#45 相続対策だけではない不動産投資のメリットとは?デメリットも解説

2021.08.06

資産の一部で不動産を購入するのは、有効な相続対策の一つです。相続財産としての不動産の価値は、現金よりも低く評価されます。賃貸アパートや賃貸マンションなどの収益物件は、 土地や建物の評価はさらに低くなるのです。

しかし相続対策に活用できる点だけが、不動産投資のメリットではありません。またメリットだけではなくデメリットも理解したうえで、不動産投資がご自身にとって適切なのかを考える必要があります。

本記事では、不動産投資のメリットやデメリットをわかりやすく解説します。

<相続対策における不動産投資のメリット注意点>

不動産投資は安定的な収益が期待できる

不動産投資は、元本が保証されているわけではないものの、株式投資やFXとは異なり投資額が短期間で0円となる恐れはありません。需要が見込める物件に投資することで安定した収益が期待できるため、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンといわれています。

 

不動産投資がミドルリスクミドルリターンといわれているのは、人々の生活に住居が欠かせないものであるためです。たとえ世の中が不況になっても、生活に住まいが必要不可欠である以上、賃貸物件のニーズが著しく低下する可能性は低いといえるでしょう。

不動産投資には、家賃収入が途絶えてしまう「空室リスク」や、建物の修繕が必要となる「修繕リスク」など、一定のリスクが存在します。しかし不動産投資のリスクは、対処を実践すると回避したり発生する確率を抑えたりできるものがほとんどです。

適切にリスク対策をすると、安定的な家賃収入が期待できます。将来的な需要があまり期待できないエリアに土地を所有している場合、売却して需要が期待できるエリアのアパートやマンションを購入するのも方法でしょう。

家賃収入で老後の年金をカバーできる

不動産投資で得られる家賃収入は、より豊かな老後生活を送るために活用が可能です。

生命保険文化センターの調査によると、ゆとりある老後生活を送るために必要な生活費は、平均で月額36.1万円です。※出典:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査

しかし、ゆとりある老後生活を送るために必要な生活費は、ご自身や家族のライフスタイルによって大きく異なります。また少子高齢化が進展することで、年金受給額や年金の受給開始年齢が見直されるかもしれません。

「孫の進学資金を援助したい」「趣味や習い事を楽しみたい」など、老後生活の希望は人それぞれです。公的な年金収入だけでは、希望通りの老後生活を送れない可能性がある場合、第2の年金として家賃収入を得るために収益物件を購入するのも方法の1つです。

インフレ対策になる

インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの値段が上昇することです。インフレが起こると、相対的にお金の価値は下がってしまいます。資産の多くを現金で保有していると、インフレが起こったときに資産価値が目減りしてしまうのです。

土地や建物はモノであるため、インフレが起きると価値の上昇が期待できます。資産の一部を不動産で保有していると、インフレが発生したときに現金の価値が下がって不動産の価値は上昇するため、資産全体が目減りせずに済みます。

2021年5月現在、日本銀行(日銀)は物価上昇率が前年比+2%のインフレとなるよう、金融緩和政策を継続中です。物価上昇率は、2018年が+1.0%、2019年が+0.9%、2020年が±0%でした。※出典:総務省統計局「2015年基準 消費者物価指数」日銀の目標は達成できていないものの、少しずつインフレは進展しているといえます。

物価上昇率+2%を達成するまで、金融緩和政策は継続されるでしょう。今後も緩やかなインフレが続くと考えられるため、資産の一部を不動産で保有することは有効なリスク対策と考えられます。

ローンを活用できる

株式投資や投資信託などは、基本的に借り入れで資金を賄えません。しかし不動産投資であれば、不動産投資ローンを借り入れて物件を購入できます。

不動産投資ローンの借り入れには「レバレッジ効果が期待できる」「手元に現金を残せる」といったメリットがあります。

レバレッジ効果が期待できる

レバレッジ効果とは、他人の資本を利用して少ない自己資金で大きな利益を得ることを指します。不動産投資ローンを借り入れることで、自己資金だけでは手が届かないような物件に投資をして、より大きな収益を得られる可能性があります。

例えば、利回りが7%の物件に投資するケースで考えてみましょう。自己資金が3,000万円である場合、期待できる年間の家賃収入は3,000万円×7%=210万円です。

そこで7,000万円の不動産投資ローンを金融機関から借り入れ、自己資金3,000万円と合わせて1億円の物件を購入するとしましょう。利回りが同じ7%であっても、年間の家賃収入は1億円×7%=700万円となり490万円増加します。

投資元本が多いほど得られる収益が高くなるのは、不動産投資だけではなく株式投資や投資信託なども共通です。しかし不動産投資は、他の投資とは異なり、不動産投資ローンの借り入れによってレバレッジ効果を得て投資効果を高められます。

手元に現金を残せる

手元に現金があったとしても、不動産投資ローンを借り入れた方が良いケースもあります。例えば、検討している物件を手持ちの現金で購入すると、資産のほとんどが不動産となってしまう場合です。

2億円の預貯金があるとしましょう。価格が1億9,000万円の賃貸マンションを1棟購入すると、預貯金が1,000万円しか残らなくなってしまいます。

資産のほとんどが不動産になってしまうと、財産を相続した人は自らの貯蓄から相続税を支払う必要性が生じます。また相続人が複数いる場合、相続財産が賃貸マンション1棟と現預金1,000万円であると、遺産分割がしにくくなるでしょう。

