#46 不動産投資ローンの選び方とは?種類や金融機関ごとの特徴を解説

2021.08.13

賃貸アパートや賃貸マンションを購入する際、不動産投資ローンを組む方は少なくありません。収益物件を購入できる現金を持っているにもかかわらず、あえて不動産投資ローンを組む方もいらっしゃいます。

融資条件や審査基準などは、不動産投資ローンの種類や取り扱う金融機関によってさまざまです。初めて収益物件を購入する方の中には「どこでローンを借り入れたら良いかわからない」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、これから相続税の負担を軽減する目的でマンションやアパートの購入を検討している方に向けて、不動産投資ローンの種類や選び方を解説していきます。

<相続対策でローンを組むメリット

<不動産投資のメリットデメリット

不動産投資ローンを借り入れて物件を購入するメリット

まずは、不動産投資ローンを借り入れて、収益物件を購入するメリットを確認していきましょう。

相続税の節税効果が期待できる

相続税を計算する際、土地や建物は現金よりも価値が低く評価されます。土地部分の評価は「路線価方式」により時価の約8割程度、建物部分は「固定資産税評価額」と同額である時価の7割程度で評価されるのです。またアパートやマンションなどの収益物件の場合、土地や建物の評価額はさらに低くなります。

不動産投資ローンは、債務控除となり相続財産の評価額から差し引かれます。不動産投資ローンを借り入れて収益物件を建てたり購入したりすることで、相続財産の評価額が圧縮されるため、相続税の節税効果が期待できるのです。

レバレッジ効果を得られる

レバレッジとは「てこ」という意味です。レバレッジ効果とは、ローンをはじめとした借り入れを活用することで、投資効率を高めることをいいます。

例えば、自己資金5000万円で、実質利回りが5%の物件に投資をすると年間の収益は250万円です。一方で、実質利回りが同じ5%であっても、自己資金5000万円と1億円の借り入れで1億5000万円の物件を購入すると、年間収益を750万円に増やせます。

利回りが高くても、投資元本が少なければ高い収益は期待できません。不動産投資ローンを借り入れると投資元本を増やせるため、自己資金が少なくても高い収益が期待できます。

手持ち資金を残せる

不動産投資ローンを組んで手元に現金を残すことで、相続税の納税資金を準備しやすくなります。

極端な例ですが、2億円の現金を持っている人が、2億すべてを使って賃貸アパートを購入したとしましょう。資産を収益物件に変えることで、相続税の節税効果が期待できるものの、相続できる現金はなくなってしまいます。

相続財産が賃貸アパートだけになると、相続人は自らの貯蓄から相続税を納めなければなりません。また相続人が2人以上いた場合、相続財産が賃貸アパートだけになると、分割しにくくなります。

1億円の不動産投資ローンを借り入れて、自己資金1億を合わせて賃貸アパートを購入すると1億の現金を残せます。そのため相続人は、引き継いだ財産の中から相続税を納めやすくなるのです。また相続財産に占める現金の割合が増えると、遺産分割しやすくなります。

団体信用生命保険に加入できる

不動産投資ローンを組む場合、団体信用生命保険に加入するのが一般的です。団体信用生命保険とは、不動産投資ローンを借り入れた人が亡くなった場合や所定の高度障害状態となった場合に、保険金によって残債が0 円となる保険です。

不動産投資ローンを組んで団体信用生命保険に加入することで、病気やケガで亡くなったあと、返済義務がなく家賃収入が得られる物件を、残された家族に引き継げます。

団体信用生命保険に加入する際の保険料は、金融機関が負担してくれる場合もあれば、金利に上乗せする形で支払いが必要な場合もあります。

不動産投資ローンの種類

不動産投資ローンには「アパートローン」と「プロパーローン」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。

アパートローン

アパートローンとは、賃貸アパートや賃貸マンションなど、賃貸経営を目的とした不動産を購入する際に利用できるローンです。金利や融資期間、融資上限額などがあらかじめ決められているパッケージ商品です。

年収や勤務先、保有する金融資産など、借り入れる人の属性が金融機関の定める融資条件に該当していれば、アパートローン借り入れられます。初めて賃貸物件を購入する会社員や公務員の方は、まずアパートローンを検討してみると良いでしょう。

またアパートローンの審査結果は、3週間程度と比較的短期間で分かるため、スピーディーに融資を受けたい方にもおすすめです。

アパートローンを借り入れる場合、頭金として建築費用や購入費用の10%以上の自己資金を求められるのが一般的です。そのため、頭金なしでアパートローンを借り入れるのは困難でしょう。しかしプロパーローンよりは、求められる頭金の割合が低い傾向にあります。

一方でアパートローンは、プロパーローンよりも借入時の金利がやや高めに設定されているため、毎月の返済額や利息額が高くなります。

プロパーローン

プロパーローンとは、不動産経営をはじめとした事業向けのローンです。金融機関が独自に取り扱うオーダーメイド型のローンであり、 借り入れる人の年収や職業、金融資産などの属性に応じて、融資期間や融資額、金利が決まります。

すでに土地を所有している地主や、複数の物件を所有している人は、「金利が低い」「融資期間が長い」など、好条件でプロパーローンを借り入れられる可能性があります。

ただしプロパーローンは、頭金として建築費用や購入費用の20〜30%程度の頭金が求められるケースが多く、頭金なしで借り入れられるケースは非常に稀です。自己資金を多く準備できる人は、プロパーローンを検討すると良いでしょう。

