#60 不動産投資でかかる税金とは?種類や税額の計算方法を解説

2021.11.26

不動産投資をする場合、物件の管理・運営中や物件の購入時など、さまざまな場面で税金の支払いが発生します。不動産投資で安定した収益を得るためには、課せられる税金の種類や税額の把握が欠かせません。

本記事では、不動産投資をおける税金の種類や、税額の計算方法などをわかりやすく解説します。

不動産投資において物件の管理・運営中にかかる税金

賃貸マンションや賃貸アパートを経営するときは、以下の税金がかかります。

● 所得税
● 住民税
● 個人事業税
● 固定資産税
● 都市計画税

所得税

所得税は、所得がある人に課せられる税金です。家賃収入から必要経費を差し引いた金額は「不動産所得」となるため、給与所得や一時所得などほかの所得と合算されて、所得税の課税対象となります。

所得税は、課税の対象となる所得(課税所得)に、所定の税率をかけて税額を算出します。課税所得および所得税の計算方法は、以下の通りです。

● 課税所得=年間の合計所得金額-所得控除
● 所得税額=(課税所得×税率-控除額)-税額控除

所得控除とは、所定の要件を満たす場合に、合計所得金額から一定の金額を差し引いてくれる制度です。配偶者を養っている人が受けられる「配偶者控除(配偶者特別控除)」や、生命保険や医療保険などに加入して保険料を支払っている人が受けられる「生命保険料控除」などがあります。

税額控除とは、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人が受けられる「住宅ローン控除」のように、一定の金額を税額から直接差し引いてくれる制度です。

所得税は、課税所得が一定の金額を超える場合、その超過した金額に対して高い税率を適用する「超過累進税率」で計算されます。次の速算表を用いると、所得税を簡単に計算できます。

 

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

※出典:国税庁

例えば、課税所得の金額が600万円であった場合、所得税額は「600万円×20%-427,500円=772,500円」となります。

なお2037年(令和19年)までは、所得税と合わせて復興特別所得税を納める必要があります。復興特別所得税の税額は、所得税額(基準所得税額)×2.1%です。所得税額が772,500円であった場合、復興特別所得税額は「772,500×2.1%=16,222円」となります。

住民税

住民税は、住んでいる都道府県や市町村に納める税金です。税額は、所得に応じて決まる「所得割」と、所得にかかわらず定額の「均等割」を合計し、税額控除を差し引いて算出します。

● 住民税額=所得割+均等割-税額控除

所得割は、課税の対象となる所得に税率をかけて計算します。所得割の税率は、課税所得の金額にかかわらずほとんどの自治体で10%です。課税所得の計算方法は、所得税と同じく「年間の合計所得金額-所得控除」です。

住民税の計算時には「調整控除」という税額控除が差し引かれます。調整控除は、基礎控除や配偶者控除など、所得税と住民税で控除額が異なる所得控除の一部を調整するためのものです。

均等割の額は、自治体によって異なりますが、5,000円程度が標準税額です。

個人事業税

不動産所得と事業所得の合計額が、年間で290万円を超えている場合、個人事業税が課せられます。個人事業税の税額の計算方法は、以下の通りです。

● 個人事業税額=(不動産所得と事業所得の合計額-290万円)×税率

個人事業税の税率は、業種によって異なります。マンションやアパートを人に貸して家賃収入を得る「不動産貸付業」の場合、個人事業税の税率は5%です。

固定資産税

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物などの固定資産を所有している人に課せられる税金です。土地と建物それぞれの価格をもとに算出する課税標準額に、税率をかけて計算します。税率は市町村が条例で定めることになっていますが、多くの市町村が標準税率である1.4%に設定しています。

● 固定資産税額=課税標準額×税率

土地と建物それぞれの価格とは、時価ではなく市町村が独自に算出する「固定資産税評価額」が用いられます。固定資産税評価額は、時価の7割程度に設定されるのが一般的です。また固定資産税評価額は、3年ごとに見直されます。

