#51 収益物件を選ぶときに注意すべきリスクと対策

2021.09.24

アパートやマンションなどの収益物件は、相続税を計算するときに現金よりも価値が低く見積もられます。そのため相続対策として、収益物件を購入される方は珍しくありません。

しかしながら、リスク対策をせずに収益物件を購入したり所有する土地の上に物件を建てたりすると損をする恐れがあります。不動産投資には「空室リスク」「家賃下落リスク」「修繕リスク」などがあり、適切に対処する必要があるためです。

本記事では、相続対策として収益物件を購入する際に、特に対策が必要なリスクの種類と対策方法を解説していきます。

相続対策で不動産を購入する場合もリスク対策は必須

住宅は人々の生活に不可欠なものであるため、賃貸需要が極端に低下するケースは稀です。リスク対策をすれば安定した収益が期待できるため、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資といわれています。

しかしリスクに適切に対処をしなければ、安定した収益を得られず赤字が発生します。

相続した財産の価値が高いほど相続税も高額となるため、相続財産の価値を減らすのが相続対策の基本的な考え方です。しかし相続対策として収益物件を購入しても、賃貸経営が赤字では、貴重な資産を食いつぶしてしまい、損をしているだけの状態といえます。

相続対策としてマンションやアパートなどに投資するとしても、リスクに対して適切な対処を施し、健全に賃貸経営を行っていくことが大切です。

不動産投資において重点的に対策すべきリスク

不動産投資におけるリスクのうち、特に重点的に対策が必要なリスクは以下の3点です。

● 空室リスク
● 家賃下落リスク
● 修繕リスク

空室リスクとは、お部屋の借り手が見つからず賃料収入が得られなくなるリスクです。たとえ物件を購入しても、入居者がいなければ賃料収入は得られません。空室リスクは、もっとも対策が必要なリスクといわれています。

家賃下落リスクとは、家賃が物件の購入当初の金額から下落するリスクです。物件の経年劣化や周辺環境の変化などが起こると、家賃を下げなければ入居者が付きにくくなる場合があります。

修繕リスクとは、建物や設備の修繕・交換に費用が発生するリスクです。賃貸経営では、経年劣化が原因となり、外壁や屋根の塗装、給湯器の交換などが必要となります。経年劣化を放置していると、空室の発生や家賃の下落などの要因となってしまいます。

不動産投資には、他にも「家賃滞納リスク」「金利上昇リスク」「災害リスク」などがあり、安定的に経営を行っていく際には全てに対処するのが望ましいです。

しかし、どのリスクから対処すればよいか分からない場合は、空室リスクや家賃下落リスク、修繕リスクを優先的に対処すると良いでしょう。

不動産投資のリスクの対処方法

不動産投資の主なリスクに対処する方法は、以下の4点です。

● 安定した賃貸需要が見込めるエリアの物件を選ぶ
● 区分所有を避ける
● 定期的にメンテナンスをする
● 不動産管理会社を入念に選ぶ

それぞれについて、詳しく解説していきます。

安定した賃貸需要が見込めるエリアの物件を選ぶ

アパートやマンションなどに投資をする場合、安定した需要が見込めるエリアの物件を選ぶことがもっとも大切です。安定した需要が見込める物件に投資できると、空室リスクと家賃下落リスクの両方に対処できるためです。

例えば駅から徒歩5〜10分以内にある物件は、賃貸需要が高いといわれています。駅が近くにあると、通勤やレジャーなどに便利であるためです。主要ターミナル駅が近くにある物件、あるいはターミナル駅に直通する駅が近い物件は特に人気です。

駅に近いほど、物件の利回りは低くなります。しかし利回りが高い代わりに、空室が発生すると数カ月間は埋まらない物件よりも、利回りが低くても空室が発生したときに次の入居者がすぐ見つかる物件を選んだほうが合理的でしょう。

たとえ駅から遠い物件であっても、バス停が近くにあり、駅へのアクセスが良ければ安定した需要を見込める場合があります。スーパーやコンビニ、病院、学校など生活に必要不可欠な施設が近くにある物件も安定した需要が見込めます。

人口の面で考えると、東京にある物件が有利です。日本の人口は年々減少しているにもかかわらず、東京の人口はむしろ増加しています。中でも城南3区(世田谷・目黒・渋谷)は、住環境と治安の両方がよく、20〜30代の女性に人気であるため、安定した賃貸需要が見込めます。

すでに土地を持っている人は、売却して需要が見込めるエリアに土地を仕入れ直すのも方法の1つです。賃貸需要の見込めないエリアに土地がある場合、物件を立てても安定した賃料収入は得られないためです。

区分所有を避ける

相続対策として物件を購入する際に、区分マンションを選ぶ方がいます。区分マンションは1棟のマンションを購入するよりも価格が安く、相続人の数だけ購入すると相続時に分割しやすくなるためです。

ただしリスク対策という視点で考えると、区分所有は1棟所有と比較して空室リスクが高いといえます。区分所有のマンションで空室が発生すると、賃料収入が得られなくなります。しかし1棟所有であれば、1部屋で空室が発生しても、他の部屋の賃料収入でカバーできる可能性があるのです。

外壁や廊下などの共用部分を修繕したいと思っても、自らの意思だけでは修繕ができないのも区分所有のデメリットです。共用部分の修繕を行いたい場合は、管理組合に提案したうえで賛同を得なければなりません。

