#64 不動産投資は区分所有から始めたほうが良いって本当?

2021.12.24

 

「不動産投資を始めるときは、区分マンションに投資をしよう」と聞いたことがある方も多いでしょう。たしかに区分所有は物件価格が安いため、少ない自己資金で不動産投資を始められます。また複数の物件を所有していると相続時に家族が分けやすいため、遺産分割時のトラブルを防ぐ目的で区分所有を選択する方もいます。

しかし、結論からいえば区分所有に投資をするのはおすすめできません。相続対策をするために不動産投資をするのであれば「新築一棟マンション」や「不動産小口化商品」を検討するほうが良いでしょう。

今回は、不動産投資を始める際に区分所有を避けたほうがよい理由や、新築一棟マンションと不動産小口化商品がおすすめできる理由などをわかりやすく解説します。

≪区分or中古一棟or新築一棟の比較記事はこちら≫

区分所有がおすすめできない理由

区分所有がおすすめできない理由は、主に以下の4点です。

● 空室リスクが高い
● 利益率が低い
● 共用部分はオーナーの意思で修繕できない
● 相続税評価額の圧縮効果が低い

空室リスクが高い

区分所有の場合、入居者が退去すると家賃収入が得られなくなってしまいます。次の入居者が見つからなければ、家賃収入は0円のままです。

一方で、空室になっていたとしても、管理費用は引き続き支払う必要があります。ローンを組んでいた場合は、空室期間中も引き続き返済していかなければなりません。区分所有で空室が続くと、貯蓄からの持ち出しが増えていくおそれがあります。

損失が発生した場合は、給与をはじめとした他の所得と相殺することで、所得税や住民税の負担を軽減できます。しかし、税負担が軽減できたとしても、貴重な資産を食いつぶしている事実に変わりはありません。

収益性が低い

区分所有に投資した場合、主な収入源は「家賃」「礼金」「更新料」です。礼金とともに入居者から入居時に徴収する「敷金」は、退却時に返却するため、収入には含めません。

一方で区分所有をした場合の支出には、以下のような種類があります。

● 管理費用
● 固定資産税・都市計画税
● 火災保険料・地震保険料
● 専有部分の修繕費用
● ローン返済

家賃や礼金などから、上記の費用を差し引いた額が手元に残ります。

区分マンションの家賃収入は、せいぜい十数万円ほどであり、ひとたび空室が発生すると0円になってしまいます。そのため区分所有は、立地が良い場所に投資をしたとしても、空室期間が長引いたり修繕が発生したりすると簡単に赤字となってしまうのです。

また、賃貸物件の家賃は、建物が経年劣化するとともに下落するのが一般的です。所有期間が長くなるほど収益性は徐々に低下していき、赤字が発生しやすくなります。

赤字が続き持ち出しが発生するようなマンションを相続したいと思う人はいないでしょう。また、人気がないマンションは売却するのも困難であるため、相続する家族にかえって迷惑をかけてしまうかもしれません。

共用部分はオーナーの意思で修繕できない

区分マンションのオーナーが自由に修繕や補修ができるのは、原則としてお部屋の内側である専有部分のみです。外壁や廊下などの共用部分は、区分所有のオーナーの独断では修繕や補修ができません。

外壁や廊下などが損傷していたり汚れていたりすると、マンションの魅力が低下するため、退去者が増加しやすくなります。また、入居希望者は現れにくくなるでしょう。その結果、マンションに空室が発生しやすくなったり、家賃の値下げが必要になったりして収益性が著しく低下する恐れがあるのです。

区分所有のオーナーは、管理組合員として共用部分の修繕や補修を提案することはできます。しかし、他の組合員が賛同しなければ実施されません。オーナー自身で対策できる範囲が限られているのは、不動産投資をするうえでデメリットといえるでしょう。

相続税評価額の圧縮効果が低い

相続対策として不動産を購入する人が多いのは、相続税を計算するときの相続税評価額を圧縮できるためです。建物部分は、時価の7割程度である「固定資産税評価額」で評価されます。土地部分は、時価の8割程度である「路線価方式」で評価されるだけでなく、一定の基準を満たして「小規模宅地等の特例」を適用できるとさらに一定の割引も受けられます。

小規模宅地等の特例を適用できると、引き継いだ土地が亡くなった人(被相続人)の居住用であった場合は、評価額が最大で80%減額されます。土地が亡くなった人の貸付事業用であった場合、減額率は最大で50%です。

