#49 相続をする際は「二次相続」を考える

2021.09.03

親から子供へ財産を引き継ぐ場合、通常2回の相続が発生します。両親のどちらかが亡くなったときに起こる相続を「一次相続」、残された配偶者が亡くなった場合の相続を「二次相続」と言います。

相続対策を検討する場合、二次相続まで考えることが大切です。一次相続だけを考えて相続対策をすると、二次相続の際に高額な相続税が課せられる恐れがあるためです。

本記事を読んでいただくことで、二次相続で高額な相続税が発生する理由や、二次相続も踏まえた相続税対策の方法がわかります。少しでも多くの財産を相続したいと考えている方は、ぜひご一読ください。

二次相続で相続税負担が高額になる可能性がある理由

二次相続の相続税額が、一次相続よりも高額になる可能性がある理由は以下の3点です。

● 配偶者の税額軽減が使えない
● 小規模宅地等の特例が使えない場合がある
● 相続人の数が減る

それぞれについて見ていきましょう。

配偶者の税額軽減が使えない

一次相続で相続税が発生しにくいのは、配偶者の税額軽減があるためです。配偶者の税額軽減が適用されると、配偶者の相続財産額が「配偶者の法定相続分相当額」と「1億6,000万円」のどちらか多い金額まで相続税が課税されません。

例えば、夫が2億円の財産を残して死亡し、配偶者が1億6,000万円、子供2人が1人につき2,000万円ずつ相続したとしましょう。配偶者が遺産を相続するとき、配偶者の税額軽減が適用されるため、配偶者の相続税は0円となります 。

しかし配偶者が亡くなって、1億6,000万円の財産を子供2人が8,000万円ずつ相続した場合は、配偶者の税額軽減が適用されません。財産を相続した子供に課せられる相続税を計算すると、合計で約2,140万円 となります。

「万一のことがあっても、配偶者には相続税がかからないから、相続対策は必要ない」と考えている方もいらっしゃるでしょう。しかし配偶者の税額軽減が使えない二次相続で、子供に高額な相続税が課せられる可能性がある場合、相続対策を検討する必要があります。

 

小規模宅地等の特例が使えない場合がある

小規模宅地等の特例とは、亡くなった人が居住していた土地や建物を相続し、一定の要件を満たす場合に、相続税を計算するときの土地の評価額が減額される制度です。相続した建物の敷地が財産を残した人の居住用であった場合は評価額が80%減、貸付用であった場合は評価額が50%減となります。

 

小規模宅地等の特例を受けるためには、一定の要件を満たさなければなりません。例えば、亡くなった人が居住していた自宅を、別居していた子供が相続する場合、被相続人に配偶者又は被相続人の同居親族で法定相続人に該当する者がいないこと、相続する子供が持ち家に住んでいないこと等が条件です。

 

夫が亡くなって妻が自宅を相続すると、小規模宅地等の特例が適用されて相続税額が抑えられます。しかし二次相続をする子供が、すでに自宅を購入しそこに居住していた場合、小規模宅地等の特例は適用されないため、高額な相続税が課せられる可能性があるのです。

 

相続人の数が減る

二次相続では、通常、一次相続よりも相続人の数が減ります。例えば、一次相続において配偶者と子供2人の合計3人が財産を相続した場合、二次相続では子供2人が相続人となります。※二次相続の開始時点で子供が亡くなっていた場合は、相続人が異なります。

 

法定相続人の数が減ると、一人当たりの法定相続分が増えて相続税が高額になる可能性があります。また法定相続人の数が減ることで、相続税の基礎控除額が減ってしまうのも2次相続で相続税が増えやすい理由です。

 

基礎控除とは、相続税の計算対象外となる金額であり、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されます。法定相続人が3人であれば、基礎控除額は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円です。しかし法定相続人が2人に減ると基礎控除額も、3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円に減ってしまい、相続税が増えやすくなります。

二次相続の相続税額を軽減する方法

二次相続における相続税額を軽減する方法は、以下の4点です。

● 遺産の分割方法を工夫する
● 相次相続控除を利用する
● 生前贈与をして遺産の額を減らす
● 評価が低い財産に移転する

1つずつ解説していきます。

遺産の分割方法を工夫する

配偶者の税額軽減を利用できるからといって、一次相続時に配偶者の相続財産の割合を多くしてしまうと、二次相続時に多額の相続税が課せられる恐れがあります。そこで一次相続において配偶者が相続する割合をあえて少なくすることで、二次相続も合計したトータルでの相続税額を抑えられる可能性があるのです。

例えば夫が亡くなり、相続財産の評価額と法定相続人が以下の通りであったとしましょう。

● 相続財産の評価額:2億4,000万円
● 法定相続人:3人(配偶者・子供2人)

