#80 富裕層がいち早く不動産小口化商品に注目した理由とは?

2022.09.02

富裕層が不動産小口化商品を選ぶ理由は5つある

新築一棟マンションを購入するケースと比べてはるかに少額の資金から投資できるのが不動産小口化商品の大きな特徴です。こうしたことから、今まで予算的に手が届かなかった人たちも不動産投資を始められるようになりました。

ところが、実はいち早く不動産小口化商品に目をつけたのは、もっぱら富裕層だったと言えそうです。富裕層は新築一棟マンションへの投資も十分に可能であるはずですが、いったいなぜなのでしょうか?

最初に結論から述べれば、富裕層が不動産小口化商品に注目する主な理由は次の5つです。

① 過去に不動産投資の経験がなくても、気軽に試せる金額のため

② 将来的な相続を見据えて、計画的に対策を進める手段として有効なため

③ 分けやすく、“争族”を避ける対策を打つことができるため

④ 幅広い分散投資が容易で、資産全体のリスクを軽減できるため

⑤ 物件の管理のみならず、先々の“出口戦略”もプロに委ねられるため

 

投資話に慎重な富裕層も“不動産小口化商品なら気軽に試せる”

これら5つの理由について、個別にクローズアップしていきましょう。まず、「過去に不動産投資の経験がなくても、気軽に試せる金額のため」という理由に関しては、ちょっと首を傾げてしまった読者もいるかもしれません。

おそらく一般的には、富裕層と大地主はイメージが重複しがちでしょう。ところが、先祖から承継してきた土地や自宅を除けば、めぼしい不動産は所有していないという富裕層は意外と少なくないのが現実です。

その一方で、日頃から富裕層が辟易しているのは投資の勧誘話でしょう。信頼できる人物からの紹介でなければ、一切耳を貸さないというスタンスを貫く人も多いようです。

一棟マンションのように投資額が大きくなるほど、いっそう慎重な姿勢を取るのはごく自然なことでしょう。

概して投資に慎重なスタンスの富裕層も、実際に試してみて感触をつかめば、その後の行動は一変することが多いようです。不動産小口化商品を購入後、すぐに新築一棟マンションへの投資も始めたという富裕層も見受けられます。

 

現金などと比べて税負担が軽く“事前に相続対策を進めるうえでも有利”

不動産小口化商品にはいくつかの種類があり、特に富裕層の間で支持されているのは「任意組合型」と呼ばれるタイプです。なぜなら、このタイプでは投資家は賃貸マンションを保有する任意組合に出資します。民法上、組合員は組合財産の持分を有します(通常の共有でなく合有ですが)。相続税計算において、出資金の評価額を算定する場合、組合財産の持分を評価して算定します。よって、組合財産が不動産のみの場合、出資金は不動産評価額と同額となることから、資産の圧縮効果が相続に有利に働くためです。

相続税の課税額を算出する際、不動産は現金などと比べて時価よりも割安に評価されるようになっています。現金で所有していた資産が額面通りの相続税評価額となるのに対し、土地は時価の概ね80%に相当する評価額となるうえ、マンションなどを建てて他人に貸していると、さらに20%程度も減額されます。しかも、「小規模宅地等の特例」という制度を適用できれば、土地の相続税評価額をさらに50%も減額できます。

建物についても時価よりも割安な相続税評価額になり、他人に貸している場合はさらに減額されます。こうして評価額が下がれば、その分だけ相続税の負担が減ることになります。

相続の問題が間近に迫る前から着実に対策を進めるうえでも、不動産小口化商品は非常に重宝する存在だと言えるでしょう。なぜなら、資産を遺す人(被相続人)の存命中に課税対象(相続財産)をできるだけ減らしておく「生前贈与」を進めるうえで有効な選択肢となってくるからです。