土地部分の固定資産税を計算するときは、対象の土地が住宅用地である場合、特例が適用され、固定資産税評価額に以下の係数をかけた額が課税標準額となります。

● 小規模住宅用地(住戸1戸につき200㎡以下の部分):1/6
● 一般住宅用地(住戸1戸につき200㎡を超える部分):1/3

アパートやマンションなどの場合、住戸(お部屋の数)×200㎡までが小規模住宅用地となります。例えば、お部屋の数が20室である場合、小規模住宅用地の係数1/6が適用される面積は20室×200㎡=4000㎡となるのです。

都市計画税

都市計画税は、市街化区域内にある不動産を所有している人に課せられる税金です。税額の計算方法は、固定資産税と同じく「課税標準額×税率」で計算されます。課税標準額が、固定資産税評価額をもとに計算される点も、固定資産税と共通しています。

一方、都市計画税の税率は0.3%です。また土地部分が住宅用地である場合に適用される軽減措置の係数は、以下の通り固定資産税と異なります。

● 小規模住宅用地(住戸1戸につき200㎡以下の部分):1/3
● 一般住宅用地(住戸1戸につき200㎡を超える部分):2/3

投資物件を購入するときの税金

マンションやアパートなどを購入するときは、以下の税金を納める必要があります。

● 印紙税
● 登録免許税
● 不動産取得税

印紙税

印紙税は、不動産会社と売買契約を結ぶときや、金融機関に不動産投資ローンを申し込むときに納める税金です。投資用不動産の売買契約書や不動産投資ローンの金銭消費貸借契約書に、収入印紙を添付して納税します。

添付する収入印紙の額は、売買契約書に記載されている契約金額や、不動産投資ローンの申込書に記載されている借入金額(債権金額)によって決まります。

 

契約金額・債権金額 本則税率 軽減税率
50万円を超え100万円以下のもの 1,000円 500円
100万円を超え500万円以下のもの 2,000円 1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 10,000円 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 20,000円 10,000円
5,000万円を超え1億円以下のもの 60,000円 30,000円
1億円を超え5億円以下のもの 100,000円 60,000円
5億円を超え10億円以下のもの 200,000円 160,000円

※国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」をもとに作成

 

不動産の売買契約書の印紙税については、軽減税率が適用されます。一方、不動産投資ローンの金銭消費貸借契約では、印紙税に軽減税率が適用されません。

例えば、物件の購入価格と不動産投資ローンの借入額がどちらも6,000万円であったとしましょう。売買契約書の方には3万円分の収入印紙を貼付するのに対し、不動産投資ローンの契約書には、6万円分の収入印紙を貼付する必要があります。

登録免許税

登録免許税は、不動産に関する登記手続きをする際に、支払う税金です。

マンションやアパートを新しく建てたときは「所有権保存登記」をします。また土地やすでに建っている建物を取得した場合は「所有権移転登記」をしなければなりません。

不動産投資ローンを借り入れた場合は「抵当権設定登記」が必要です。抵当権とは、ローンの返済を長きにわたって滞納した場合に、融資した金融機関が担保となっている物件を差し押さえできる権利です。

登録免許税の税額は、所有権保存登記や所有権移転登記の場合、土地や建物の価格(不動産の価額)をもとに決まる課税標準額に所定の税率をかけて計算します。抵当権設定登記の登録免許税額を計算する際は、不動産投資ローンの借入額(債権金額)に税率をかけます。 税率は、それぞれ以下の通りです。

● 所有権保存登記:建物0.4%
● 所有権移転登記:土地1.5%※、建物2.0%
● 抵当権設定登記:0.4%
※軽減措置適用後の税率

不動産取得税

不動産取得税は、 マンションやアパートを購入したときに支払う税金です。 売買や贈与によって取得したときに課せられる税金であるため、相続によって不動産を取得した場合には不動産取得税は課せられません。