相続時に賃貸マンションを売却して現金に変えたうえで、分割する方法もあります。しかし不動産は、買い手が見つからない限り売却できません。不動産会社に買い取ってもらう方法もありますが、売却価格が相場の7割程度になってしまう可能性があります。

そこで1億円の自己資金と1億円のローンで2億円の賃貸マンションを購入すると、1億円の現金を残せます。その結果、相続人は相続した現金を使って相続税を納められるだけでなく、遺産分割もしやすくなるのです。

所得税や住民税を節税できる可能性がある

物件を購入し賃貸経営を行うと、税金をはじめとしたさまざまな経費が発生します。家賃収入から必要収入を差し引いた金額は「不動産所得」として、給与所得を含む他の所得と合算されて、所得税や住民税の課税対象となります。

家賃収入から必要経費を差し引いた金額が赤字となった場合、他の所得と相殺(損益通算)して所得税や住民税などを節税できる可能性があるのです。

不動産投資おいて、経費と認められる支出の例は、以下の通りです。

● 管理会社への管理委託費
● 物件の修繕費
● 不動産投資ローンの利息
● 固定資産税・都市計画税
● 損害保険料(火災保険料・地震保険料)
● 減価償却費
● 旅費・交通費・通信費 など

減価償却費とは、建物の築年数の経過による消耗や劣化などで減少したと考えられる価値に相当する金額です。経費として計上できる減価償却費は、建物の構造(木造、鉄筋コンクリート造など)に応じて決まる耐用年数と、建物部分の取得費用に応じて決まります。土地部分の取得費用は、減価償却費の対象となりません。

団体信用生命保険に加入できる

不動産投資ローンを組む場合、団体信用生命保険に加入できます。団体信用生命保険は、不動産投資ローンを借り入れた人が亡くなったときや、保険会社が定める高度障害となったときに残債が0円となる保険です。

団体信用生命保険に加入していると、不動産投資ローンを借り入れた人が万一の場合、残された家族はローンを返済する必要がありません。売却をしない限り物件は残り続けるため、入居者がいれば引き続き家賃収入を得られるため、残された家族の生活費や教育費などに充てられます。また物件を売却して、まとまった現金に変えることも可能です。

不動産投資をするデメリット

不動産への投資はメリットばかりではありません。不動産投資を始める際は、デメリットを把握し必要に応じて対策をすることが大切です。

家賃収入を得ると相続財産が増える可能性がある

家賃収入を得ると、財産が増えていきます。家賃収入を得る期間が長いほど、相続財産が膨れ上がってしまい、相続税の負担がかえって増えてしまうかもしれません。

家賃収入によって相続財産が増える恐れがある場合、賃貸物件を生前贈与するのも方法の1つです。相続時精算課税制度を利用すると、20歳以上の子どもや孫に贈与した財産のうち、2,500万円まで贈与税が非課税となります。

相続時精算課税制度の適用を受けた財産は、相続税の課税対象となります。しかし贈与した賃貸物件から得られる家賃収入は、贈与された子どもや孫の財産となり相続税の課税対象にはなりません。

さまざまなリスクがある

不動産投資は、リスクに対処することで安定した家賃収入が期待できます。しかし不動産投資のリスクは下記の通り数多あり、それぞれに対処しなければなりません。

● 空室リスク:空室が発生して家賃収入が得られなくなるリスク
● 家賃滞納リスク:入居者が家賃を滞納するリスク
● 家賃下落リスク:経年劣化や周辺環境の変化によって家賃が低下するリスク
● 修繕リスク:建物が劣化することで修繕が必要となるリスク
● 災害リスク:台風や洪水、地震などの自然災害で建物が倒壊したり損害を被ったりするリスク
● 金利上昇リスク:不動産投資ローンの金利が上昇して返済負担が増えるリスク
※変動金利で借り入れた場合

リスクへの対処が不適切であると、家賃収入の減少や経費の増加によって、収支が悪化してしまいます。ローンを組んで物件を購入した場合、返済が滞ってしまうかもしれません。また賃貸経営が赤字になると、これまで築いてきた財産を減らしかねないでしょう。

相続対策のために物件を購入しても、賃貸経営に失敗すると相続税の節税額を超える損失が発生しかねません。賃貸経営の失敗を防ぐためには、不動産投資のリスクに1つずつ対処することが大切です。

例えば空室リスクへの対処法には「需要が見込めるエリアの物件を購入する」「入居者募集が得意な管理会社を探す」「適切にメンテナンスをする」などがあります。修繕リスクには「計画的に修繕費を積み立てる」「修繕のノウハウがある管理会社を選ぶ」などで対処が可能です。

まとめ

不動産投資には「安定的な収益が期待できる」「インフレリスク対策になる」「ローンを活用できる」「団体信用生命保険に加入できる」など、複数のメリットがあります。また相続税だけでなく、所得税や住民税も節税できる可能性があります。

一方で不動産投資には、空室リスクや家賃滞納リスクなどさまざまなリスクが存在し、それぞれに対処が必要です。また相続対策として物件を購入する場合、家賃収入を得ることで相続財産が増える恐れがあります。

相続税の節税効果以外にもメリットが期待できるのであれば、リスクへの対処方法を検討したうえで、不動産投資をはじめてみてはいかがでしょうか。

 

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