#20 小規模宅地等の特例とは?圧倒的に相続税評価額を下げる使い方を解説

2020.11.06

相続対策では「小規模宅地等の特例」を上手く活用することが、節税のカギを握るといわれています。小規模宅地等の特例は、不動産の相続税評価額を大幅に減額してくれますので、不動産をお持ちの方ならぜひとも活用方法を知っておくべき特例となります。

この記事では、不動産で使える「小規模宅地等の特例」について解説します。

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小規模宅地等の特例とは

小規模宅地等の特例とは、個人が相続または遺贈により取得した財産のうち、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等、特定事業用宅地等、貸付宅地等がある場合には、一定の選択をしたもので限度面積までの部分については、規定の割合で減額できる制度です。

減額できる「限度面積までの部分」を「小規模宅地等」と呼びます。不動産には土地と建物がありますが、小規模宅地等の特例は「土地」の評価額を大幅に減額できることがポイントです。

相続する土地のうち、小規模宅地等の対象となるのは、「特定居住用宅地等」、「特定事業用宅地等または特定同族会社事業用宅地等」、「貸付事業用宅地等」の4種類になります。

4種類の土地で小規模宅地等の特例が適用できる限度面積と減額割合は下表の通りです。

小規模宅地,特定居住用宅地等,特定事業用宅地等,特定同族会社事業用宅地等

小規模宅地等の特例は、土地の利用方法によって「種類」が決まります。被相続人(亡くなられる方)の自宅の土地であれば特定居住用宅地等、賃貸マンションの土地であれば貸付事業用宅地等です。

 家業を営んでいる方や中小企業の社長の場合、個人が有している土地を家業や会社の事業の用に供している場合があります。土地が不動産貸付業等以外に利用されているケースでは、土地が特定事業用宅地等または特定同族会社事業用宅地等に該当します。

また、特定居住用宅地等においては、取得者に関して厳しい要件が定められている点も特徴です。特定居住用宅地等は、取得者が「配偶者」や「同居または生計を一にする親族」、「持ち家のない別居親族」等のうち、一定の要件を満たす人が取得する場合に限り適用ができます。

利用しやすいのは貸付事業用宅地等

小規模宅地等の特例は、減額効果も大きいですが、要件に合致するケースが少なく利用しにくい特例としても知られています。

例えば、一般のサラリーマン家庭では不動産貸付業等以外の事業も行っておらず、特定事業用宅地等や特定同族会社事業用宅地等の土地を持っていません。また、子供がマイホームを持っており同居していないケースも多いため、子供は特定居住用宅地等を利用できないケースが多いです。

よって、小規模宅地等の特例のうち、「特定事業用宅地等または特定同族会社事業用宅地等」や「特定居住用宅地等」は、一般的に使えるケースが少ないです。

一方で、「貸付事業用宅地等」に関しては、多くの方が利用できる可能性があります。

貸付事業用宅地等に該当するパターンは、以下の2つです。

貸付事業用宅地等

・被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等

・被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等

 

「被相続人の貸付事業の土地」だけでなく、「被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の土地」も適用できるため、適用できる範囲は広いといえます。ただし、相続の開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等のうち、一部のものは適用対象とはなりません。

また、貸付事業用宅地等は減額割合が50%となっており、特定居住用宅地等などよりも減額効果が低い印象があります。しかしながら、賃貸マンションやアパート等の土地は、貸家建付地としてそもそも自宅の土地よりも評価額が低くなっており、さらに50%も減額できることから、実は減額効果が相応に高い
です。

小規模宅地等の特例による減額効果

ここでは、利用しやすい貸付事業用宅地等の減額効果
について解説します。貸付事業用宅地等では、都市部の土地ほど減額効果が高く、最終的な土地の評価額は時価の1~2割程度となることもあります。

都市部では、土地の時価と相続税路線価(自用地としての価額)と2.0~2.5倍程度の差が生じていることが多いです。

貸家建付地の評価額の算式を示すと以下のようになります。

貸家建付地 = 自用地としての価額 × (1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

自用地としての価額とは、例えば特定居住用宅地等のような自宅の土地が該当します。

借家権割合は全国一律で30%、借地権割合は30~90%の間で地域によって定められた数値、賃貸割合は相続時の入居率のことです。

以下の条件で、土地の相続税評価額の圧縮効果を示します。

土地面積:200㎡
土地の利用状況:賃貸マンションの土地
土地の時価:2.4億円
自用地としての評価額:1.2億円
借地権割合:70%
賃貸割合:100%

対象地は200㎡の賃貸マンションの土地ですので、全て貸付事業用宅地等が適用できることになります。
貸付事業用宅地等を適用したときの評価額は以下の通りです。

最初に貸家建付地としての評価額を求めます。

貸家建付地 = 自用地としての価額 × (1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
= 1.2億円 × (1 - 70% × 30% × 100%)
= 9,480万円

貸付事業用宅地等 = 貸家建付地 × (1 - 50%)
= 9,480万円 × 50%
= 4,740万円

時価2.4億円の土地が4,740万円となりましたので、約8割程度圧縮できたことになります。

小規模宅地等の特例を利用するポイント

土地単価の高い物件から優先的に適用する

小規模宅地等の特例は、利用できる限度面積が決まっているので土地単価の高い物件から優先的に適用することがポイントです。自宅や賃貸マンション、アパート等、複数の不動産を保有している場合は、その中で一番土地単価が高い物件で優先的に適用することで減額効果が高くなります。

例えば、以下の2つの貸付事業用宅地等で減額効果を計算します。

小規模宅地,特定居住用宅地等,特定事業用宅地等,特定同族会社事業用宅地等

貸家建付地からの減額効果は、物件Aは4,500万円になりますが、物件Bは1,000万円にしかなりません。

減額効果は土地単価が高い土地の方が高いことがわかります。

適用させる土地の組み合わせを十分に検討する

「特定居住用宅地等」や「貸付事業用宅地等」等の複数の土地を取得する場合、組み合わせ方は十分に検討して決めることがポイントです。

「特定居住用宅地等(限度面積330㎡)」と「特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等(限度面積400㎡)」の組み合わせの場合、両者は単純にそれぞれ限度面積まで利用でき、最大730㎡まで利用することができます。

一方で、「貸付事業用宅地等」も加わると、面積の調整が必要となります。

それぞれの面積は、以下の式を満たす面積が限度面積となります。

A×(200/330) + B×(200/400) + C ≦ 200㎡

A:特定居住用宅地等
B:特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等
C:貸付事業用宅地等

複数の土地を相続する場合、組み合わせ方によって圧縮額が異なってしまいます。どのように組み合わせるかは慎重に検討する必要がありますので、必ず税理士に相談の上で決定するようにしましょう。

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まとめ

以上、小規模宅地等の特例について解説してきました。

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす宅地の相続税評価額を大幅に減額できる特例となります。小規模宅地等のうち、利用しやすいのは貸付事業用宅地等です。貸付事業用宅地等は、賃貸マンション等の貸家建付地評価減が適用されている土地に使うと大きな減額効果があります。

小規模宅地等の特例を利用するポイントは、「土地単価の高い物件から優先的に選ぶ」「適用させる土地の組み合わせを十分に検討する」の2つです。要件を満たしている土地があれば、小規模宅地等の特例の利用を積極的に検討することをおすすめします。

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