区分マンションは、都心でも1,000万円や2,000万円ほどで購入できる場合があります。物件価格が安いため、相続税評価額の圧縮効果をあまり得られない可能性があるのです。例えば、1,600万円(土地900万円・建物700万円)の区分マンションを購入し、それを人に貸していた場合、相続税評価額は以下の通りとなります。

● 土地部分の評価額
=900万円×80%(路線価方式)×50%(小規模宅地等の特例)
=360万円
● 建物部の評価額
=700万円×70%(固定資産税評価額)
=490万円
● 土地+建物の評価額
=360万円+490万円
=850万円

よって1,600万円で購入したマンションは、相続時に850万円と評価されたうえで相続税が計算されます。減額できたのは750万円です。相続税を軽減したいと考えている人にとっては、効果が充分であるとは言い難いかもしれません。

安易なサブリース契約はおすすめできない

区分所有における空室リスクの高さをカバーするために、サブリースを検討している方もいるでしょう。たしかにサブリース契約を結んでいれば、空室が発生したときに「保証家賃」を得られるため、空室によって家賃収入が途絶える心配はないといえます。

しかし家賃が保証されているからといって安心はできません。サブリース契約には、さまざまな落とし穴があるのです。

まず保証家賃は、高くても本来の家賃収入の8割程度に設定されるのが一般的です。また、サブリース契約を結んでいる場合、礼金や更新料を受け取るのはサブリース業者であるため、ただでさえ低い区分マンションの収益性がさらに低下してしまいます。

また、契約時の保証家賃がずっと続くわけではありません。建物の経年劣化や周囲の環境変化などの理由で、保証家賃は数年おきに見直されるケースがほとんどです。新しい条件にオーナーが同意しない場合は、サブリース業者から一方的に契約を解除されることもあるのです。

さらには、サブリース契約を結んだ家賃保証会社が倒産するリスクもあります。家賃保証会社が倒産したことで、ローンの返済や管理費の支払いなどができず、自己破産にいたるおそれがあります。

以上の理由から、安易にサブリース契約をすることはおすすめできません。もしサブリース契約を利用する場合は、業者を慎重に選んだうえで保証内容や契約が更新されるタイミングなどを入念に確認することが大切です。

≪不動産投資でよくある失敗理由!【サブリース編】≫

 

相続対策を目的に不動産投資をするときの選択肢

相続対策が目的である場合、区分所有やサブリース契約は避けたほうが賢明でしょう。これから不動産投資をしようと考えている方は「新築一棟マンション」がおすすめです。また「不動産小口化商品」を選ぶのも方法です。

新築一棟マンション

新築一棟マンションは、物件価格は高いものの月に100万円以上の家賃を得ることも可能です。また新築物件は人気があるため入居者が付きやすいうえに、当面のあいだは多額の修繕費用がかかる心配もありません。

区分マンションと比較して空室リスクが低いのも、一棟マンションがおすすめである理由です。一部屋で空室が発生しても、他の部屋に入居者がいれば家賃収入が大幅に下落する心配はないでしょう。共用部分の修繕やメンテナンスもオーナーの判断でできるため、損傷箇所があった場合は早急に対策が可能です。

新築一棟マンションの価格は、エリアにもよりますがおおむね2億円〜であるため、購入をためらってしまう方も多いでしょう。しかし、金融機関から融資してもらうことで、数億円規模のマンションにも投資が可能です。また物件価格が高いことで、相続税の計算時に圧縮できる価額が多くなり、相続対策として高い効果が期待できます。

不動産小口化商品

いきなりマンション一棟へ投資をすることに抵抗がある方は「不動産小口化商品」を選ぶのも方法です。不動産小口化商品は、特定の不動産を小口化して販売する金融商品であり、1口あたり数万〜1,000万円程度で購入できます。口数ごとに購入・所有できるため、相続時に分割しやすく、遺産相続のトラブルを防ぎやすいのも特徴です。

不動産小口化商品には「匿名組合型」と「任意組合型」の2種類があります。相続対策を目的に不動産の購入を検討しているのであれば、任意組合型を選びましょう。任意組合型は、相続税を評価するときに現物の不動産と同じ方法で価額が計算されるためです。

 

まとめ

区分所有は、物件価格が安いですが、利益率が低く空室リスクが高いため、あまりおすすめできません。また「オーナーのみの意思で共用部分を修繕できない」「相続税評価額の圧縮効果が低い」なども区分所有をおすすめできない理由です。

そのため不動産投資を始めるのであれば「新築一棟マンション」を選ぶと良いでしょう。ローンを活用することで、数億円の物件に投資できる可能性があります。また、少額から不動産投資を始めたいのであれば「不動産小口化商品」が有効な選択肢となります。

 

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