#47 不動産投資の初期費用はいくらかかる?

2021.08.20

賃貸アパート賃貸マンションを取得する際は、購入費用や建築費用だけでなく、手数料や税金を支払わなければなりません。相続税の負担を軽減するために収益物件の購入を考えている方は、収益物件を購入する際のコストも考慮する必要があります。

そこで今回は、相続税対策をするために収益物件を購入する際の初期費用の目安や内訳を解説します。

 < 不動産投資ローン:種類や金融機関ごとの特徴>

不動産投資の初期費用

不動産投資をする際の初期費用は、物件取得費用の5〜10%が目安といわれています。例えば、1億円の賃貸アパートを取得する場合、諸費用の目安は500万〜1,000万円です。
自分自身や家族が居住するための物件を購入する場合、初期費用の一部または全部を住宅ローンの借り入れに含められる場合があります。しかし収益物件を購入する際に借り入れる不動産投資ローンは、頭金の支払いを求められるケースがほとんどであるため、諸費用を含めた借入は困難でしょう。

そのため賃貸アパートや賃貸マンションを購入・建築する際は、頭金に加えて購入時の諸費用を支払った分だけ、相続できる現預金が減ることを考慮する必要があります。

収益物件の購入時にかかる費用

賃貸アパートや賃貸マンションを取得するときに支払う税金や手数料の種類は、以下の通りです。

● 印紙税:売買契約書に貼り付ける印紙代
● 登記費用:所有権保存登記または所有権移転登記をする際の登録免許税+登記を依頼する司法書士への報酬
● 不動産取得税:不動産を取得したときに支払う税金
● 固定資産税・都市計画税の清算金
● 仲介手数料:購入する物件を仲介してくれた不動産会社に支払う手数料

不動産取得税は、物件を購入・建築してから半年〜1年ほど経過してから納税するため、納税資金を手元に残しておきましょう。

固定資産税や都市計画税は、1月1日時点で不動産を所有している人(=売主)が1年分を支払っています。そのため物件の引渡し日から年末までの税額を、買主が売主に支払って精算するのが一般的です。

仲介手数料は、多くの不動産会社が法律で定められた上限額である「物件価格×3%+6万円(消費税別)」に設定しています。例えば、8,000万円の賃貸アパートを購入した場合、仲介手数料の金額は8,000万円×3%+6万円=246万円です(消費税別)。

ただし所有する土地に賃貸物件を建てるようなケースでは、仲介手数料を支払う必要がないため、取得時の費用は安くなります。

不動産投資ローンの借入費用

不動産投資ローンを借り入れる場合は、以下の手数料や税金の支払いが発生します。

● 印紙税:不動産投資ローンの契約書に添付する印紙代
● 登録免許税:抵当権設定登記をするために支払う税金
※抵当権はローンを借り入れた人が返済を滞納した場合に金融機関が物件を差し押さえられる権利
● 事務手数料:不動産投資ローンを借り入れる金融機関に支払う手数料
● 保証料:保証会社に支払う手数料

事務手数料や保証料の金額は、不動産投資ローンを借り入れる金融機関によって異なります。また不動産投資ローンの1種である「プロパーローン」を借り入れる場合は、保証会社による保証が不要であるため、保証料はかかりません。

不動産購入後に支払う経費

不動産購入後は、以下の経費を支払っていく必要があります。

● 税金(固定資産税・都市計画税・事業税など)
● 建物や設備の管理費用・修繕費用・買い替え費用
● 損害保険料(火災保険・地震保険)
● 共用部分の光熱費 など

年間の家賃収入から、上記の諸経費が差し引いた金額は「不動産所得」となり、給与所得や一時所得などと合算されて、所得税や住民税が計算されます。

家賃収入から必要経費を差し引いた金額が赤字であると、築いてきた財産を食いつぶしてしまう恐れがあります。購入目的が相続税の節税であっても、安定した需要が期待できる物件を入念に選定し、購入後は適切に賃貸経営をすることが大切です。

