#37 選ぶ前に知っておきたい!不動産小口化商品のバリエーション

2021.06.01

賃貸不動産は家賃収入が得られ、現金・預貯金などと比べて相続税の負担も抑えられるものの、購入のためにはまとまった資金が必要となるのがネックでした。そこで、もっと少額から投資でき、通常の賃貸不動産と同様に安定的な収入と節税効果を期待できるものとして登場したのが不動産小口化商品です。

ただ、一口に不動産小口化商品と言っても、仕組みの違いによって3つのタイプに分類されています。それぞれの特徴、メリット・デメリットについてきちんと知ったうえで、自分に最も適しているものを選びましょう。

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不動産小口化商品にはいくつかの種類がある

そもそも不動産小口化商品は、不動産特定共同事業法(不特法)という法律が制定されたのを機に誕生しました。同法律は不動産小口化商品の健全な普及と投資家の保護を目的としたもので、1995(平成7)年4月に施行されています。

たとえば、不動産特定共同事業を行うためには国土交通大臣等または都道府県知事の許可を受けることを原則とするなど、参入に対して高いハードルが設けられています。他にも定められている基準をすべて満たした事業者が不動産小口化商品を提供しているわけです。

大勢の投資家が不動産小口化商品を購入することで事業者はまとまった資金を獲得し、それを元手として賃貸不動産に投資します。そして、賃貸不動産から得られた収益は不動産小口化商品の購入者に保有口数に応じて分配されるのです。

ここで気をつけたいのは、不動産特定共同事業法(不特法)に基づいて設定されている不動産小口化商品には3つの種類があり、仕組みやメリット・デメリットに違いが見られること。①任意組合型、②匿名組合型、③賃貸型の3つで、以下において個別に説明していきましょう。

分配金が不動産所得とみなされ、相続税の節税も期待できる「任意組合型」

任意組合型」とは、投資家と事業者が任意組合契約を結び、共同で事業を行っていく形式の不動産小口化商品です。任意組合契約とは、複数の人たちが団体(任意組合)を結成し、共同で出資して事業を行うことを約束する取り決めで、民法で定められたものです。

「任意組合型」は、さらに「現物出資型」と「金銭出資型」の2つに分類されます。

「現物出資」型では、投資家が事業者と売買契約を交わし賃貸不動産の共有持分を購入し、それを結成した任意組合に現物出資します。一方、事業者は賃貸不動産の運営・管理を行い、得た収益を投資家に分配します。

「現物出資型」の大きな特徴は、先に述べたように 賃貸不動産の共有持分を購入したうえで現物出資していることです。税制上は個々の投資家が不動産小口化商品の共有持分を所有しているとみなされるため、分配金は不動産所得として扱われますし、相続が発生した際には節税効果(賃貸不動産に対する相続税評価額の評価減)も見込まれます。

これに対し、投資家が任意組合に金銭を出資し、同組合の共有財産として不動産を保有する形式を用いているのが「金銭出資」です。その点は「現物出資型」との違いがありますが、こちらも税法上は投資家が不動産を所有しているケースと同じ扱いとなるため、分配金は不動産所得となり、相続が発生した際には大きな節税効果を期待できます。

あくまで金銭の出資で、不動産に関する税制を享受できない「匿名組合型」

「匿名組合型」とは、投資家と事業者が匿名組合契約を結ぶ形式の不動産小口化商品です。匿名組合契約は商法に定められているもので、投資家は事業者に出資し、その見返りとして事業で得た収益の分配を受けるという取り決めのことです。

事業者が賃貸不動産の運営・管理を手掛け、投資家は得られた収益の分配を受けられるという点は任意組合型と共通しています。「匿名組合型」では投資家が組合に金銭を出資しする形式を用いており、「任意組合型」の「金銭出資型」と混同されがちですが、税法上の取扱いは大きく異なっています。

「匿名組合型」の場合、投資家が出資したのはあくまで金銭で、賃貸不動産は事業者が所有していることから、税制上において分配金は不動産所得ではなく雑所得とみなされます。また、「匿名組合型」の不動産小口化商品を相続しても節税効果は期待できません。

現状、不動産小口化商品において主流を占めているのは「匿名組合型」です。相続対策として注目する場合はきちんと契約形態を確認したうえで、「任意組合型」になっているものを選ぶのが賢明だと言えるでしょう。

 

「賃貸型」も相続税の節税を見込めるが、あまり出回っていないのが難点

残る「賃貸型」は、投資家が賃貸不動産の共有持分を購入し、それを事業者に貸し出すという仕組みになっています。事業者が賃貸不動産の運用・管理を担う点や、得られた収益が投資家に分配される点は他の2つのタイプと同様です。

投資家は賃貸不動産の共有持分を所有しているので、税制において分配金が不動産所得として扱われ、相続の発生時に節税効果(賃貸不動産に対する相続税評価減)も期待できるのは「任意組合型」と共通しています。

ただし、実際のところ「賃貸型」の仕組みを採用している不動産小口化商品はあまり出回っていません。

 

運用期間や手数料設定など、その他にもチェックすべきポイントとは?

ここまで述べてきたような仕組みの違いだけでなく、他にもしっかりと見比べておきたいポイントがあります。その1つとしてまず挙げられるのは、実際に投資している賃貸不動産の立地条件や仕様・状態です。

当然ながら個々に投資している物件は異なっており、たとえば人気エリアの新築デザインマンションと地方都市の築古マンションでは空室の発生リスクには少なからぬ違いが出てくるものでしょう。したがって、安定的に高い賃貸需要が見込まれる物件を投資対象としているか否かという見定めが求められてくるわけです。

加えて、最低投資単位(1口あたりの金額)や運用期間、手数料の設定も一律に定められておらず、個別に違いが生じています。そういったポイントまできちんと見渡したうえで、自分自身のニーズに最も合ったものを選ぶのが最善です。

 

まとめ

複数の相続人の間で分けやすく、賃貸不動産に適用される相続税評価減も見込まれることから、相続対策として不動産小口化商品に注目する人が増えています。このような観点から投資を検討するなら「任意組合型」と「賃貸型」の二択となってきますが、後者はあまり見かけられないのが現実です。

不動産小口化商品に関して事業者から説明を受けたり、資料を比較検討したりする際には、仕組みや条件の違いをくまなくチェックすることを心掛けましょう。

 

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