#36 新築賃貸マンションが相続対策で「ベスト」な理由

2021.05.25

 

「5000万円+1000万円×法定相続人の数」となっていた相続税の「基礎控除」が2015年1月1日から「3000万円+600万円×法定相続人の数」に縮小され、課税対象者が大幅に増えました。こうしたことから、相続対策のニーズが急速に高まっています。

もっとも、相続対策では節税面のみならず、「大切な資産を守りながら着実に次代へ継承させる」という視点も重要となってきます。これらの両面からどういった具体策が最も有効なのかを考えてみましょう。

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検証①「預貯金VS不動産」

相続は“争族”を招きやすいと言われているように、複数の相続人が公平に分けやすいことも見逃せないポイントでしょう。現金や預貯金はその点において最も融通が利くものの、相続税の税負担は重くなってきます。

まず、現金や預貯金は額面通りの「相続税評価額」となります。「相続税評価額」とは、相続税を計算するためにその資産の価値を査定したものです。

これに対し、不動産は時価よりもかなり割安な「相続税評価額」となってきます。土地の部分については、適正な時価(地価公示価格)の約8割である「路線価」をもとに判断し、実勢価格と比べて2割程度も低くなるのが一般的です。

また、建物の部分についても「相続税評価額」は実勢よりも安く算定されます。自宅に用いている場合、建物の評価額は建築費の6割程度の「固定資産評価額」と同程度と判断されます。

つまり、巷では同じ資産価値とみなされていても、不動産は預貯金よりも相続税の負担がかなり軽くなってくるのです。

 

検証②「遊休地や駐車場VS賃貸不動産」

土地については、賃貸物件を建てていると「借地権割合(その土地において他人に貸しているウエート)」に応じて減額され、時価に比べて相続税評価額が4割程度低く算出されます。建物についても、自宅として用いているケースに適用される「相続税評価額」の約70%と算定されます。

自宅以外にも不動産を保有し、それが特に活用していない遊休地となっている場合は、相続のことを念頭に賃貸物件を建設するのも一考でしょう。もちろん、安定的な賃貸需要が見込まれることが大前提で、さほど期待できないエリアの遊休地は売却し、もっと有望なエリアで別の物件を取得したほうがよさそうです。

一方、他人に貸しているという点は共通しているように思われますが、駐車場として使用している不動産では「相続税評価額」の圧縮効果が低くなります。賃貸マンションや賃貸アパートの場合は、賃借人(借主)の保護する目的に制定された「借地借家法」の範疇となり、正当な事由がなければ立ち退きを求めるのが困難です。

しかし、駐車場には「借地借家法」が適用されません。賃貸借契約書に記載されている中途解約条項に則っていれば、賃借人の合意が得られなくても立ち退きを求めることが可能で、こうしたことから賃貸物件を建てているケースと比べて「相続税評価額」は高くなってしまいます。

さらに、賃貸物件を建てている土地には固定資産税や都市計画税においても軽減措置が設けられています。その面積に応じて固定資産税が6分の1もしくは3分の1、都市計画税が3分の1もしくは3分の2に減額されるのです。2022年3月31日までに建設された建物についても、新築マンションのケースで竣工から5年間が2分の1に引き下げられます。

 

検証③「中古の賃貸物件VS新築の賃貸物件」

自宅以外には不動産を所有していなかった人が相続税の節税を目的に、賃貸マンションや賃貸アパートを購入するケースが増えています。預貯金から賃貸不動産への資産移転による「相続税評価額」の軽減を図っているわけですが、その際には中古と新築のどちらを選ぶべきかで迷うことも少なくないでしょう。

敷地面積などの条件がほぼ同じだった場合、当然ながら新築物件は中古物件よりも取得価格が高くなってきます。初期投資の費用負担を考えると中古のほうが手を出しやすい存在だと言えるのですが、先々のことまで考えると早計な判断は禁物かと思われます。

中古物件は適切にメンテナンスを施さないと経年劣化が進むにつれて魅力が低下し、どうしても空室が発生しやすくなります。特に築古物件はなかなか新たな入居者が見つからず、空室が長期化するケースも珍しくありません。

しかも、空室を抱えたままの状態で相続が行われると、賃貸割合(賃貸に供している床面積が全体に占める比率)が低下するため、満室時と比べて「相続税評価額」が高くなる可能性が大きくなります。空室によって家賃収入が減っているうえ、相続税負担が逆に重くなってしまうのです。

築古物件は耐久性に関しても大きな不安を抱えています。近年は地震や台風などの自然災害が頻発していますが、こうした天災が原因で賃貸物件に倒壊などの被害が発生した場合も、その物件のオーナーは修繕義務を負います。

 

検証④「自己資金で購入VS融資を受ける」

安定した賃貸需要が見込まれる東京都内の人気エリアで新築マンションを手に入れようとすれば、相応の予算が求められてきます。すべてを自己資金で賄える人はおのずと限られてきますが、実はかなりの資産家であってもあえて融資を受けて物件を取得しているケースが珍しくありません。

なぜなら、融資の活用によって「相続税評価額」をさらに減額できるうえ、毎年の返済分を家賃収入から差し引いて所得税の軽減も可能だからです。どのような違いが生じるのかについて、具体例を挙げながら見てみましょう。

時価2億円の土地に2億円の建設費を投入して新築マンションを建設したケースで考えてみます。土地は「貸家建付地」とみなされるので、「借地権割合(借地権の評価額がその土地の地価に占める比率)」が70%だったと仮定した場合、その「相続税評価額」は1億2640万円となり、建物も賃貸に回すことから8400万円の「相続税評価額」と判定され、合計は2億1040万円で実勢の半額近くまで評価を下げられました。

しかも、融資を活用すれば、節税効果をさらに高めることが可能です。同じく2億円の土地において、2億円の自己資金に融資で調達した2億円を加えて4億円の新築マンションを建設したケースを見てみましょう。

先程と同様に土地の「相続税評価額」は1億2640万円で、建物の「相続税評価額」は1億6800万円となりますが、これらから負の遺産である借入金(2億円)を差し引くことができます。その結果、「課税遺産総額」を9440万円に減額できる一方で、建設費2億円の物件よりも建設費4億円の物件はより多くの家賃収入を期待できるでしょう。

なお、現金2億円と遊休地や駐車場として使用していた時価2億円の土地の場合は「相続税評価額」が3億6000万円となります。自己資金とともに融資も活用して賃貸マンションを建てると、遊休地や駐車場のケースと比べてはるかに大きな節税効果が得らるわけです。

 

 

 

まとめ

既製のものを選別して購入する中古物件とは違い、新築物件は設計やデザイン、設備などに関して自分自身のこだわりを反映させることも可能です。周辺の物件と比べて高付加価値を有する新築物件を建てれば、入居者から支持されて空室が発生しにくく、実質的な資産価値も高く保全されて、相続した人からも感謝されることでしょう。

以上のことから判断すると、数ある相続対策の中でも賃貸マンションを所有するのが非常に効果的で、特に新築物件は節税効果や資産の保全性において「ベストの選択」であると考えられるでしょう。

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