#63 不動産投資ローンの審査でみられるポイントとは?審査基準や流れなども解説

2021.12.17

 

賃貸マンションをはじめとした収益物件を購入するためには、数千万円あるいは数億円の資金が必要になる場合があります。そのため収益物件を購入する方の多くが、金融機関から不動産投資ローンを組んで 資金を調達しています。

ただし不動産投資ローンを組むためには、金融機関の審査に通過しなければなりません。スムーズに資金を調達するためには、審査の流れや確認されるポイントを把握し、事前に計画を立てたり対策を練ることが大切です。

本記事では、不動産投資ローンの審査でみられるポイントや落ちてしまう人の特徴などをわかりやすく解説します。

 

<ローンを組むメリットはこちら>

<不動産投資のメリットデメリット

不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、銀行や信用金庫などの金融機関が、不動産投資をする人に対して行う融資です。

不動産投資ローンを組むメリットの1つは、レバレッジ効果を得られる点です。いくら利回りが高くても、投資元本が少なければ高い収益は期待できません。不動産投資ローンを活用して自己資金以上の価格の物件に投資をすることで、高い収益が期待できます。

また相続対策の1つとして、不動産投資ローンを活用して賃貸マンションを購入する人は少なくありません。不動産の場合、相続税を計算するときに土地部分は時価の8割程度である「路線価」で、建物部分は時価の7割程度である「固定資産税評価額」で評価されます。また建物が賃貸マンションである場合、土地や建物の評価はさらに低くなります。

一方で借入額は、債務控除として相続財産の評価額から差し引かれるため、不動産投資ローンを活用して収益物件を取得することで、相続財産が圧縮されて相続税の負担を軽減できる可能性があるのです。

 

 

不動産投資ローンの審査でみられるポイント

不動産投資ローンを組むには、金融機関が定める融資条件を満たしたうえで、審査を受けて通過する必要があります。

融資条件は、金融機関によってさまざまですが、借入時の年齢や完済時の年齢、借入額、借入期間などが定められるのが一般的です。また金融機関によっては、不動産があるエリアや専有部分の床面積が指定される場合もあります。

不動産投資ローンの審査結果にもっとも影響するのが「個人の属性」です。個人の属性とは、不動産投資ローンを組む人の年収や勤続年数、職業などです。また他のローンの借入状況や、返済または支払いの滞納状況なども審査時に確認されます。

担保としての価値や期待できる家賃収入など、ローンを用いて購入する不動産も審査の対象です。不動産投資ローンを組んで購入する物件は、ローンの担保となります。不動産投資ローンを借り入れた人が返済を滞納した場合、金融機関は担保としている物件を差し押さえて競売にかけ融資金の回収を試みるため、担保としての価値が審査されるのです。

不動産投資ローンの審査時に、家賃収入をはじめとした物件の収益性が確認されるのは、ローンの返済原資となるためです。
なお不動産投資ローンの審査基準は、金融機関によって異なります。そのため「金融機関Aでは融資の承認が下りなかったが、金融機関Bでは融資してもらえた」「A銀行のほうがB銀行よりも金利が低い」など、金融機関によって審査結果や借入条件が異なる可能性があります。不動産投資ローンを活用する際は、複数の金融機関を検討すると良いでしょう。

不動産投資ローン審査の流れ

不動産投資ローン審査の流れは、以下の通りです。

1. 事前審査
2. ローン申し込み
3. 本審査
4. 金銭消費貸借契約
5. 抵当権の設定
6. 融資の実行

不動産投資ローンの本審査が開始されるのは、 不動産の売買契約を締結し不動産投資ローンを申し込んだあとです。不動産の売買契約を締結したにもかかわらず、ローンの本審査に通過できず契約破棄となる事態を防ぐため、事前審査を受けておくのが一般的です。事前審査の結果は、金融機関によって異なりますが、数日〜数週間程度で分かります。

事前審査に通過し、ローンの申し込みをしたあとは、金融機関による本審査が開始されます。ローンの申し込みの際には、登記簿謄本や事業収入計画書、源泉徴収票(自営業の場合は直近3期分の確定申告書)などが必要です。申し込みに必要な書類は多岐にわたるため、事前に金融機関に確認し、計画的に揃えておきましょう。

本審査の結果は、1週間ほどでわかる場合もあれば、1ヶ月以上待たないとわからないこともあります。本審査に通過し、融資が承認されたら、 金融機関と「金銭消費貸借契約兼抵当権設定契約」を結び、金利や返済期間、借入額など詳細な条件を決めます。

抵当権とは、不動産投資ローンを組んだ人が返済を滞納したときに、金融機関が担保としている物件を差し押さえられる権利です。不動産投資ローンを組む場合は、物件の所有権に関する登記とあわせて「抵当権設定登記」をするため、登記費用が別途かかります。

契約を結び、事務手数料や印紙代、登記費用などの諸費用を支払うと、物件の引渡し日までに金融機関から不動産会社に対して融資が実行されます。

不動産投資ローンの審査で落ちてしまう事例

不動産投資ローンの審査で落ちてしまう代表的な事例は、以下の6点です。

● 自己資金が少ない
● 安定した収入が見込めない
● 個人の信用情報に傷が付いている
● 他に多くの借り入れをしている
● 総資産に対する現金の割合が少ない
● 返済期間が物件の耐用年数を超えている

それぞれについて解説していきます。

自己資金が少ない

投資用の不動産を購入する際に、準備できる自己資金が少ない場合、不動産投資ローンの審査に通過しにくくなってしまいます。

かつては物件価格のすべてを借り入れで賄うフルローンを組んで、不動産投資をする方は少なくありませんでした。しかし2018年に発生した金融機関の不正融資事件をきっかけに、金融機関の融資審査は厳しくなっています。

