#10 地方の高利回り物件で失敗する?相続対策でうまくいかない理由とは

2020.08.13

収益物件には一定の相続対策効果がありますが、地方の高利回り物件で相続対策をしようとすると失敗するケースも出てきます。
相続対策の節税効果は、実は土地のエリアや建物の築年数によっても異なります。ではなぜ地方の高利回り物件は相続対策に向かないのでしょうか。

そこでこの記事では、地方の高利回り物件による相続対策の失敗について解説します。

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収益物件が相続対策になる理由

最初に収益物件が相続対策になる理由について解説します。

収益物件を保有することが相続対策になるのは、収益物件の相続税評価額が時価よりも低くなるためです。

相続税は被相続人(亡くなる人)が相続時に保有していた資産の評価額を元に計算される税金です。

現金であれば現金の金額がそのまま相続税評価額となります。1億円の現金を持っていれば、相続税評価額は1億円として相続税が計算されます。

一方で、収益物件は一般的には時価よりも低い金額が相続税評価額となります。時価が1億円の収益物件であっても、相続税評価額が3,000万円や5,000万円といった低い金額となることが多いです。

同じ1億円という資産を持っていたとしても、収益物件の方が現金よりも相続税評価額が低くなるため、相続税が節税されることになります。

収益物件の相続税評価額が低くなる理由は、相続税評価額が以下の算式で求められるからです。

建物の評価額=建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合※)

土地の評価額=自用地としての価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合※)

※賃貸割合:相続時の入居率のこと

建物については、建物の固定資産税評価額から借家権割合を減額したものが相続税評価額になります。建物の固定資産税評価額は新築当初は請負工事金額の50~60%程度です。また借家権割合は全国一律で30%です。

請負工事金額を100%とした場合、固定資産税評価額は50~60%程度となり、さらに▲30%の借家権割合によって減額されます。

最終的には、請負工事金額の35~42%程度の金額が建物の相続税評価額となります。

一方で、土地については、自用地としての価額に借地権割合と借家権割合を乗じた割合で減価したものが相続税評価額となります。

借家権割合とはエリアによって異なりますが、30~90%の間で定められた数値です。自用地としての価額は、相続税路線価を元に計算されます。相続税路線価は、地価公示の80%程度が目安です。地価公示とは国が毎年公表している定点地の土地価格を指します。

仮に借地権割合が60%の土地の場合、30%の借家権割合を乗じると減価率は18%と計算されます。地価公示の80%程度の金額から、18%が減額されることになり、最終的には地価公示の約67%の金額が土地の相続税評価額となります。

このように、収益物件は借家権割合や借地権割合によって減額される計算ルールがあることから、相続税評価額が時価よりもかなり安く計算されるのです。

地方の高利回り物件が相続対策に失敗する理由

この章では、地方の高利回り物件が相続対策に失敗する理由について解説します。

土地の圧縮率が低い

地方の物件は、相続税評価額の土地の圧縮率が低いため、節税効果が低いです。

同じ1億円の物件を購入しても、相続税評価額が都内の物件なら3,000万円くらいまで下がるのに対し、地方の物件では6,000万円程度にしかならないことがあります。

地方の方が時価とのギャップが生まれにくいのは、地方の土地が時価と相続税評価額とのギャップが小さいことが理由です。

前章で解説したように、相続税路線価は地価公示の80%ですが、実は地価公示価格の時価とのギャップの生じ方に都市部と地方では違いがあります。

土地の時価は、都市部の土地だと地価公示価格の1.5~2.0倍程度です。それに対して、地方の土地だと地価公示価格の1.0~1.1倍程度にしかなりません。土地の時価と相続税評価額のギャップは、都市部の物件ほど大きくなります。

そのため、同じ価格の収益物件を購入した場合、地方の物件は都市部の物件よりも時価とのギャップが小さく、節税効果も薄くなってしまうのです。

中古の物件は時価とのギャップが小さい

建物も中古物件の方が時価とのギャップが小さいという点も特徴です。

時価と相続税評価額とのギャップは新築時が最も大きく、築年数が古くなり過ぎると逆転してしまうこともあります。

建物の時価と固定資産税評価額の減り方を図示すると以下の通りです。

建物の固定資産税評価額は、新築時は請負工事金額の50~60%程度で評価されます。

その後、固定資産税評価額は築年数が経過してもなかなか下がっていきません。

一方で、建物の時価は経年とともにゼロに近づきますので、どんどん下がっていきます。築年数の古い物件では、時価と固定資産税評価額が逆転してしまうこともあるのです。

高利回りを追求して、築年数の古い物件を購入してしまうと、建物の相続税評価額が時価との間にギャップが生じていないことが良くあります。

築年数の古い高利回り物件は、建物についても相続税評価額と時価とのギャップが小さく、節税効果も薄くなっているのです。

賃貸割合が低くなる可能性がある

地方の高利回り物件は、賃貸割合が低くなる可能性があることも注意するポイントです。

収益物件の相続税評価額の計算式を再度示します。

建物の評価額=建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
土地の評価額=自用地としての価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

建物にも土地にも、計算式の中に「賃貸割合」があります。賃貸割合とは、相続時の入居率のことで、土地も建物も同じ数値を用います。

借家権割合や借地権割合は変動しませんが、賃貸割合は相続時の入居率によって異なるため、変動する可能性のある数値です。入居率は100%が最も減額効果が高くなります。

地方の高利回り物件は、空室リスクが高いため、相続時に賃貸割合が低くなっていることが良くあります。

つまり、空室の多い物件は、節税効果が薄れてしまうのです。

大規模修繕や空室対策のリフォーム等で現金が大きく減る

地方の高回り物件は、築年数が古いことが多く大規模修繕費が生じたり、空室対策のリフォーム等が必要となることもあり、現金が大きく減る可能性があります。

大規模修繕や空室対策のリフォーム等によって、現金が大きく減ることは相続対策としては大きな問題となります。

相続税は現金納付が原則ですので、相続財産としてある程度現金も相続させなければなりません。被相続人(亡くなる人)に現金がほとんどないと、不動産を受け継いだ相続人は自腹で納税資金を工面しなければならなくなります。

相続人も納税資金がなければ物件を売らざるを得なくなり、結局は資産を守れなくなってしまうのです。

相続対策では、地方の高利回り物件のように現金が大きく流出する可能性のある物件は避けるべきといえます。

相続対策におすすめの物件とは

相続対策に理想的な物件は、都内の新築ワンルームマンションです。

都内の物件は土地の時価と相続税評価額のギャップが大きくなり、新築物件であれば、建物も時価と相続税評価額のギャップが大きくなります。

また、都内のワンルームマンションは空室率が低く、賃貸割合を高く維持することが可能です。

新築当初は修繕費も発生しませんし、空室対策のリフォーム等も不要であることから、被相続人が家賃収入をしっかり貯めることができます。

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まとめ

以上、地方の高利回り物件による相続対策の失敗について解説してきました。

地方の高利回り物件が相続対策に失敗する理由には、「土地の圧縮率が低い」、「中古の物件は時価とのギャップが小さい」、「賃貸割合が低くなる可能性がある」、「大規模修繕や空室対策のリフォーム等で現金が大きく減る」の4点があります。

相続対策の効果は選ぶ物件によって異なりますので、専門家に相談して自分に合った物件を探しましょう。

 

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