#43 配偶者がいる場合・いない場合でこんな差が!効果のある相続対策を解説!

2021.07.21

相続税において配偶者控除は、1億6千万円又は法定相続分相当額と控除額が非常に多いことで知られています。

配偶者控除が多い理由は被相続人が亡くなった後の配偶者の生活負担を軽減するためですが、配偶者がいるケースといないケースではどのくらい納める相続税に差があるのでしょうか?

配偶者がいない場合、どのような相続対策を行うべきなのでしょうか?

本記事では相続税の配偶者控除について、2020年に創設された配偶者居住権、配偶者がいるケースといないケースでの相続税額の違いなどを解説していきます。

現行の制度で「効果が高い」と言われる相続対策も紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

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相続対策になる?相続税の配偶者控除とは

相続税の配偶者控除とは、1億6千万円又は配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは相続税がかからない制度で、「配偶者の税額の軽減制度」とも言われています。

配偶者控除に上限は無く、極端なことを言えば30億円の遺産を配偶者と子供で相続した場合、配偶者は法定相続分の15億円が非課税となります。

相続人の範囲や相続分は民法で「法定相続分」「法定相続人」として定められています。

法定相続人の第1順位が被相続人(亡くなった方)の子供(子供が亡くなっている場合は孫)、第2順位は父母(父母が亡くなっている場合は祖父母)、第3順位は兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合には甥・姪)となり、配偶者は常に相続人となります。

なお配偶者の法定相続分は、他の被相続人と法定相続人の関係によって異なり、以下の通りになります。

法定相続人の範囲 配偶者の法定相続分
配偶者と子供 1/2
配偶者と父母(又は祖父母) 2/3
配偶者と兄弟姉妹(又は甥・姪) 3/4

 

配偶者は被相続人が亡くなった後の生活の負担を軽減するために、法定相続分が他の相続人より多くなっています。

2020年に配偶者居住権と配偶者短期居住権が創設されたことにより、夫婦の一方が亡くなった後に残された配偶者は、最低6ヶ月間は無償で今まで住んでいた住宅に住み続けることができるようになりました。

 

配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物に一定期間または終身、建物に居住することを認める権利です。

以前の制度では配偶者が不動産を相続することで他の遺産を受け取れない事態に陥ってしまう事例がありましたが、所有権ではなく「配偶者居住権」を取得することによって預貯金等を多く取得し、被相続人が亡くなった後の生活資金を確保します。

 

 

配偶者居住権と対となり、相続税の課税対象となる「負担付きの所有権」を他の相続人が相続し、配偶者は建物敷地の現在価値から負担付所有権の価値を差し引いた額を「配偶者居住権」として確保します。

配偶者居住権により、柔軟な財産分割が可能となります。

 

配偶者がいるケースといないケースの相続税を比較

配偶者がいるケース・いないケースで、相続税の額がどのくらい違うのかを試算してみましょう。被相続人Aさんが亡くなった事例で比較していきます。

Aさん:子供2人(長男・長女) /  相続財産合計:1億円

 

<預貯金>

普通預金:1000万円

定期預金:6980万円

合計評価額:8000万円

定期預金は預入残高に利子を加え、源泉徴収税額を差し引いた価額で評価され、普通預金は相続日の預入残高で評価されます。

 

<有価証券>

上場株式(時価):2200万円

評価額:2000万円

 

 

配偶者がいる場合

Aさんに配偶者がいる場合には、法定相続人は配偶者・長男・長女の3人で、基礎控除額は(3000万円+(600万円×3))=4800万円となります。

相続財産の価額合計1億円から基礎控除額4800万円を差し引いた5200万円が課税遺産総額となります。相続税の計算では、一度この段階で課税遺産総額を法定相続分で按分します。

実際に相続する配分と異なっていても大丈夫です。

 

法定相続分では配偶者が1/2、子供は合わせて1/2となりますので、

配偶者:2600万円

長男:1300万円

長女:1300万円

各々の仮の相続分は以上となります。

 

次はそれぞれの相続税額を計算します。相続税の算定表は以下の通りです。

相続により取得する金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

 

配偶者は2600万円に15%の税率をかけ控除額50万円を差し引いた結果、340万円となりました。子供も同様に1300万円に15%を乗じ50万円を差し引くと1人145万円という計算となります。