初期費用をかけてでも不動産投資で相続対策をする人がいる理由

多額のコストをかけてでも相続税対策として不動産を購入する方が多いのは、大きな節税効果が期待できるためです。

例えば、保有している財産が評価額5,000万円の土地と、5,000万円の現金であったとしましょう。現金5,000万円で土地に賃貸アパートを建てた場合、建物の評価額は2,450万円 と建築費用の4割ほどに減少 します。これは、建物部分が時価の7割程度である「固定資産税評価額」で評価されるのに加え「貸家の評価減」が適用されるためです。

さらに土地部分には「貸家建付地の評価減」と「小規模宅地等の特例」が適用されるため、当初の評価額の4割前後となります。仮に賃貸アパートを建てたことで、土地の評価額が2,050万円 となった場合、建物部分との合計評価額は4,500万円です。

亡くなった人に配偶者がおらず子供1人が財産を相続する場合、1億円の相続財産に対して課税される相続税は、1,220万円です。相続税評価額が4,500万円まで下がると、相続税額は90万円となり、1,130万円の節税となります。

このように現金を不動産に変えることで、相続税の評価額を大幅に下げられる可能性があります。収益物件を取得したときの費用よりも高い節税効果が期待できるのであれば、相続税対策として収益物件を購入すると良いでしょう。

ただし「貸家の評価減」は、物件の賃貸割合によって減額される値が異なります。賃貸割合とは、各部屋の合計床面積のうち、実際に賃貸に出している合計床面積の割合です。また「貸家建付地の評価減」は土地があるエリアと、賃貸割合によって異なります。

子供や孫に収益物件を相続するメリット

賃貸物件を子供や孫に相続すると、物件から得られる家賃収入は相続した子供や孫のものとなります。

日本における民間の平均給与は、2000年に約461万円であったのに対し、2019年は約436万円に減少しています。※出典:国税庁「民間給与実態統計調査」 加えて今後は、少子高齢化の進展により、老後に受給できる公的年金が減額されたり、受給開始年齢が65歳から68歳や70歳に引き上げられたりしても不思議ではありません。

これからの日本では、複数の収入源を確保したり自分自身で老後資金を準備したりする必要性が高まると考えられます。収益物件を相続し、給与収入や年金収入に加えて家賃収入を得られることで、子供や孫の生活をより豊かにできる可能性があるのです。

また相続によって不動産を取得する場合、不動産取得税やローンの借り入れ費用など、コストがかかりません。加えて大幅な税制改正が行われない限り、収益物件を相続した子供や孫がさらに相続をするときも相続税の節税効果が期待できます。

このように収益物件を相続された子供や孫は、相続税の節税効果だけではない、さまざまな金銭的メリットを得られるのです。

不動産小口化商品も検討する

初期費用をかけたくないのであれば、不動産小口化商品を選択するのも方法です。不動産小口化商品とは、複数の投資家から資金を集めて、マンションや商業施設などを購入し、得られた家賃収入を出資額に応じて分配する金融商品です。

「任意組合型」の不動産小口化商品を購入すると、相続税を計算するときに現物の不動産と
同じ方法で評価されるため、節税効果が期待できます。

不動産小口化商品は、1口数万〜1,000万円程度で購入が可能です。小口の単位で購入できるため、相続人となる予定の人の数に応じて保有することで、相続時に公平にわけやすくなります。

他にも「管理や出口戦略をプロに任せられる」「分散投資がしやすい」などのメリットがあり、不動産投資の未経験者でも始めやすいといえます。

ただし家賃収入が得られる物件を、家族に残してあげたい場合は、現物の不動産を購入したほうが良いでしょう。

加えて不動産小口化商品は、不動産投資ローンを利用できないため、ローンを借り入れて、現金を多く相続したい人は、賃貸アパートや賃貸マンションの購入を検討すると良いでしょう。

まとめ

相続税対策のために不動産投資をする場合、印紙税や登記費用などを支払う必要があります。不動産会社に仲介を依頼する場合は仲介手数料、 不動産投資ローンを借りる場合は事務手数料をはじめとした借り入れ費用も支払わなければなりません。

推定される相続人の数や相続を予定している財産の評価額によって、不動産投資による相続税の節税効果は異なります。不動産投資をする際は、取得や維持にかかるコストと節税効果をシミュレーションで比較して判断することが大切です。

 

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