#82 不動産小口化商品の3つのタイプとは?メリットと注意点を紹介!

2022.09.30

不動産小口化商品 メリットと注意点

3つのタイプの違いをきちんと理解し、的確に使い分けよう!

不動産小口化商品には「任意組合型」「匿名組合型」「賃貸型」という3つのタイプがあります。この記事では、それぞれのメリットと注意点について紹介します。
まず、いずれにおいても共通しているメリットは、「不動産特定共同事業」の事業者としての要件を満たしたプロに、有望な賃貸物件の選別や運営・管理をすべて委ねられ、投資家はその家賃収入を原資とする分配金を自動的に受け取ることができる点です。入居者の募集や退去者への対応、日頃の管理などといった業務はすべて事業者が行うので、投資家は賃貸経営に直接タッチしなくて済みます。
しかも、数百万円〜数億円といった投資になる区分所有マンションや一棟マンション(アパート)と比べて、気軽に始められる選択肢となります。とはいえ、すでに述べてきたように、「任意組合型」と「匿名組合型」、「賃貸型」には特徴に違いがあります。それぞれのメリットや注意点についてきちんと理解し、的確に使い分けることが肝心だと言えるでしょう。

そこで、ここから先では改めて3つのタイプのメリットと注意点を整理し、それぞれにおいてどういった活用法が適切なのか考えてみたいと思います。上手く使い分けることができれば、不動産小口化商品は資産運用のみならず、相続対策などにも大きな効果を発揮することでしょう。

「任意組合型」のメリットと注意点とは?

不動産は税制上の評価額が時価よりも大幅に低くなることから、現金・預貯金や有価証券などと比べて相続税や贈与税の負担を抑えられます。しかも、その不動産を賃貸に活用していれば評価がさらに低くなるうえ、安定的な収益(家賃収入)までもたらしてくれます。
「任意組合型」の不動産小口化商品の場合、その出資方法には「現物出資型」と「金銭出資型」という2つのパターンがありますが、どちらにおいても通常の不動産と同じ税制が適用されるのが大きなメリットです。加えて、小口化されているので複数の相続人が存在しても分けやすく、その点でも相続対策に活用しやすいと言えるでしょう。
ただし、留意しておきたいこともあります。「現物出資型」では投資家が共有持分を購入したうえで任意組合に現物出資を行うというプロセスを経るので投資家の氏名が登記され、その費用が発生するのです。
現物出資後、各々の投資家の共有持分は任意組合の財産となり、登記名義人は事業者(業務執行組合員)となります。ただ、民法の定めに基づく出資で実質的に任意組合の財産であることは明白ですから、もしも事業者が経営破綻に陥ったとしても、債権者による強制執行などは事実上避けられます。
これに対し、「金銭出資型」では投資家の氏名が登記されることはないので登記費用は発生しません。とはいえ、投資家が任意組合に資金を出資し、組合員の共有財産として不動産を保有しているので、やはり同様に節税メリットを享受できますし、財産の保全面についても「現物出資型」と同様の解釈がなされます。
もう一つ、「任意組合型」は損失が発生した際に、出資者が「無限責任」を負うことに留意しておいたほうがいいでしょう。「無限責任」とは、出資額を超える損失が発生した場合に、すべての出資者(組合員)が超過分も負担するというものです。なお、「任意組合型」の不動産小口化商品は長期的な運用を前提としているケースが多く、運用期間は10年以上で、1口=100万円〜といった条件で設定されるのが主流です。長く安定的な分配金(家賃収入)を期待しつつ、将来的には相続対策にも活用したいと考えている人を意識した商品設計になっているようです。

「匿名組合型」のメリットと注意点とは?

長期のスパンで安定収益を得たい人や相続対策に活用したい人のニーズを満たす「任意組合型」に対し、相対的に「匿名組合型」は短期運用向きの商品設計になっています。運用期間は数カ月〜数年程度で、出資額は1口=数万円〜という設定が主流です。
「匿名組合型」のメリットとしてまず挙げられるのは、「優先劣後方式」を採用しているものが存在していることでしょう。同方式は、投資家が投じた資金は「優先出資」、事業者が投じた資金は「劣後出資」として扱われます。
その名称の通り、「優先出資者」である投資家は得られた利益を優先して受け取ることができ、「劣後出資者」である事業者に入ってくるのはその残りです。損失が発生した場合は、逆に「劣後出資者」である事業者が「優先出資者」である投資家に先んじてそれを負うことになります。損失額が「劣後出資」の範囲内にとどまっていれば、投資家にまでダメージが及ぶ恐れがないということです。
また、「匿名組合型」のもう一つのメリットは、投資家に問われるのが「有限責任」であることでしょう。投資家の責任は出資額の範囲内に限定され、それを上回る損失を被る恐れはありません。
一方、不動産投資の大きな魅力である相続税や贈与税の節税効果を期待できないことが「匿名組合型」の注意点です。不動産の専門家である事業者に運用・管理を委ねられ、自動的に分配金(家賃収入)も支払われるといった特徴は「任意組合型」と共通しているものの、税制上においてその収益は雑所得とみなされます。

「賃貸型」のメリットと注意点とは?

投資家が不動産の共有持分を購入し、それを事業者に貸し出すのが「賃貸型」の不動産小口化商品です。共有持分を購入することから、投資家の氏名が登記され、そのための費用が発生するのは「任意組合型」の「現物出資型」と共通した注意点です。共有持分を所有しているため、「賃貸型」の不動産小口化商品も「任意組合型」と同様に相続税や贈与税の節税効果を期待できることが大きな特徴であり、メリットであると言えるでしょう。税制上、投資家が得た分配金(家賃収入)は不動産所得として扱われる点も同じです。
単に共有持分を貸し出しているだけなので、物件の運営・管理を手掛ける事業者が経営破綻に陥ったとしても、投資家の所有権が脅かされることはありません。もっとも、事業者の経営が成り立たなくなってしまうと、以後の運営に関して困窮する恐れも生じます。
こうした事情も踏まえてのことか、「賃貸型」の不動産小口化商品はあまり出回っていないのが現実です。選択肢が少ないことは、投資家側にとって難点だと言えるでしょう。
したがって、相続対策も念頭に置いて不動産小口化商品に注目する場合は、「任意組合型」を中心に選別することになります。

ここまで、「任意組合型」「匿名組合型」「賃貸型」のメリットと注意点を紹介しました。それぞれをきちんと理解したうえで、検討するようにしましょう。

 

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