将来的に相続人となる人への「生前贈与」を行う際の注意点は、年間110万円を超えると贈与税が課されることです。

しかし、不動産小口化商品なら先に触れた相続税のケースと同様、贈与税を計算する際にも不動産の評価額は現金よりもかなり低くなり、同額の現金を贈与するケースよりも税負担が軽くなります。

 

相続人の数が多くても分けやすく“納税資金にも充てられる”

2015年1月から相続税の課税強化(基礎控除額の引き下げと税率の引き上げ)が実施され、相続問題は富裕層だけの悩みではなくなっています。そのうえ、莫大な遺産ではなかったとしても、分け方を巡って相続人同士の意見が対立して関係が悪化するケースが増えています。

いわゆる“争族”で、承継させる資産の規模が大きくなるほど、いさかいが生じるリスクはいっそう高まっていくでしょう。富裕層の相続対策においては、「相続人同士が揉めないようにどう分けるか?」というテーマも重要になってくるわけです。

そういった観点に立つと、一棟マンションは相続税の節税効果が大きいものの、分け合うのは難しいのが現実です。安易に相続人間で共有名義にした結果、先々でその処分(売却)を巡って揉めに揉めたというケースも少なくありません。

かといって、相続人となる家族の数だけ一棟マンションを購入するのは、けっして簡単な話ではないでしょう。しかし、不動産小口化商品なら相続人の数に応じて複数口を購入することが容易です。

また、資金が必要になった際、一棟不動産は一部分のみ売却して現金化することが難しいのがネックですが、不動産小口化商品なら必要な口数のみの売却が可能です。不動産小口化商品を相続対策に活用中の富裕層は、こうしたメリットに着目しているのです。

 

富裕層の間で“常識”の分散投資を容易に実践できる

世界的に資産運用の鉄則は、幅広い分散投資を行うことだと言われています。なぜなら、特定の投資対象に資産が偏重していると、リーマンショックやコロナショックなどいった危機的な事態が発生した際に大きなダメージを被りかねないからです。

タイプの異なる資産に幅広い分散投資を実践することで、いずれかで大きな損失が発生した場合も異なる資産の収益がカバーし、全体的なリスクを軽減することが期待されます。こうしたことから、ヨーロッパ発祥で富裕層向けの金融サービスであるプライベートバンキングにおいても、グローバルな規模の分散投資が大前提となっているようです。

言い換えれば、富裕層において分散投資は当たり前の話なのです。そして、値動きが景気に連動しやすい株式などのリスクを抑える手段として、賃貸マンションのような居住用不動産は特に有効だと考えられています。

なぜなら、居住用不動産は不況下でも需要が安定的に推移するからです。現に、新型コロナウイルスの感染拡大で「ステイホーム」を強いられた局面で幅広い分野が打撃を受けましたが、賃貸需要は堅調な推移を示してきました。

しかも、不動産小口化商品は少額から投資でき、より幅広い分散投資を容易に実行できます。

 

管理の手間がなく“難しい売却の判断もすべてプロに任せられる”

不動産小口化商品では、不動産特定共同事業法の下で許可を受けた事業者が日頃の物件運営・管理を手掛けています。そして、先々で売却する際の対応も事業者が行います。

契約に定めた一定期間が経過すると、事業者は物件を一括売却してその代金を出資分に応じて個々の投資家に分配します。もっとも、1990年代初頭のバブル崩壊では多くの人々が大きな損失を被ったように、不動産は特に売却の判断が難しいのが実情です。

いわゆる“出口戦略”で、どういったタイミングでいかに有利に売却するのかに関して、一般の投資家が自分だけで判断することは容易でありません。不動産小口化商品なら売却のこともプロに任せられるので、その点も富裕層から選ばれている理由となっているようです。

以上のように不動産小口化商品には、相続を含めた資産承継に活かせるメリットがいくつもあります。富裕層の方のみならず、不動産投資を検討されている方は、多くのメリットを享受できる不動産小口化商品の活用を視野に入れておくことをお勧めします。

 

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