「住みたい街ランキング」ランク外の賃貸経営は続けるべき?

毎年、不動産会社各社が発表している「住みたい街ランキング」は、賃貸経営をされている方にとっても気になるランキングではないでしょうか?住みたい街ランキングの上位にランクインしている地域は、人気の高いエリアとなり、賃貸需要が高く空室のリスクを避けることができます。

しかし、ランキング下位、ランキング外の地域に賃貸物件を所有している場合、このまま賃貸経営を続けても大丈夫だろうか?と不安になることもあるのではないでしょうか?住みたい街ランキングはさまざまなデータをもとに各社がそれぞれ策定しており、ランクインしていない地域がダメという訳ではありません。とは言え、賃貸経営は需要と供給のバランスが非常に重要です。

住みたい街として人気があまりない地域は、賃貸需要が低く、空室のリスクが高まることも考えられます。
そこで、今回は、住みたい街ランキング上位の街の特徴を始め、ランキング下位・ランキング外の地域のこれからの賃貸経営の考え方について紹介したいと思います。

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この記事の監修税理士
監修税理士の税理士法人チェスター代表 福留正明
税理士法人チェスター代表
福留 正明
公認会計士・税理士・行政書士。相続税対策に強みを持つ税理士法人チェスターの代表社員。株式会社チェスターでは、年間100億円以上の売却案件を豊富に取り扱っている。 TV/雑誌など各種メディアからの取材歴多数。また、土地や相続についての書籍も多数出版している。
株式会社チェスターは、総勢200名以上の税理士法人グループの不動産会社です
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1.住みたい街ランキング上位の街はどんな街?

まずは、各不動産会社が発表している2019年の住みたい街ランキングを見てみましょう。
「住みたい街ランキング」で検索上位に表示される5つのランキング紹介から、関東エリアのトップ5をまとめてみました。

【不動産会社別】住みたい街ランキング
参考:SUUMO 住みたい街ランキング2019総合トップ
LIFULL HOME’S <2019年>住みたい街ランキング
ARUHI 本当に住みやすい街大賞2019
長谷工グループ 住みたい街(駅)ランキング2019
生活ガイド.com 全国住みたい街ランキング

上記は首都圏データですが、聞いたことのある地域が多いですね、
都内以外でランクインしている横浜や川口、浦和、大宮は東京までのアクセスが非常に便利です。
柏の葉キャンパスはつくばエクスプレスの駅ですが、秋葉原まで34分という利便性と開発の進む周辺環境が特徴です。
世田谷区・港区など街のブランド力が影響しているエリアも見受けられます。

SUUMOの「穴場だと思う街(駅)ランキング」も主要駅までのアクセスが良いという特徴があります。
和光市は埼玉県ですが、東武東上線・東京メトロ有楽町線・副都心線の3路線の利用が可能です。
このように、住みたい街ランキングの上位に位置する地域は、首都圏の場合、交通の利便性の高さがランクインの要因の1つであることが読み取れます。

このように、特徴を読み解くことができる住みたい街ランキングですが、各社の住みたい街ランキングで最も確認していただきたい点は、「調査対象」です。各社の調査対象を確認してみましょう。

媒体 調査対象
SUUMO 関東圏(東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城)在中の20歳~49歳男女
LIFULL HOME’S 首都圏)東京・神奈川・千葉・埼玉に居住している18歳~69歳男女
ARUHI 住環境/交通利便/教育環境/発展性/コストパフォーマンスで審査員が審査
長谷工グループ 首都圏居住のモニター
生活ガイド.com 生活ガイド.com会員(2,502人)

このように、さまざまな調査対象でランキング策定されていることがわかります。
賃貸経営の参考にする場合には、ターゲット層、生活環境などさまざまな視点で複数のランキングを確認することがポイントです。

また、行政のデータを参考にするという方法もあります。
総務省の統計情報には、転入超過(転出者よりも転入者が多い)に関するデータがあり、転入者多い地域は人気があるエリアと判断できます。

年齢3区分別転入超過数の多い市町村
引用:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」平成30年(2018年)結果 表3

このデータは、東京23区(東京都特別区部)が1つの市として扱われているという問題はありますが、全国的な傾向を見るには分かりやすい指標です。例えば、15歳~64歳と65歳以上で比較すると人気傾向が異なることが読み取れます。
ご自身が保有する物件のターゲット(若年単身者向け、ファミリー向け、シニア向けなど)が、そのエリアの傾向とマッチしているかを確認してみましょう。

2.住みたい街ランキング外の賃貸経営

住みたい街ランキング外の地域や、ランキング下位の地域に賃貸物件を所有しているオーナーさんとしては、今後も賃貸経営を継続しても問題ないか不安に思うかもしれません。
確かに、住みたい街ランキング上位の地域は、賃貸需要の高い地域と判断できます。
しかし、ランク外であっても、需要が高い地域は確実に存在しており、人気ランキングだけで判断する必要はありません。

2-1.賃貸需要につながるポイントを押さえておく

上記で紹介したARUHIの住みやすい街大賞の審査方法では、「住環境」「交通利便」「教育環境」「発展性」「コストパフォーマンス」の5つを調査してランキング策定をしていました。
「教育環境」は、ターゲット層によって異なるため「教育環境」を外し、環境・交通・発展性・コストパフォーマンスの4項目をチェックしてみましょう。

