#66 不動産投資でローンを組むときはどれくらいの頭金が必要?

2022.01.14

不動産投資を始める際に、どれくらいの頭金を準備すれば良いのか悩んでしまう方は少なくありません。

まったく頭金を準備せずに不動産投資を始めるのは困難です。一方で、頭金を多く入れれば良いというわけでもないため、慎重に資金計画を立てる必要があります。

本記事では、不動産投資を始める際に必要な頭金の目安や、頭金を多く入れるメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。

頭金なしで不動産投資ローンを組むのは困難

2021年11月現在、頭金を準備せずフルローンを組んで賃貸マンションや賃貸アパートを購入するのは困難な状況です。かつては、フルローンを組んで不動産投資をする方は少なくありませんでした。しかし2018年に発生した金融機関の不正融資問題をきっかけに、融資審査が厳しくなったことで、フルローンを組んで不動産投資をするのが困難になっています。

金融庁の調査によると「購入金額の一部を顧客の自己負担で賄わせているか」という質問に対する金融機関の回答は以下の通りです。

※出典:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果

不動産投資ローンを取り扱う銀行の95%、信用金庫・信用組合の87%が、物件の購入時に頭金を求めていると回答しました。

投資する物件やローンを組む人の属性にもよるため一概にはいえませんが、少なくとも物件価格の1〜2割程度の頭金を求められるのが一般的です。例えば、物件価格が5,000万円である場合、500〜1,000万円の頭金が必要であると考えられます。また、物件によっては5割の頭金を求められることもあります。

頭金が少なくても良いケース

金融機関の融資審査は厳しくなっていますが、一方で以下にあてはまる場合、求められる頭金の割合が少なくなるといわれています。

● 属性が高い人
● 担保物件の積算評価が高い人

属性とは、資産家のように多額の資産を持っている人や、一流企業に勤める会社員のような安定して高収入を得ている人が当てはまります。属性が高い人は、ローンの返済を滞納されるリスクが低いため、頭金が少なくても融資を承認してくれる可能性があるのです。

積算評価は、不動産の担保としての価値です。もし融資したローンを返済してもらえなくなった場合、金融機関は担保としている物件を売却して融資金の回収を試みます。購入する物件やすでに投資をしている物件などの積算評価が高いと、万が一返済してもらえなくなったとしても、金融機関は担保物件の売却金で融資したお金を回収できるため、頭金が少なくても審査に通過できることがあるのです。

不動産投資で頭金を多く入れるメリット

ここからは、頭金を多く準備して不動産投資を始めるメリットやデメリットを確認していきましょう。まず、頭金が多いメリットは以下の3点です。

● 返済負担を軽減できる
● 融資審査に有利になる
● 金利上昇リスクを抑えられる

返済負担を軽減できる

不動産投資ローンを組んだ場合、元本に利息を含めて返済しなければなりません。利息は、簡単にいえばローン残高に金利をかけて計算します。頭金を多く準備して、借入額を減らすことで返済負担を軽減できるのです。

不動産投資をすると、ローンの返済以外にも建物の修繕や管理、税金の支払いなどのコストがかかります。頭金を多く準備することで、家賃収入から差し引かれる金額が減り、より多くのお金を手元に残せるようになります。

融資審査に有利になる

頭金を多く準備すると、融資審査に通過しやすくなったり、希望する額の融資を受けやすくなったりするといわれています。

金融機関が審査をするのは、融資をしたあとにきちんと返済してくれるかどうかを判断するためです。頭金を多く準備できると、計画的にお金を扱える人であると金融機関から評価され、審査に有利に働くことがあるのです。

金利上昇リスクを抑えられる

金利上昇リスクとは、変動金利型の不動産投資ローンを組んだ場合、返済途中で金利が上昇することで返済負担が増えてしまうリスクのことです。

不動産投資ローンの融資額が高いほど、金利が上昇したときに返済負担が増えやすくなります。そのため頭金を多く準備して借入額を減らすことで、金利上昇が起きたときの返済負担の増加を抑えられます。

不動産投資で頭金を多く入れるデメリット

頭金を多く入れるデメリットは、以下の3点です。

● レバレッジ効果が減少する
● 不動産投資をはじめるタイミングが遅くなる可能性も
● 手持ち資金が減ってしまう

レバレッジ効果が減少する

レバレッジ効果とは、自己資金に他人の資本を加えて投資効率を高めることです。いくら利回りが高くても、投資額が少ないと高いリターンは期待できません。不動産投資であれば、不動産投資ローンという他人の資本を利用することで、自己資金が少なくても高い家賃収入を期待できる物件に投資できます。

