#12 ローンを組んで資産を圧縮!メリットと圧縮効果を解説

2020.08.28

ローンは相続税評価額を下げてくれるマイナスの資産であるため、相続対策でローンを組むことには積極的な意味合いがあります。ローンの特徴を知れば、効果的な相続対策をすることができます。

そこでこの記事では、「ローンを組んで資産を圧縮するメリット」について解説します。相続対策でローンを組むメリットやローンを使った収益物件の相続税評価額の圧縮効果をお伝えします。

相続税と不動産活用の基礎知識はこちら>>>

相続税のプロ】【不動産投資のプロ】に相談したい方はこちらよりお問合せください>>>

相続で重要となる3つの対策

相続対策には、「節税対策」と「納税対策」、「分割対策」の3つ柱があります。

1つ目の節税対策とは、相続税そのものを少なくするための対策です。収益物件の相続税評価額は時価よりもかなり低くなるため、実際に持っている資産の価値よりも相続税が低くなります。それに対して、現金の相続税評価額は額面額と同じになるため、現金には相続税を圧縮する効果はありません。

よって、節税対策は不動産が得意で、現金は苦手という関係にあります。

2つ目の納税対策とは、相続後、相続人が相続税を納税できるようにするための対策です。相続税は現金納付が原則であるため、相続税を納税するには相続人が十分な現金を持っていることが必要になります。

仮に現金だけを相続した人は、相続した現金を使って納税をすれば良いので、納税の心配をする必要はありません。それに対して、不動産だけを相続した人は、納税用の現金を相続人が自分で用意する必要があります。

よって、納税対策は不動産が苦手で、現金は得意という関係にあります。

3つ目の分割対策とは、相続人同士で遺産を分けやすくする対策です。相続人が複数人いる場合、不動産は金額も大きく相続人間で遺産を平等に分けにくいという性質があります。それに対して、現金は1円単位で分けることができるため、平等に分けやすいです。

よって、分割対策は不動産が苦手で、現金は得意という関係にあります。

相続対策でローンを組むメリット

資産の圧縮により節税対策ができる

ローンはマイナスの資産であり、相続時に借入金が残っていると資産を圧縮できるため、節税対策になります。

ローンはマイナスの現金であるため、残額をそのまま財産額から控除することができます。例えば、収益物件の相続税評価額が8,000万円で、相続時のローン残債が7,000万円の場合、相続税評価額は1,000万円(=8,000万円―7,000万円)となります。

ローンを使って時価よりも相続税評価額が低い収益物件に投資をすることで、さらに資産を圧縮する相乗効果があるのです。

現金も残すことで納税対策と分割対策もできる

ローンを使うことで手持ちの現金も残せるため、納税対策と分割対策もできるというメリットがあります。

例えば、1億円の現金を持っている人が、1億円を全て収益物件に変えるとします。現金が収益物件になることで節税対策にはなりますが、被相続人(亡くなった人)の資産構成の中から現金がなくなります。

資産構成が「収益物件」だけとなり、相続人は納税のために自ら現金を用意する必要性が生じます。また、収益物件が1つだけだと遺産を相続人間で分けにくくなります。

一方で、1億円の現金を持っている人が、1億円のローンを借りて収益物件を購入したとします。資産構成としては、「1億円の現金」と「1億円のローン」、「収益物件」の3つが存在することになります。相続税の圧縮効果は、1億円を全て収益物件に変えた場合と同じです。

ローンを使うと資産構成の中に現金が多く残るため、相続人が引き継いだ現金を使って納税することができます。つまりローンによって、納税対策ができるようになるのです。

また、現金が残ることで、相続人が複数人いる場合、相続人間で遺産が分けやすくなります。よってローンを使うことは、分割対策にも繋がります。

ローンを使えば不動産に加えて十分な現金を残すことができるため、ローンを活用した方がバランスの取れた相続対策ができるようになります。

レバレッジ効果も得られる

ローンを使うことでレバレッジ効果が得られるというメリットがあります。

レバレッジとは「てこ」という意味です。

例えば、自己資金3,000万円持っている人が実質利回り5%の物件に自己資金割合100%で投資をすると3,000万円の物件に投資をすることになり、得られる年間収益は150万円になります。