不動産取得税は、土地と建物それぞれの課税標準額に税率をかけて計算します。税率は、本来4%ですが、土地と住宅用の建物については軽減税率が適用されて3%となります。

建物部分の課税標準額は、固定資産税評価額と同額です。土地部分については、固定資産税評価額の1/2が課税標準額となります。

投資用不動産を贈与・相続したときの税金

不動産を贈与された人は「贈与税」、不動産を相続した人には「相続税」が課せられる場合があります。贈与税と相続税は、税額を計算するときに、同じ方法で取得した財産の価値が評価されます。

不動産の価値を評価する際、土地部分は時価の8割程度である「路線価」、建物部分は時価の7割程度である「固定資産税評価額」が用いられます。財産を相続や贈与で引き継ぎたいのであれば、税額の計算時に時価と同じ金額で評価される現金よりも、資産を不動産にシフトしたほうが税負担を軽減できる可能性があるのです。

相続税

相続した人が引き継いだ遺産の合計評価額から、相続税の基礎控除額や生命保険の非課税金額などを控除した取得金額に対して、相続税は課税されます。相続税の税率は、以下の通りです。

法定相続分に応じる取得金額 税率
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15%
5,000万円以下 20%
1億円以下 30%
2億円以下 40%
3億円以下 45%
6億円以下 50%
6億円超 55%

※出典:国税庁

 

また配偶者に財産を相続する場合は「配偶者の税額軽減」が、不動産を相続する場合は所定の要件を満たすと「小規模宅地等の特例」が適用されます。

配偶者の税額軽減とは、配偶者が相続によって財産を取得した場合「配偶者の法定相続分相当額」と「1億6,000万円」のどちらか多い金額まで、相続税が控除できる制度です。

小規模宅地等の特例は、亡くなった人が住んでいた土地や、他人に貸し付けていた土地を相続する場合、所定の要件を満たすと土地の評価額が50〜80%減額できる制度です。

贈与税

贈与税とは、1月1日から12月31日までに贈与された財産が110万円を超えたときに課せられる税金です。父母や祖父母が、贈与する年の1月1日時点で20歳以上である子供や孫などに贈与する場合、贈与税の税率は以下の通りです。

基礎控除を差し引いたあとの金額 税率
200万円以下 10%
400万円以下 15%
600万円以下 20%
1,000万円以下 30%
1,500万円以下 40%
3,000万円以下 45%
4,500万円以下 50%
4,500万円超 55%

※出典:国税庁

不動産を贈与する場合、相続のように「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」は適用されません。一方で、婚姻期間が20年以上である夫婦間で、居住するための不動産を贈与した場合、贈与税の基礎控除110万円に加えて2,000万円までの財産が控除できます。

また60歳以上の父母や祖父母から、20歳以上の子供や孫に対して不動産を贈与する場合、「相続時精算課税制度」を選択するのも方法です。相続時精算課税制度を選択すると、贈与した財産が相続税の課税対象となる代わりに、2,500万円までの財産を非課税で贈与できます。

ただし相続時精算課税制度は「一度選択すると贈与税の基礎控除110万円が適用できなくなる」「相続税を計算する際、贈与された当時の価値で評価される」などに注意が必要です。

不動産を含む財産を生前贈与する方法や贈与時の注意点については、以下の記事でご確認ください。

≪効率よく生前贈与する方法とは?≫

まとめ

不動産投資をすると所得税や住民税、固定資産税などが課せられます。また投資用の不動産の購入時は、登録免許税や不動産取得税などを納めなければなりません。不動産を贈与したときは贈与税が、相続したときは相続税が課せられることがあります。

税額の計算方法や税負担が軽減される特例措置の条件は、税の専門家でなければ把握するのは困難でしょう。不動産投資をする際は、不動産会社だけでなく税理士にも相談をするのがおすすめです。

 

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