネーフォワード クラウド会計の強みです。
制度の変更があった場合、自動的に無料でアップデートされるため、常に最新の状態で利用することが可能ですよ。
なお適格請求書等保存方式（インボイス制度）や電子帳簿保存法の改正などにも対応しているので安心してくださいね。
特徴９ 税理士とデータをスムーズに連携できる
マネーフォワード クラウド会計では、税理士とデータをスムーズに連携することが可能です。
オンライン上で情報共有ができるため、帳簿の確認や決算準備のやりとりも効率良く進められます。
また画面の構成は一般的な会計帳簿の形式に準拠しているので、簿記や会計の知識があれば直感的に扱うことができますよ。
特徴１０ 他社の会計ソフトから移行しやすい
他社の会計ソフトからマネーフォワード クラウド会計に乗り換える場合、対応するソフトからであれば簡単にデータを移行できます。
対応しているソフトの一部を以下にまとめました。
- ・freee
- ・弥生会計
- ・会計王
- ・勘定奉行
- ・やるぞ！青色申告 など
上記のような会計ソフトの他、エクセルなどの表計算ソフトからのデータの取り込みにも対応しています。
移行の手順については、ガイドやヘルプページ、動画などで確認が可能なので、初めての方でも安心して作業を進められるでしょう。
なおメールやチャットサポートで相談することもできますよ。
ご自身で移行作業をするのが不安な場合には、「移行おまかせサービス」を利用するのがおすすめです。
費用はかかりますが、マネーフォワード クラウド会計に対応した会計ソフトであれば移行作業を代行してもらえますよ。
４．マネーフォワード クラウド会計を導入する際の注意点
マネーフォワード クラウド会計は、会計業務の手間を削減できる便利なツールですが、導入する前に知っておきたい注意点もいくつかあります。
そこでこの章では、マネーフォワード クラウド会計を導入する際の注意点について解説します。
- 注意点１ ランニングコストがかかる
- 注意点２ インターネットにつながる環境がないと使用できない
- 注意点３ 消費税申告書の作成に対応していないプランがある
注意点１ ランニングコストがかかる
マネーフォワード クラウド会計を利用する際、ランニングコストがかかる点に注意が必要です。
マネーフォワード クラウド会計は買い切りではなく、サブスクリプションのサービスなので、月毎または年毎に料金の支払いが発生します。
契約するプランによって料金は異なりますが、利用期間が長くなるほど、トータルのコストは大きくなります。
注意点２ インターネットにつながる環境がないと使用できない
マネーフォワード クラウド会計は、インターネットにつながる環境がないと使用できない点にも注意が必要です。
トラブルが発生してインターネットが利用できなくなると、ソフトにアクセスできなくなります。
また回線速度が遅かったり電波が不安定だったりすると、動作が重くなって作業効率が悪くなる可能性があります。
特に外出先で使用する場合には回線が不安定になりやすいので、安定した通信環境を事前に確保しておくことが大切です。
注意点３ 消費税申告書の作成に対応していないプランがある
マネーフォワード クラウド会計には、消費税申告書の作成に対応していないプランがあります。
マネーフォワード クラウド会計で消費税申告書を作成するには、個人事業主の場合はパーソナルプラン以上、法人の場合はビジネスプランへの加入が必要ですよ。
５．まとめ
マネーフォワード クラウド会計は、簿記に不慣れな方から税理士まで幅広いユーザーに支持されている会計ソフトです。
会計ソフトを初めて使う方にも使いやすい仕様になっていますが、画面の構成は一般的な会計帳簿の形式に準拠しているため、簿記の知識がある方もスムーズに使えますよ。
また日々の会計業務を効率化できる機能が充実していて、数多くの金融関連サービスの明細データを自動取得・自動仕訳できる他、決算に必要な書類を自動で作成できたり、さまざまな帳票・レポートを簡単に確認したりすることができます。
またマネーフォワード クラウド会計では、経理財務や人事労務、電子契約などのバックオフィス業務を一元管理できるサービスも利用可能です。
請求書、経費、給与など、さまざまなデータと自動連携できるため、業務の効率化と手入力によるミスの削減を同時に実現できますよ。