一方で、自己資金3,000万円持っている人が同じく実質利回り5%の物件に自己資金割合30%、借入金割合70%で投資すると1億円の物件に投資をすることができ、年間500万円の収益を得ることができます。

ローンは相続対策だけでなく、レバレッジ効果による収益力の向上効果も生み出します。

ローンを使った収益物件の相続税評価額の圧縮効果

この章では、以下の条件でローンを使って収益物件を建てたときの相続税圧縮効果について解説します。

土地の自用地としての相続税評価額:1億円

建物の請負工事金額:1億円

ローンの借入額:9,000万円

借地権割合:60%

賃貸割合:100%(相続時の入居率のこと)

 

建物の相続税評価額

収益物件における建物の相続税評価額の計算式は以下の通りです。

建物の評価額=建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

まず、建物の相続税評価額は固定資産税評価額がベースとなります。建物の固定資産税評価額は、新築当初は請負工事金額の50~60%程度で評価されるのが一般的です。

収益物件の建物は、借家権割合の減額が適用されます。借家権割合は、全国どこでも一律に30%が用いられます。

賃貸割合とは、相続時の入居率のことを指します。満室であれば100%です。

仮に、建物の固定資産税評価額が5,000万円とした場合、建物の相続税評価額は以下のようになります。

建物の評価額=建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

=5,000万円×(1-30%×100%)

=3,500万円

 

土地の相続税評価額

収益物件における土地の相続税評価額の計算式は以下の通りです。

土地の評価額=自用地としての価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

土地に関しては、相続税路線価をベースに評価額が決定されます。収益物件の土地の評価では、借家権割合に借地権割合と賃貸割合を乗じた率の減額が適用されます。

借家権割合と賃貸割合は、建物の相続税評価額で用いた率と同じものを用います。

借地権割合とは、30%~90%の間でエリアごとに定められた数値を用います。

相続税路線価は、公示価格と呼ばれる土地価格の80%を目安に設定されています。公示価格とは、国が示す毎年1月1日時点の土地価格のことです。この公示価格は、都市部では公示価格の1.5倍~2.0倍程度、地方では公示価格の1.0倍~1.1倍程度が時価になります。

そのため、自用地としての価額は時価の40%~80%程度で評価されます。

自用地としての相続税評価額を1億円、借地権割合を60%とした場合、土地の評価額は以下の通りです。

土地の評価額=自用地としての価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

=1億円×(1-60%×30%×100%)

=8,200万円

 

借入金を加味した相続税評価額

最後に借入金を加味した相続税評価額を計算します。借入金はマイナスの現金であるため、相続時の額面額がそのままマイナスされます。

前節までで計算した建物と土地の評価額と、借入金の額(9,000万円)を考慮すると、新築当初の相続税評価額は以下の通りです。

相続税課税標準額=建物評価額+土地評価額-借入金の額

=3,500万円+8,200万円-9,000万円

=2,700万円

収益物件を持つだけでも節税効果はありますが、ローンを使えばさらに資産の圧縮効果が生まれます。

ローンは手持ちの現金を残しつつ、さらに時価と相続税評価額とのギャップを一層大きくすることができます。よって、ローンは相続対策に欠かせない存在といえるのです。

まとめ

以上、ローンを組んで資産を圧縮するメリットについて解説してきました。

相続対策はローンを組むことによって、「資産の圧縮により節税対策ができる」と「現金も残すことで納税対策と分割対策もできる」、「レバレッジ効果も得られる」という3つのメリットがあります。

相続税評価額は相続時にローン残債が残っていると、その残額をそのままマイナスすることができます。収益物件は相続税評価額が時価よりも低いですが、ローンによってさらに相続税評価額差圧縮されます。

相続対策においては、ローンを組むことで現金を残せるという重要な意味があります。借入金を使ってバランスの取れた相続対策をご検討ください。

 

合わせて読みたい記事