上記のケースにおいて、配偶者が一次相続で相続財産の70%を引き継いだ場合と、20%を引き継いだ場合で、相続税額の合計を計算してみます。なお二次相続は、配偶者が一次相続で取得した財産と同額を子供に相続するとします。

 

配偶者が相続財産の70%を相続 配偶者が相続財産の20%を相続
 一次相続 1,233万円 2,960万円
二次相続 2,380万円 60万円
合計 3,613万円 3,020万円

 

一次相続で配偶者の相続割合を少なくした方が、合計の相続税額が減る結果となりました。相続財産の評価額や相続人の数によっては、二次相続の相続税額が少なくなるように財産を分割するのも方法の一つです。

 

なお一次相続が行われた10年以内に、二次相続が発生した場合「相次相続控除」を利用して相続税負担を軽減できます。二次相続まで考慮した相続税対策を考える際は、税理士に相談すると良いでしょう。

 

生前贈与をする

遺産の分割方法を工夫するだけでは、相続税の節税効果は限定的です。二次相続を踏まえて相続税対策をする場合も、相続財産を減らすことを検討すると良いでしょう。中でも生きているうちに子供や孫に財産を贈与する「生前贈与」は、代表的な相続対策です。

 

他人から贈与された財産の価額が暦年(1月1日〜12月31日)のあいだに110万円を超えると、贈与税の課税対象となります。

 

生前贈与によって相続財産を減らして、相続税の負担を軽減できたとしても、高額な贈与税が課せられては相続対策とはいえません。そこで生前贈与する際は、多くの場合で贈与を受ける者1名につき年間110万円以内の財産を贈与する暦年贈与が行われます。

 

例えば、子供や孫など財産を贈与できる人が4人いる場合、年間で最大440万円、10年間で4,400万円の財産を生前贈与できます。

 

暦年贈与をする際は、贈与が行われた証拠が残るように、贈与をするたびに財産をわたす人と贈与契約書を毎年取り交わしましょう。ただし「これから10年間にわたって100万円ずつ贈与する」のような内容の贈与契約を結んでしまうと、1,000万円の贈与契約が結ばれたとみなされて、贈与税の課税対象となります。

効率よく生前贈与する方法について≫

 

資産を不動産に移転する

相続税の計算時に、現金よりも価値が低く評価される不動産へ財産をシフトしておくのも方法です。

現金を相続した場合、そのままの価値で評価されて相続税額が計算されます。しかし不動産であれば、時価よりも低い価値で評価されるため、現金で相続した場合よりも相続税の負担を軽減できる可能性があるのです。

相続税を計算する際、不動産の評価は土地と建物を分けて行われます。土地は時価の8割程度である「路線価」で評価されます。建物は時価の7割程度である「資産税評価額」で評価されるため、相続税の負担を抑えられる可能性があるのです。

また財産を使って賃貸アパートを建てた場合、相続時に「貸家の評価減」が適用されるため、評価額はさらに低くなります。資産のほとんどが現金をはじめとした金融資産である場合は、収益物件の購入を検討してみてはいかがでしょうか。

不動産が相続対策に最適と言われる理由とは?

不動産小口化商品も検討する

現物の不動産は、相続時に分割しにくいのが難点です。資産を現物不動産にシフトしたことで公平な遺産分割が難しくなると、相続人同士が揉めてしまい“争族”に発展する恐れがあります。

 

そこで資産を「不動産小口化商品」にシフトするのも方法の1つです。不動産小口化商品は、不動産特定共同事業法に基づく金融商品です。中でも「任意組合型」は、相続税の計算時に現物の不動産と同じ方法で価値が評価されるため、相続税の節税効果が期待できます。

 

現物の不動産を購入するためには、一般的に数千万〜数億円の資金が必要です。対して不動産小口化商品は、1口あたり数万〜1,000万円程度と少額から購入できます。また相続の際に「配偶者に10口、子供に5口ずつ」のように分割しやすいのも不動産小口化商品のメリットです。

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まとめ

一次相続の際には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が適用されて、相続税の負担が低くなりやすいです。しかし二次相続の際は、配偶者税額軽減が適用されず、小規模宅地等の特例も適用されにくいため、税負担は高額になりがちです。

 

そのため一次相続の相続税負担が低かったとしても、二次相続で高額な相続税が課せられる恐れがあります。相続税の負担を少しでも抑えたいのであれば、二次相続まで考えて相続対策をすることが大切です。

 

また生前贈与をしたり、資産の一部を現物の不動産また不動産小口化商品にシフトしたりするのも検討するとよいでしょう。有効な相続税対策は、保有資産や相続人の数などによって異なるため、相続税に精通した税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

 

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