レバレッジ効果が得られることは、不動産投資の代表的なメリットの1つです。しかし頭金を多く入れると、借入額が減るためレバレッジ効果が減少してしまいます。投資効率を高めたいのであれば、頭金の額を減らして借入額を増やすことが大切です。

不動産投資をはじめるタイミングが遅くなる可能性も

不動産投資は、所有している物件を担保に2件目、3件目と規模を拡大していくのが一般的な投資です。複数の物件に投資をすることで、リスクが分散され安定的に収益を得やすくなります。

しかし、頭金の準備によって開始が遅れてしまうと、2件目や3件目への投資も遅れてしまうでしょう。定年退職を迎えて収入が減少したあとも、不動産投資ローンの返済を続けなければならないかもしれません。

また頭金を貯めているあいだに、投資をしようと考えていた物件が売れてしまうこともあります。開始が遅くなるデメリットも考慮したうえで、頭金の額を決めましょう。

手元の現金が減ってしまう

頭金を入れると手持ちの資金が減ってしまいます。その結果、賃貸経営中や相続時に資金が不足してさまざまな問題やトラブルが発生することがあるのです。

例えば、手持ちの現金が不足していると、投資した物件で修繕や補修が必要になっても、費用が工面できないかもしれません。相続時においては、遺産に占める現金の割合が少ないと遺産を相続した人が持ち出しをしなければ、相続税を納められなくなるおそれがあります。

頭金額を決める際は「諸費用」のことも忘れずに

不動産投資をする際は、以下のような諸費用を支払う必要があります。

● 不動産登記費用:登録免許税・司法書士への報酬
● 印紙税
● 不動産投資ローンの借入費用:事務手数料・保証料 など
● 仲介手数料
● 固定資産税・都市計画税の清算金
● 火災保険・地震保険の保険料
● 不動産取得税

諸費用のほとんどは、物件の購入時またはローンの契約時に、現金で支払うのが一般的であるため、頭金とは別で準備する必要があります。

頭金を準備できないとしても「区分所有」はおすすめできない

マンションの区分所有は、物件価格が安いため手持ち資金が少なくてもローンを組んで購入できる可能性があります。また、区分所有のマンションに複数投資をすると、相続時に分割しやすくなります。

一方で区分所有は、一棟所有と比較して物件価格が割高に設定されています。加えて入居者がいなくなると家賃収入が0円になってしまうため、空室リスクが高いのも区分所有の難点です。

さらにはマンションの経年劣化が進んでも、廊下や外壁などの共有部分は、所有者の判断で修繕することができません。マンションの管理組合がきちんと機能していなければ、修繕されないまま放置され、さらなる空室リスクの悪化につながるでしょう。

それに対しマンションの一棟所有であれば、空室が1つ発生しても他の部屋が埋まっていれば、家賃収入が0円になる心配はありません。また、オーナーの意思で共用部分を修繕できます。不動産投資を考えているのであれば、区分所有だけではなく一棟所有も検討すると良いでしょう。

頭金の準備が困難な方は「不動産小口化商品」も検討する

多額の頭金の準備が難しい方や多額のローンを組むことに抵抗がある方は、区分所有や一棟所有ではなく「不動産小口化商品」を検討すると良いでしょう。不動産小口化商品とは、マンションや商業施設などの不動産の所有権が小口化されたうえで販売される金融商品です。不動産小口化商品であれば、1口当たり数万円〜1,000万円程度で購入できます。

また「任意組合型」の不動産小口化商品であれば、相続税や贈与税を計算する際に、現物の不動産と同じ方法で評価されます。具体的には、次の通りです。

● 土地部分の評価額:時価の8割程度である「路線価」をもとに評価
● 建物部分の評価額:時価の7割程度である「固定資産税評価額」をもとに評価

不動産小口化商品は、現物の不動産と同じく現金よりも割安で評価されるため、相続税の節税効果が期待できます。また口数ごとに販売されているため、区分所有のように相続時に分割しやすい点もメリットです。相続対策を目的に不動産投資を考えている方は、不動産小口化商品も検討してみてはいかがでしょうか。

相続対策として有効な不動産小口化商品とは?

まとめ

不動産投資ローンを組む場合、基本的には少なくとも物件価格の1〜2割の頭金が必要でしょう。投資する物件にもよりますが、フルローンを組むのは困難です。また頭金とは別に、税金や金融機関に支払う事務手数料などの諸費用も準備しなければなりませんから、手元に残す資金とのバランスもよく考える必要があります。

一方でローンを組む人の年収や資産、投資する物件によっては頭金が少なくても融資してもらえる可能性はあります。投資目的や投資対象、投資規模によって頭金として準備したほうが良い金額は異なりますが、審査基準は金融機関によって異なるため、不動産投資ローンを組む場合は、複数の金融機関に相談すると良いでしょう。

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