#26 「不動産小口化商品」を活用した相続対策①「生前贈与」

2021.01.28

富裕層の相続対策と言えば、不動産に対する有利な税制に着目した新築1棟マンションへの投資をすぐに連想しがちです。しかしながら、その一方で目敏い人たちは、100万円などといった比較的少額から購入できる「不動産小口化商品」も相続対策に活用し始めています。

特に人気を博しているのは「任意組合型」と呼ばれるタイプの「不動産小口化商品」で、複数の投資家が賃貸マンションの「組合持分権」を購入し、出資額に応じてその物件から得られた収益が分配されるという仕組みになっています。こうした「不動産小口化商品」を用いた相続対策の一環として、大きな成果を期待できるのが「生前贈与」です。

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そもそも「生前贈与」とは? そのメリットと注意点

生前贈与」はその名称からも想像できるように、存命中に財産を先々で相続人となる人たちに分け与える(贈与する)ことを意味しています。そうやって生前に次の代への財産移転を進めておけば、その分だけ相続税の負担を抑えることができますし、相続人が納税資金を確保する一助ともなってきます。

ただし、「生前贈与」を行う際には注意すべきポイントがあります。年間に所定の金額以上の財産移転を行うと、相続税と同じく最高税率が55%となっている贈与税が課されるのです。

贈与税に定められた「基礎控除(非課税となる贈与額)」は1人当たり年間110万円で、それを超えた分に対しては金額に応じて税率が高くなる贈与税がかかってきます。「生前贈与」によって相続税を節税できたとしても、その効果を台無しにする贈与税を負担する結果ともなりかねません。

しかも、現金の「生前贈与」には2つの注意点が存在しています。その1つは、同じ資産価値の不動産と比べて贈与税の負担が重くなることです。

そして、前述した年間110万円以内にとどめていても、毎年同じ時期に同額の現金を贈与するという行為を繰り返していると、贈与税が課される恐れが生じることがもう1つの注意点です。

「毎年同じ時期に同額の生前贈与」という行為は「定期贈与」とみなされて、その金額にかかわらず贈与税が課されるのです。これを防ぐためには、分け与える度に贈与契約書を作成して押印する作業が求められてきます。

110万円超えた「生前贈与」でも贈与税の負担が軽い「不動産小口化商品」

「毎年同じ時期に同額の生前贈与」であると「定期贈与」を疑われる点は、「不動産小口化商品」のケースも同様です。たとえば、最初にまとめて10口を購入し、翌年以降に少しずつ分け与えていく場合も、やはり贈与契約書をその都度交わしておくのが賢明です。

とはいえ、「不動産小口化商品」を用いた「生前贈与」は、現金のケースと比べて贈与税の負担が軽くなるのが大きなメリットです。贈与税を計算する際に、不動産は土地と建物に分けて評価が行われます。

土地については「路線価」に基づいて評価され、一般的には実勢価格の80%程度と算定されています(路線価が定められていない市街化調整区域などでは固定資産税評価額に所定の倍率を乗じて計算)。一方、建物は「固定資産税評価額」に基づいて評価し、こちらは実際の建築費の6割程度の算定となるのが一般的です。

しかも、誰かに貸し出している賃貸不動産は、贈与税を計算する際の評価額がさらに低くなります。自己利用のケースに対し、土地については8割程度、建物については7割程度の算定となります。

こうした税制は現物の不動産のみならず、「任意組合型」と呼ばれるタイプの「不動産小口化商品」にも適用されます。贈与税の「基礎控除(1人当たり年間110万円)」を超える資産価値の「不動産小口化商品」を買い与えていても、現金のケースよりもはるかに税負担が軽くなるわけです。

現金と「不動産小口化商品」による「生前贈与」ではこんなに差が生じる!

現金のケースと比べ、具体的に「不動産小口化商品」を用いた「生前贈与」はどれだけ有利なのかについてシミュレーションを行って見ましょう。

2人の子どもに対し、それぞれ現金500万円ずつ、合計で1000万円の「生前贈与」を行った場合、「基礎控除」を差し引いた後の課税価格は390万円となり、1人当たり「390万円×15%-10万円(控除額)=48.5万円」の贈与税が課されます。トータルでは1000万円の贈与でも100万円に近い税負担となっており、贈与額が増えればさらに高い税率が適用されます。

一方、1人の子どもにつき500万円相当の「不動産小口化商品」の「生前贈与」を行い、贈与税を計算する際にその評価額が150万円だったとしたら、「基礎控除」を差し引いた後の課税価格は40万円となります。そして、1人当たりの贈与税は「40万円×10%=4万円」にとどまります。「不動産小口化商品」の評価額が購入価格よりもさらに割安になって110万円以下になれば、贈与税は一切発生しません

相続税を計算する際にも、実勢よりも評価が大幅に下がる「不動産小口化商品」

現金のケースよりも有利に「生前贈与」を進められるうえ、相続が発生した後も「不動産小口化商品」は大きな節税効果を発揮します。贈与税における税制と同じく、相続税を計算する際にも不動産の評価額は実勢よりも大幅に低くなるからです。

贈与税のところで述べたのと同様に、土地と建物ともに相続税の評価額は実勢よりも割り引かれ、同じ資産価値の現金を相続する場合よりも税負担が軽くなります。そのうえ、相続においては「小規模宅地等の特例」が設けられており、居住用や事業用に使われていた不動産が適用条件を満たせば、評価額から一定割合を減額できます。

「任意組合型」の「不動産小口化商品」も「貸付事業用宅地等」として、200㎡まで評価額を50%減額できるのです。仮に相続財産が3億円の現金で3人の法定相続人(妻と2人の子ども)が存在していたら、「基礎控除(3000万円+600万円×3人=4800万円)」を差し引いた2億5200万円が課税対象となります。

3億円の現金を分け合った場合、妻に課せられる相続税は2860万円(配偶者控除を適用できれば税負担なし)で、2人の子どもは1430万円ずつの課税となります。

しかし、3億円の相続財産が現物の不動産や「不動産小口化商品」で「小規模宅地等の特例」を適用できたとしたら、評価額を大幅 に引き下げることが可能です。実勢価値が3億円だったとしても、たとえばその3割の9000万円程度まで評価額が下がれば、4200万円に課税対象が減額されます。

その結果、妻への課税は240万円(やはり、配偶者控除を適用できれば税負担なし)で、2人の子どもは120万円ずつの税負担となります。先に述べていたように、 早い段階から「不動産小口化商品」を活用して「生前贈与」を進めていれば、もっと相続財産を減らすことも可能で、そうなるとトータルの節税効果は非常に大きくなります。

まとめ

存命中に所有している資産を減らしておく「生前贈与」は相続対策の有力手段の1つですが、現金を用いる場合は「1人当たり年間110万円を超えると贈与税が課される」というポイントがネックになります。

そこで、贈与税を計算する際の評価額が同じ資産価値の現金・預金よりも低くなるという「不動産小口化商品」の特性にご注目。実質的に110万円をはるかに超える資産価値の「不動産小口化商品」を、贈与税の負担ゼロもしくはわずかの負担で贈与できます。

 

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