環境 <物件>
□ターゲット層に適した居住スペース
□設備は近隣の賃貸物件と同等、もしくはそれ以上
□明るく日当たりの良い室内
□使いやすい間取り
□駐車場・駐輪場がある
□物件のウリになる特徴がある(ペット可/バス・トイレ別/女性専用など)
<周辺>
□スーパーやドラッグストア、コンビニなどが徒歩圏にある
□病院や診療所が近くにある
□治安が良い
交通利便性 □最寄り駅まで徒歩10以内
□ターミナル駅へのアクセス(乗り換え/時間)が良い(例えば、東京駅まで乗り換えなしで1時間以内など)
□バスの稼働率が高い(路線/本数/バス停までの距離)
□車社会であれば、部屋数分の駐車場がある
発展性 □最寄り駅、隣接する駅の開発が予定されている
□都市開発が予定されている地域
□大型のショッピングモールなどが建設される/される予定
コストパフォーマンス □相場の範囲内の家賃
□周辺の生活用品の物価相場が安い
□駐車場料金の相場が安い

住みたい街ランキングから外れていても、上記に記載したような項目が当てはまる物件は、賃貸物件としての需要が見込める物件です。
また、自治体で取り組んでいる住民への支援(ファミリー向けなら子育て支援、シニア向けなら見守りサービスなど)もチェックしてみましょう。

2-2.これからの賃貸は「シニア層」に着目すべき?

街の発展性や交通の利便性がそこまで高くなく、高齢者の転入超過数が多い地域の場合、これまで若者単身者向けにしていたターゲットを、シニア層に変更してみるという方法もひとつです。
ご存じの通り、日本は超高齢化社会に突入しています。
2025年問題と言われている2025年には、総人口の3割が65歳以上になることが予想されています。
(2025年問題については「超高齢社会に伴う2025年問題。不動産価格への影響はどうなる?」をご覧ください。)

一昔前までは、家族と同居が当たり前でしたが、ライフスタイルの変化などによって家族とは同居せずに、単独で生活される高齢者の数も年々増加しています。

単独世帯数の推移
参考:国土交通省 不動産業ビジョン2030参考資料
P48社会情勢の変化【少子高齢化・人口減少の進展】

現在、65歳以上の方が高齢者と定義されていますが、65歳はまだまだ若く、元気な方が大勢いらっしゃいます。
夫婦2人の生活、配偶者に先立たれ単身での生活など、今までの生活スタイルが大きく変化するシニア層は、住居に対する考え方も変わる方が多くなります。

広い住居からコンパクトで生活しやすい住居への住み替えや、都会から郊外への住み替えなど、ターゲットを絞り、それに応えるような居住空間へのリフォームを検討してみても良いと思います。

-自治体ごとの「街づくり」を把握しよう-
高齢化に伴う街づくりは自治体にとっても大きな課題です。
人が少なくなれば自治体としての存続も難しくなります。
所有している不動産のある自治体が、どのような街づくりを目指しているかを把握しておくことも、賃貸経営のヒントにつながります。
特に、高齢者が住みやすい街づくりに力を入れている場合には、高齢者の住み替えの波に乗れるような対応を取っておくと良いでしょう。

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各地域について、特徴を知りたい方は以下の記事が参考になります。
渋谷区港区中央区千代田区目黒区世田谷区品川区新宿区墨田区江東区豊島区大田区中野区

3.住みたい街ランキング外の賃貸物件を売却する

需要が伸びる可能性をあまり感じられない場合には、所有している賃貸物件を売却するという方法も選択肢のひとつでしょう。
また、今所有している不動産を売却し、ランキング上位の地域に不動産を購入するという方法もあります。

3-1.人気エリアの不動産に組み替える

賃貸物件を売却し、人気エリアで賃貸経営用の不動産を購入するという方法もひとつです。
お手軽に始められる代表的な投資法はマンションの1部屋を購入して賃貸経営を行うというスタイルで、サラリーマンなどにも人気です。

ポイントは、入居者が退去してしまうと収入がゼロになるため、住みたい街ランキングの上位の地域のように需要の高いエリアに物件を所有し、なるべく空室期間を減らすことです。

エリアの特性をよく調査し、ターゲットを絞り、需要が長期に渡り見込めるような物件を選びましょう。

まとめ

住みたい街ランキングは、毎年さまざまな不動産会社から発表されています。
引っ越し先など「住む」という観点で住みたい街ランキングを見る場合と、所有している物件の需要を把握するという視点で見る場合では、読み解き方に違いが生じます。

繰り返しになりますが、賃貸経営は需要と供給のバランスが大切です。
所有している賃貸物件のある地域の特性や将来性などを考慮し、入居者のターゲットを変更して賃貸経営を継続させるべきか、売却すべきかを考えていきましょう。

高齢化の進む日本では、住まいに関する意識も大きく変わっていくことが予想されます。
賃貸経営を行っているオーナー様は、時代の流れやニーズに対するアンテナもしっかりと張っておくことが大切です。