たとえ所有するお部屋を入念にメンテナンスしていても、共用部分のメンテナンスが不十分だと長期間にわたる空室の発生や、家賃の下落に繋がりやすくなるでしょう。

また区分所有は、1棟所有と比較して価格が割高です。加えて得られる賃料収入は、1部屋につき10数万円であるため、投資効率が高いとはいえません。

以上の点から相続税対策として投資物件を購入するのであれば、区分所有ではなく1棟所有のほうが良いと考えられます。1棟に投資するほど手持ち資金がない方は、金融機関から不動産投資ローンを借り入れるのも方法でしょう。

定期的にメンテナンスをする

定期的にメンテナンスされている物件は、築年数が経過していても劣化をあまり感じさせません。物件を定期的にメンテナンスすることで、空室の発生や家賃の下落を防ぐことができ、築年数が経過しても安定的に家賃収入を得られます。

物件の管理が行き届いていないと、経年劣化によって物件の魅力が低下し、家賃を下げなければ入居者が付きにくくなってしまいます。物件の魅力の低下を防ぐためには、外壁塗装や廊下の修繕、設備の交換などを定期的に行うことが重要です。

また安定した賃料収入を得ているオーナーは、共用部分だけでなく室内のメンテナンスも欠かしません。オーナーによっては、退去者が発生するたびにお部屋の壁紙や床のクロスを張り替えています。またキッチンやトイレ、お風呂などの水回りを定期的に交換するのも、賃貸経営に失敗しないオーナーの特徴です。

物件の修繕や設備の交換には、費用がかかるため、支払った金額分だけ利回りが低下します。しかし定期的に物件をメンテナンスしていないと、想定外の故障や破損などで多額の支出が発生する恐れがあります。

安定した賃料収入を得るためには、修繕計画を入念にたてたうえで、賃料収入の数パーセントを将来の修繕費として積み立てておくと良いでしょう。

不動産管理会社を入念に選ぶ

入居者募集や修繕の手配、入居者対応などの管理業務を、オーナーだけで行うのは現実的ではありません。オーナーの多くは、物件の管理業務を不動産管理会社に委託しています。

不動産投資において、不動産管理会社の選定は、物件の選定と同じくらい重要です。不動産管理会社によって、入居者募集や物件のメンテナンス、入居者対応などのノウハウが異なるためです。

もし入居者募集が得意な不動産会社に管理を依頼すると、空室が発生したときに次の入居者を短期間で見つけてくれます。反対に入居者募集に消極的な業者を選んでしまうと、物件に問題がないにもかかわらず空室が長期間にわたって続いてしまうかもしれません。

物件のメンテナンスが得意な不動産会社は、修繕の提案をしてくれるうえに、業者への手配もスムーズです。オーナーが物件のメンテナンスに詳しくなかったとしても、不動産管理会社のサポートを得ることで、物件を適切に維持・管理しやすくなります。

また入居者対応が親身かつ丁寧な不動産会社に管理を委託すると、入居者からの評判が良くなり、退去者が発生しにくくなるでしょう。安定的な賃料収入を得たいのであれば、管理業務に対して誠実に対応してくれる不動産管理会社を選ぶことが大切です。

安易なサブリースの利用はおすすめできない

サブリースとは、サブリース会社と呼ばれる業者がオーナーから賃貸物件を一括で借上げて第三者に貸し出す契約です。サブリース契約を結んだ場合、オーナーに対して「保証家賃」が支払われます。

保証家賃は、空室状況にかかわらず一定の金額であるため、空室リスク対策としてサブリース契約を選択するオーナーも多数います。ただしサブリースにもリスクがあるため、家賃が保証されているという点だけで契約を結ぶのはおすすめできません。

保証家賃は、物件から得られる満室時の賃料収入の8割程度が一般的です。そのため満室の状況が続いていても、保証家賃以上の賃料収入は得られません。賃料や更新料は、サブリース会社が受け取るため、物件の収益性はさらに低下します。

また物件の入居率が低かったり建物の劣化が進んでいたりすると、保証家賃が減額される場合があります。オーナーが保証家賃の見直しに同意しない場合は、契約解除となるケースも珍しくありません。

サブリース会社が経営難に陥ると保証家賃さえ支払われない場合があるのも、サブリース契約のリスクです。サブリース会社から保証家賃が支払われず、オーナーが自己破産に追い込まれたケースも存在します。

安定した収益が期待できる物件を選ぶのは、時間や手間がかかるでしょう。しかしサブリースには、空室リスク以外のさまざまなリスクがあるため、手間や時間をかけてでも物件や管理会社を入念に選ぶことが不動産投資において大切なことです。

≪不動産投資でよくある失敗理由!【サブリース編】≫

まとめ

不動産投資のリスクの中で、特に重点的な対策が必要なのは「空室リスク」「家賃下落リスク」「修繕リスク」の3種類です。これらのリスクに対処するためには、物件や不動産管理会社の選定が重要といえます。また計画的に修繕資金を積み立てていき、物件を適切にメンテナンスすることも、有効なリスク対策です。
事前に対策を行うなど、正しく取り組むことができれば安全に資産を築くことが可能ですので、正しい知識を身に付け、不動産投資を成功に近づけましょう。

 

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