340万円(配偶者)+145万円(長男)+145万円(長女)=630万円

630万円がこの一家が支払う税金の総額となりますが、最後に実際の相続割合で按分して控除額を差し引きます。

 

実際の相続分は以下の割合で相続すると仮定します。

配偶者:70% 長男:15% 長女:15%

 

配偶者:630万円×70%=441万円

長男:630万円×15%94.5万円

長女:630万円×15%=94.5万円

 

配偶者は上記の通り7000万円分の財産を相続し、税額441万円は全額控除されますが、長男長女共に1500万円分の財産を相続し、94.5万円の税金が課される結果となりました。

上記では実際の割合で計算しましたが、一度配偶者がすべて相続すると配偶者控除で税金は課されないことになります。

相続税額630万円のうち、配偶者控除により441万円に対して税金がかからない結果となります。

 

配偶者がいない場合

配偶者がいない場合には子供2人に相続税が課されます。

基礎控除額は(3000万円+(600万円×2))=4200万円となり、5800万円が課税遺産総額となります。

法定相続分では子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けますので1/2で計算し、子供1人の相続財産は2900万円ずつ、385万円の税金が課されます。

 

実際の相続割合も子供1人当たり1/2である場合

長男:385万円

長女:385万円

合計:770万円

 

上記の税金が課されることになります。配偶者がいる場合には長男には94.5万円、長女には94.5万で合計189万円であったため、相続税額は581万円多い結果となりました。

 

配偶者がいない場合には相続対策が必要

配偶者がいる家庭では配偶者控除を利用し納める税金を少なくすることができますが、配偶者に先立たれ場合や独身の方など配偶者がいない家庭では配偶者控除を利用できません。

配偶者がいないケースの相続税対策はどうやって行ったら良いのでしょうか?

生前贈与という方法もありますが、相続開始前3年以内に受けた贈与は「みなし相続財産」として相続税の計算に含まれてしまいます。

現行の制度で効果が高い相続対策として「不動産投資」があります。

不動産は土地が時価の約8割である「路線価方式」(一部の地域では倍率方式)で評価され、建物は時価の約7割である「固定資産税評価額」で評価されますので、相続財産に対する課税対象額を圧縮することができます。

賃貸事業・居住用の土地で一定の条件を満たす場合には「小規模宅地等の特例」が適用となり、さらに50~80%の価額が減額されます。

例えば上記のAさんが預貯金8000万円を不動産に換え、土地5000万円、建物3000万円を取得した場合、土地の評価額は4000万円、建物は2100万円となります。

さらに土地に対して小規模宅地等の特例が適用され80%減額となる際には、800万円で評価され、合計評価額は2900万円まで圧縮されます。

例えば現金8000万円を相続人1人が相続する場合、相続税額は680万円【(8000万円-3600万)×20%-200万】となりますが、不動産に換えることで相続税は基礎控除内におさまり、納付する必要がなくなります。

不動産投資は相続対策として非常に有効な手段であると言えるでしょう。

【不動産が相続対策に有効な理由にとは?≫≫】

 

不動産小口化商品という相続対策も

不動産投資に抵抗がある方は、まず「不動産小口化商品」で相続対策を行うことをおすすめします。不動産小口化商品とは不動産を小口化、数万円~1千万円で販売する商品です。

商品の形態によっては相続税評価額で価額が評価されますので、相続財産の一部が約8割で評価されます。

さらに小口化されていることで相続の際に分割しやすい、投資としてリスク分散になるというメリットがあります。

不動産投資はエリアの需要や選定が非常に重要となり、経営に大きな影響を及ぼしますが、不動産小口化商品で様々なエリアの不動産を購入する事がリスク分散に繋がります。

 

【不動産小口化商品の基礎知識はこちら≫≫

まとめ

相続税の配偶者控除や配偶者がいるケースといないケースでの相続税のシミュレーション、相続対策として有効な不動産投資や不動産小口化商品についてお伝えしてきました。

相続税の課税対象額を大幅に圧縮できる不動産投資は相続対策の強い味方となります。

シミュレーションでは税金が現金のケースより680万円少なくなる結果となり、配偶者がいないケースでも相続後の相続人の負担を軽減できます。

「いきなり不動産投資はちょっと…」という方はまず不動産小口化商品から検討してみましょう。

 

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