またプロパーローンは、融資の条件を借り入れた人の属性に応じて個別で審査されるため、借入審査の完了までに2,3ヶ月程度かかることがあります。

不動産投資ローンを借り入れられる金融機関の種類

不動産投資ローンは、銀行や信用金庫などで借り入れが可能です。ここでは、金融機関の種類や特徴を解説します。

都市銀行(メガバンク)

メガバンクをはじめとした都市銀行は、全国に店舗があるためもっとも身近な金融機関であるといえます。

都市銀行の不動産投資ローンは、金利が低く融資限度額は高い点が特徴的です。しかし審査の難易度が高いだけでなく、審査時間も長い傾向にあります。自己資金や不動産投資の実績などが豊富でなければ、都市銀行での借り入れは困難です。

地方銀行

地方銀行とは、エリアごとに存在する地域密着型の金融機関です。ご自身が居住するエリアや購入する物件があるエリアによって、選択できる地方銀行は異なります。

地方銀行が取り扱う不動産投資ローンは、金利が都市銀行よりも若干高くなる代わりに、審査が緩い傾向にあります。

信用金庫や信用組合

信用金庫や信用組合は、地方銀行よりもさらに地域に密着した金融機関です。信用金庫や信用組合が取り扱うローンは、都市銀行や地方銀行よりもさらに金利が高い傾向にある一方で、審査のハードルは低い傾向にあります。

ただし地域密着型の金融機関であるため、自宅や勤務先があるエリアの信用金庫や信用組合でなければ、融資を受けるのは困難です。

ノンバンク

ノンバンクとは、預金業務をせずに貸金業務だけを行う金融機関です。

ノンバンクが取り扱う不動産投資ローンは、他の金融機関よりも金利が高い傾向にあります。一方で、審査の難易度が低く「借地権付き物件」や「再建築不可物件」でも融資をしてくれる可能性があります。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府が100%出資している政府系の金融機関です。「女性」「若者(35歳未満)」「高齢者(55歳以上)」など、融資を受けることが難しい人も対象にしています。

日本政策金融公庫で借り入れられるローンは、 金利が低い傾向にあるだけでなく「固定金利」であるため、返済の途中で毎月の返済額や利息額が変わる心配はありません。

ただし日本政策金融公庫で借り入れをする場合、今後の事業展開や経営者の資質などが、厳しくチェックされます。これは日本政策金融公庫が、不動産の「事業」に対して貸し出しをするためです。また審査の結果次第で、頭金を物件取得費用の4割以上求められることもあります。

不動産投資ローンを選ぶ際のポイント

不動産投資ローンは、ここでご紹介する2つのポイントに着目して選びましょう。

自分自身に合った金利タイプを選ぶ

不動産投資ローンの金利タイプには、「固定金利」と「変動金利」があります。

固定金利は、不動産投資ローンの借り入れから完済まで金利が変わりません。不動産投資ローンを借り入れたときに、毎月の返済額や返済総額が決定するため、返済計画を立てやすい点がメリットです。

ただし固定金利は、変動金利よりも借入時の金利が一般的に高く設定されています。世の中の金利相場が、借り入れから完済まで変わらなかった場合や、変化が小さかった場合、固定金利で借り入れたときの返済負担は変動金利よりも重くなるのです。

変動金利を選択した場合、不動産投資ローンの借り入れから一定期間で金利が見直される可能性があります。借り入れたあとに、世の中の金利相場に応じて金利が見直されるため、返済負担が増えるリスクがあります。

一方、変動金利は借入時の金利が固定金利よりも低く設定されています。そのため、借り入れ当初の返済負担を抑えられる点が、変動金利のメリットです。世の中の金利相場が上昇しなかった場合、固定金利よりも返済総額は少なくなります。

他にも借り入れから一定期間の金利を固定する「固定金利期間特約」を付帯できる変動金利もあります。借り入れ当初の3年や5年など、一定期間の金利を固定し元本を着実に減らしたい人は、固定金利期間特約が付帯された変動金利を選ぶと良いでしょう。

「返済額が高くても固定金利のほうが安心だ」と考える人もいれば、「これから金利が上昇するとは思えないから変動金利にして返済負担を抑えたい」と考える人もいます。さまざまな返済シミュレーションを確認し、ご自身の考えや返済計画に合った金利タイプを選びましょう。

複数の金融機関に相談する

不動産投資ローンの借入先を決める際は、できるだけ複数の金融機関に相談しましょう。

不動産投資ローンを取り扱う金融機関は、あまり多くありません。また金融機関によって借入審査の難易度や融資期間、金利などが異なります。「A銀行では融資審査に落ちたが、B銀行では融資してくれた」といったケースも起こりえるのです。

「事務手数料」や「保証料」など、借入時に支払う諸費用の金額も金融機関によって異なります。複数の金融機関に相談し、もっとも有利な条件で借り入れることが大切です。

まとめ

不動産投資ローンには、「アパートローン」と「プロパーローン」の2種類があり、審査基準や金利などが異なります。

アパートローンは、年収や勤務先などの属性が審査基準に当てはまっていれば借り入れが可能です。投資用の不動産を初めて購入する会社員や公務員の方は、アパートローンから検討すると良いでしょう。一方、すでに土地を持っている人や、すでに複数の投資用不動産を所有している人は、有利な条件でプロパーローンを借り入れられる可能性があります。

不動産投資ローンは、都市銀行や地方銀行、信用組合などの金融機関で借り入れが可能です。相続税対策として収益物件を購入する際は、専門家に相談したり複数の金融機関に相談したりして、より有利な条件で不動産投資ローンを借り入れましょう。

 

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