そのため2021年10月現在では、金融機関から2〜3割ほどの頭金を求められるケースは少なくありません。金融機関によっては、物件価格の5割の頭金を求められることもあり、フルローンでの不動産投資は困難な状況です。

自己資金を準備していれば、金融機関からお金を管理する能力が高いと判断されて、不動産投資ローンの審査に通過しやすくなるといわれています。不動産投資をはじめる際は、物件価格の2〜3割の頭金が支払える自己資金を準備すると良いでしょう。

なお事務手数料や保証料など借入時に支払う諸費用は、現金で支払うのが一般的です。不動産投資ローンを活用するときは、頭金だけでなく諸費用を支払うための資金も準備しておきましょう。

安定した収入が見込めない

金融機関は、返済途中で滞納されるリスクを抑えるために、不動産投資ローンを組む人の収入が安定しているか入念にチェックします。自営業者や派遣職員、転職して間もない方など、一般的に収入が不安定であると考えられる方は、審査に通過しにくい傾向にあるのです。

また勤続年数が長く年収が高い正社員であっても、収入の大半をインセンティブが占めている場合は、審査に不利であるといわれています。

個人の信用情報に傷が付いている

信用情報とは、クレジットやローンの契約・申し込み、借入残高などの情報です。金融機関は、審査時に信用情報を管理する機関に問い合わせて、申し込んだ人の信用情報を確認します。クレジットカードの支払いやローンの返済、携帯電話の分割払いなどを長期間にわたって滞納した履歴があると、審査に通過できない恐れがあるのです。

また信用情報に問題があると、住宅ローンやクレジットカードなどの審査にも通過できなくなる恐れがあるため、日頃から支払いや返済を滞納しないようにすることが大切です。

自身の信用情報が気になる方は、信用情報機関に開示請求をしてみると良いでしょう。なお開示請求をする際には、500〜1,000円程度の手数料がかかります。

他に多くの借り入れをしている

住宅ローンやマイカーローン、奨学金などを借り入れている場合、不動産投資ローンを含めた年間返済額が年収の一定割合を超えていると審査に通過しにくくなります。

また預貯金や有価証券(株式・投資信託など)、不動産などの資産よりも、ローンをはじめとした借金が多い債務超過の状態となっている場合も、審査に通過するのは困難でしょう。

そのため借り入れがある人は、できる限り完済をしてから不動産投資ローンを申し込むと審査に通過できる可能性が高まります。他の借り入れがない方は、不動産投資ローンの優先順位が高いのであれば、住宅ローンや自動車ローンなどの借り入れを控えるのが懸命です。

総資産に対する現金の割合が少ない

不動産投資ローンの返済が滞った場合は、借り入れた人が保有する資産から元本の回収が試みられることがあります。そのため不動産投資ローンの審査では、個人の保有資産の額や内訳も確認されるのが一般的です。

総資産に対する現金の割合が少なく株式や投資信託などの割合が多いと、審査に不利であるといわれています。株式や投資信託などの金融商品は、現金よりも時間の経過によって価格が変わりやすいためです。

そのため頭金や諸費用を支払うとしても、不動産投資ローンの審査に不利にならないよう、ある程度の現金は残しておきましょう。

返済期間が物件の法定耐用年数を超えている

法定耐用年数とは、不動産をはじめとした資産が使用できると考えられる期間のことです。経年劣化して失われた建物部分の価値を経費に計上する「減価償却」をする際に、法定耐用年数は用いられます。

法定耐用年数は、以下の通り建物の構造ごとに決められています。

● 鉄筋コンクリート造・鉄骨コンクリート造:47年
● 木造:22年
● 重量鉄骨造:34年
● 軽量鉄骨造:19年
※骨格材肉厚が3mm以下の場合

例えば木造アパートであれば、法定耐用年数は22年であるため、帳簿上の建物部分の価値は最長22年で0円となります。

金融機関によっては、不動産投資ローンの返済期間が購入予定である不動産の法定耐用年数以内としている場合があります。できるだけ不動産投資ローンの返済期間を長くしたい場合は、新築物件やマンションのような鉄筋コンクリート造・鉄骨コンクリート造の不動産への投資を検討すると良いでしょう。

不動産投資ローンを組まない場合は不動産小口化商品も選択肢となる

不動産投資ローンを組みたくない方や、他に多数の借り入れがあるなどローンの審査に通過できる見込みがない方は「不動産小口化商品」を検討するのも方法です。

不動産小口化商品とは、マンションや商業施設などの不動産の所有権を1口当たり数万円〜1,000万円程度の金額に小口化された金融商品です。不動産小口化商品は、口数ごとに販売されているため、相続や贈与をするときに分割しやすいというメリットがあります。

不動産小口化商品のうち「任意組合型」は、相続税を計算する際に現物の不動産と同じ方法で価値が評価されるため節税効果が期待できます。任意組合型の不動産小口化商品を利用することで、不動産投資ローンを組むことなく相続対策が可能となるのです。

まとめ

不動産投資ローンを組むためには、金融機関の審査を受けて通過しなければなりません。金融機関によっては、事前審査を申し込んでから融資が実行されるまで数ヶ月かかることもあります。

不動産投資ローンの審査では、年収や勤続年数、他の借入状況、物件の収益性などが確認されます。審査基準は金融機関ごとに異なるため、1つの銀行で融資を断られても他の金融機関が融資をしてくれるかもしれません。

また金融機関によって金利や返済期間など提示される借入条件が違ってくることも多いため、不動産投資ローンを活用する際は複数の金融機関に相談すると良いでしょう。

<ローンを組むメリットはこちら>

<不動産投資のメリットデメリット

 

合わせて読みたい記事