#65 不動産投資ローンの「団体信用生命保険」とは? 保障内容や生命保険との違いを解説

2022.01.04

不動産投資ローンを組むメリットの1つに「団体信用生命保険」に加入できることが挙げられます。団体信用生命保険(以下「団信」という)は、ローンの返済途中で万一のことがあったとき、残債が0円になる保険です。

残された家族のことを考えて不動産投資をするのであれば、物件だけでなく団信についても慎重に選ぶことが大切です。

本記事では、団信の保障内容や一般的な生命保険との違い、加入するときの注意点などをわかりやすく解説します。

≪不動産投資ローンを組むメリットや注意点はこちら≫

≪生前贈与や生命保険より効果的!不動産が相続対策に最適な理由≫

 

不動産投資ローンを組むときに加入する「団信」とは

団信とは、不動産投資ローンを返済する人が途中で亡くなった場合、保険会社から支払われる保険金で残債が完済される保険です。保険会社が定める所定の高度障害状態になった場合も、保険金が支払われます。また、特約を付帯することで、がんや三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)なども保障の対象にできる場合があります。

例えば、賃貸マンションのオーナーが亡くなったとき、ローン残高が5,000万円あったとしましょう。オーナーが団信に加入していなければ、相続放棄をしないかぎり、残された家族は5,000万円の返済義務を負うことになります。団信に加入していれば、5,000万円の残債は保険金で完済されるため、マンションを相続した家族は返済義務を負わずに済むのです。

残された家族は、賃貸マンションから得た家賃収入を生活費や子どもの教育費などに充てられるでしょう。また、まとまった資金が必要になったらマンションを売却して現金に換えることも可能です。相続対策としてマンションを購入するのであれば、団信にも加入すると良いでしょう。

団信と一般的な生命保険の違い

生命保険会社が取り扱う生命保険は、被保険者(保障の対象となる人)が亡くなったり高度障害状態になったりしたときに保険金が支払われます。

「万一のときを保障する」という点では、団信と生命保険は共通しているといえますが、その一方で保険料の支払い方や保険金を受け取る人などに違いがあります。ここでは、団体信用生命保険と生命保険の違いをみていきましょう。

保険料の払い方・決まり方

生命保険の保険料は、契約した人が口座振替やクレジットカード払いなどで保険会社に支払います。支払うタイミングは「月払い(平準払い)」「半年払い」「年払い」など、商品や保険会社によってさまざまです。また、生命保険の場合、契約した人の年齢や保険金額などで支払う保険料の額が決まります。

団信は、不動産投資ローンの金利に上乗せする形で保険料を支払うのが一般的です。死亡と高度障害のみを保障する一般的な団信の場合、保険料が無料であるケースも少なくありません。

そのため団信の保険料は、不動産投資ローンの借入額や返済期間などに応じて決まる仕組みであるといえます。生命保険とは異なり、契約する人の年齢は保険料に影響しません。

保険金の額・受け取る人

生命保険の場合、被保険者が亡くなったり所定の高度障害状態になったりしたときなどに保険金を受け取るのは「保険金受取人」です。保険金受取人は、生命保険を契約するときに設定します。

生命保険の保険金は「一括で2,000万円」「毎月15万円」のように、現金で支払われるのが一般的であり、契約時に保険会社が定める範囲内で自由に決めることができます。なお保険金は、相続税や所得税などの課税対象です。

一方で、団信の保険金を受け取るのは、不動産投資ローンを融資した金融機関です。ローン契約者の残された家族が受け取るわけではありません。保険金の額は、不動産投資ローンの残債と同額であるため、返済が進むにつれて減少していきます。

また団信の保障が適用されても、残された家族が保険金を受け取るわけではないため、税金を支払う必要はありません。ただし、相続した収益不動産は相続税の課税対象となります。

生命保険料控除の対象となるかどうか

生命保険料控除とは、生命保険に加入している人が受けられる税の優遇制度です。加入している保険の種類や年間で支払っている保険料などに応じて、所得税を計算するときは最大12万円、住民税を計算するときは最大7万円が所得から差し引かれます。所得から一定の金額が差し引かれることで、所得税や住民税の負担を軽減できます。

しかし団信に加入しても、生命保険料控除は受けられません。

保険期間の決まり方

保険期間とは、簡単にいえば保障が受けられる期間です。生命保険の保険期間は、契約時に定めた一定期間、または一生涯です。契約期間が一定である生命保険を「定期保険」といい、契約時に「60歳まで」や「20年間」など一定の保険期間を設定します。一生涯の保障が得られる生命保険は「終身保険」といいます。

団信の保険期間は、不動産投資ローンの返済期間と同じです。返済期間と異なる期間には変更できません。

不動産投資ローンを組むときの団信の種類

団信には、以下のような種類があります。

● がん団信
● 三大疾病保障団信・八大疾病保障団信
● ワイド団信

がん団信

がん団信とは、不動産投資ローンを返済する人が、亡くなったり高度障害になったりした場合に加えて、所定のがん(悪性新生物)と診断された場合に残債が0円となる団信です。がん団信に加入する場合、不動産投資ローンの金利に0.1%程度が上乗せとなります。

