#16 不動産投資の出費で賢く節税する経費計上のコツとは?

2020.09.25

不動産投資では入居者から家賃収入が得られる一方で、購入時や所有中に様々な出費が伴うのも確かです。こうして出ていくお金の中には、不動産投資における必要経費として所得から差し引くことが税制上で認められているものがあります。

つまり、きちんと経費として計上すれば、個人で所有している場合は所得税、法人名義で所有している場合は法人税を節税できるわけです。ここでは、不動産投資の経費として認められる主な支出について紹介するとともに、上手な計上のコツについても解説します。

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そもそも不動産投資における経費にはどんなものがある?

個人で賃貸不動産を所有している場合、所得税の課税対象となるのは、手元に入ってきた年間の家賃収入から必要経費を差し引いた金額となります。したがって、経費が多ければ、その分だけ所得税の負担を抑えられます。

では、賃貸不動産のオーナーにはどのような経費計上が認められているのでしょうか?まず、所有している物件にかかる登録免許税や不動産取得税、固定資産税、都市計画税、印紙税(課税文書に貼り付ける印紙代)といった税金関連です。

また、物件を購入した際に不動産会社に支払った仲介手数料や、登記を依頼した司法書士への報酬も経費に計上できます。ただし、家賃収入に課せられた所得税や住民税は必要経費となりません。

自分自身では物件を管理していない場合、管理会社へ支払う管理手数料も必要経費として認められています。清掃費や部屋の消毒費、設備の修理・買い替え費、壁紙張り替えなどのリフォーム費(修繕費)、入居者獲得のための広告掲載費用も計上可能です。

加入している火災保険や地震保険の保険料も経費として認められていますが、注意点もあります。火災保険は最長10年分の保険料をまとめ払いできるものの、経費として一括計上することはできず、毎年1年分ずつ家賃収入から差し引いていきます。

物件の購入費(取得費用)については、減価償却による経費計上が可能です。減価償却費とは。物件の取得費用を耐用年数に応じて分割して計上する方法です。ただし、土地の取得費用については、減価償却の対象となっていません。

ローンを組んで購入している場合、借入元本の返済分は経費に相当しませんが、利子の返済分については対象となります。

国税当局が過去に経費として認めなかったものとは?

他にも、不動産投資について学ぶために参加したセミナーの費用や、教材として購入した書籍、ネット上の有料情報も経費に該当します。物件を見学する際にかかった交通費(電車賃、自動車のガソリン代・レンタカー代・高速道路料金など)も計上できます。

不動産会社への手土産や担当者との飲食代など、不動産投資に関連した交際費も経費に該当します。ただし、いずれにおいても本当に不動産投資に関わるものであったのかどうかについて疑われる恐れもあるので、レシートや領収書をきちんと保管し、関連性を示す客観的な証拠を残しておくのが無難です。

一方で、どれだけ関連性について主張しても、国税当局が経費として認めてくれないものもあります。その典型例は、不動産会社との打ち合わせの席で着用したスーツの購入費用で、プライベートでも使用できて線引きが困難であることがその理由です。

また、不動産について深く学ぶために宅地建物取引士などの資格を取得したとしても、そのための費用は経費に当てはまりません。さらに、物件を個人で所有している場合は個人事業主とみなされるので、たとえ不動産投資に関連している費用であっても、福利厚生費用は経費として認められません。

法人所有にすると、個人所有のケースよりも経費計上が有利に!

先程、「たとえ不動産投資に関連しているものであっても、個人事業主が福利厚生費を経費に計上することは認められていない」といった趣旨の話をしました。言い換えれば、「法人所有なら福利厚生費も計上可能となる」ということを意味しています。

福利厚生以外でも、法人所有のほうが個人所有のケースよりも経費の計上が有利になってきます。たとえば、自分で複数の物件を管理していて巡回チェックのために自動車を用いていたとしても、個人所有の場合はそのガソリン代などを経費として全面的に認めてもらえない可能性があります。

なぜなら、不動産投資のために使用したのか、それともプライベートで使用したのかという区分けが不透明だからです。その点、物件と自動車の所有をどちらも法人名義としている場合なら、すんなりと経費として認められます。

企業の使命は利潤の追求にあり、「法人のあらゆる活動は収入を得ることを目的としている」との考えに基づいているのです。生命保険にしても、自分を法人の役員にして会社として加入する形式にすれば、その保険料を経費に計上できます。

途中で解約して解約返戻金を受け取った場合は法人の利益に計上されますが、役員の退職金支払いや損失などと損益通算すれば、課税を免れることも可能です。

節税も大事だが、不要な経費は抑えることも賃貸経営では重要

相続対策として不動産投資を検討する際にも陥りやすいことなのですが、とかく節税だけに気を取られてしまうと、本末転倒ともなりかねません。不動産投資の本来の目的は、長く安定的な家賃収入を得ることにあります。

相続対策なら、そのような優良資産を次の代へ継承することを念頭に置きつつ、賃貸不動産は現金・預金などよりも「相続税評価額」が大幅に下がるという特性を生かして相続税負担軽減も図るわけです。相続以前の賃貸不動産経営においても同様で、必要性の感じられない経費を計上して税負担を抑えることばかりを追求すると、手元になかなかお金が残らない結果ともなってしまいます。

また、むやみに経費をかけて赤字経営にしていると、2棟目、3棟目を計画する際の支障となる恐れもあります。金融機関が融資に関して、二の足を踏む可能性が出てくるのです。

法人のメリットに着目して正当な経費はしっかりと計上しつつ、きちんとキャッシュフローを生み出す賃貸不動産経営を進めていくのが王道だと言えるでしょう。

まとめ

不動産投資を行ううえで必要な経費だと国税当局が認めている支出は、税務申告の際に家賃収入から差し引くことができるので、その分だけ課税を抑えられます。そして、個人所有のケースよりも法人所有のケースのほうが経費として認められる対象が広がります。

そういったメリットに着目し、個人で所有している人は法人を設立してその名義に変更するのも一考です。ただ、だからといってむやみに不要な経費をかけてしまうと、安定的なキャッシュフローを得るという本来の不動産投資の目的を見失いがちになるので気をつけましょう。
 

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