がん団信には、がんと診断されたときに残債のすべてをカバーするものもあれば、残債の半額のみが保障されるものもあります。

三大疾病保障団信・八大疾病保障団信

三大疾病保障団信・八大疾病保障団信は、死亡と高度障害に加えて、がんや心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病を保障する団信です。金融機関によっては「生活習慣病保障団信」のような名称で取り扱われています。

三大疾病保障団信と八大疾病保障団信の保障範囲は、次の通りです。

● 三大疾病保障団信:死亡・高度障害+三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)
● 八大疾病保障団信:死亡・高度障害+三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)+高血圧・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎
※金融機関によって異なる場合があります。

三大疾病保障団信や八大疾病保障団信に加入する場合、不動産投資ローンの金利に0.1〜0.3%程度を上乗せするのが一般的です。

ワイド団信

ワイド団信とは、健康状態に不安がある方でも申し込みやすい団信です。団信に加入する際は、原則として保険会社に現在の健康状態や、申し込みから過去の一定期間内にかかったことのある病気などを告知しなければなりません。そのため持病がある方や、過去に大病を患ったことがある方は、一般的な団信に加入できない場合があるのです。

ワイド団信は、通常の団信よりも告知する項目が少なく、持病がある方や大病を患った経験がある方でも加入できる可能性があります。ただし、ワイド団信に加入する際は、ローン金利に0.3%程度が上乗せされるのが一般的です。

不動産投資ローンを組んで団信に加入する際の注意点

ここでは、団信に加入する際に注意すべきポイントを3点紹介します。

健康状態によっては加入できないことがある

団信は、生命保険の一種であるため、加入するときにローンを組む人の健康状態や一定期間内にかかったことのある病気、治療の内容などを告知する必要があります。告知をして保険会社が審査した結果、団信への加入を断られるケースもあるのです。

金融機関によっては、団信への加入を不動産投資ローンの融資条件としている場合があります。団信に加入できないと、不動産投資ローンを組めず賃貸マンションや賃貸アパートに投資できなくなってしまうかもしれません。

通常の団信に加入できない場合は、ワイド団信への加入を検討するのも方法の1つです。ワイド団信であれば、告知項目が少ないため健康状態に不安がある方でも加入できるかもしれません。ただし不動産投資ローンの金利に、0.3%程度を上乗せすることになるため、返済負担に問題がないかよく確認することが大切です。

告知義務違反をしない

虚偽の内容を告知したり、病歴を意図的に告知したりすると「告知義務違反」となります。告知義務違反をすると、万一のことがあっても保険金が支払われなくなってしまいます。

亡くなったときに保障が適用されないと、購入した不動産の返済義務は残された家族が負うことになるでしょう。いくら団信に加入したいとしても、告知義務違反をしてはいけません。

また、団信に限らず生命保険の告知は、傷病名や投薬期間、処方された薬、受けた手術などをできるだけ詳細に書くことが大切です。告知書に書かれている内容があいまいであると、保険会社は引き受けてもよいか判断が難しくなり、かえって加入を断られやすくなります。

団信を申し込む際は、告知書で問われている内容に対して事実をありのままに書くことが大切です。

保険金が支払われる要件を確認する

団信に加入する際は、どのようなケースで保険金が支払われるのかを確認しましょう。まず、一般的な団信で保障される高度障害状態とは「両眼の視力を全く永久に失ったもの」
「胸腹部臓器に著しい傷害を残し、終身常に介護を要するもの」など、重い障害状態を指します。

がん団信の場合は、がんのステージによって保障内容が異なる場合があります。例えば、がんがステージ1であった場合、残債の半分までの保障となることがあるのです。また、保障の対象となるがんは、多くの場合「悪性新生物」を指しており「上皮内新生物」は保障の対象外であるのが一般的です。

三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)を保障する団信は、基本的に心筋梗塞や脳卒中となり労働が制限されている期間が60日以上続いたときに保険金が支払われます。心筋梗塞や脳卒中と診断されただけでは、多くの場合で保障が適用されない点に注意が必要です。

まとめ

団信に加入すると、不動産投資ローンを完済する前に万一のことがあった場合、返済義務がない物件を家族に引き継げます。残された家族は、返済義務のない収益物件を引き継ぐことで、家賃収入を得て家計を楽にできるだけでなく、売却してまとまった現金に換えることも可能です。

また、死亡・高度障害だけでなくさまざまな生活習慣病を保障する団信や、健康状態に不安がある方でも申し込みやすい団信なども選択できます。相続対策を目的に不動産投資をしようと考えているのであれば、団信も入念に選ぶことが大切です。

 

合わせて読みたい記事