ページが見つかりませんでした – 相続税にまつわる様々なお悩みを税理士法人チェスターが解決します!チェスターは全国12拠点にて展開する相続専門の税理士です。【初回面談無料】平日9時~20時、土曜9時~17時にて受け付けています。相続や遺産、争族、不動産に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。 https://chester-souzoku.com 相続税にまつわる様々なお悩みを税理士法人チェスターが解決します!チェスターは全国12拠点にて展開する相続専門の税理士です。【初回面談無料】平日9時~20時、土曜9時~17時にて受け付けています。相続や遺産、争族、不動産に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。 Mon, 25 Mar 2024 01:32:26 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 相次相続控除とは。計算方法・要件などをわかりやすく解説 https://chester-souzoku.com/declaration_new/chain-successions-tax-credit-621 Mon, 25 Mar 2024 01:00:57 +0000 http://chester-souzoku.com/?p=621 「相次相続控除」とは、今回の相続における被相続人が過去10年以内に別の相続で財産を取得し相続税を支払っていた場合に、過去に被相続人が支払った相続税の一部を今回の相続税から控除できるという内容の特例です。

しかし、この特例を正しく理解していないと相続税を払い過ぎて損をしてしまう可能性があるため、過去に連続で相続した方は最後までよく読んでいただき、ぜひ控除を利用しましょう。

なお、「相似相続」ではなく、「相次相続(そうじそうぞく)」と書き、相次いで相続が発生した場合に使える相続税の計算上の特例です。

1.「相次相続控除」(そうじそうぞくこうじょ)の概要

相次相続控除とは

上記の図の通りですが、第1次相続で今回の被相続人が支払った相続税のうちの一部を、今回の相続(第2次相続)における相続税の計算上控除できるという制度内容となります。

なお、控除できる相続税の税額の計算式は以下の通りとなっています。

【相次相続控除の計算式】
相次相続控除の計算式A=今回の被相続人が前回の相続で支払った相続税
B=今回の被相続人が前回の相続でもらった財産価額
B=今回の相続における財産価額の合計額
D=今回の相続で相次相続控除をうける相続人が取得した財産価額
E=前回の相続から今回の相続までの経過年数(1年未満は切り捨て)

上記の計算式を見ると、かなり複雑なように見えますが、分かりやすく言い換えると、

今回の相続の被相続人が
前回の相続のときに支払った相続税のうち“前回の相続から今回の相続
までの経過年数“×10%部分 を減額した金額

ということになります。

例えば、今回の相続の被相続人が前回の相続で100万円の相続税を支払ってすぐに亡くなっていた場合には、経過年数による減額はないので、この100万円がそのまま今回の相続税の計算上控除されるということになります。

まだ少し分かりにくいと思いますので、「2.相次相続控除の計算例」で具体的に計算例を見ていきましょう。

相次相続控除が適用できる者の要件

以下の3つの要件があります。すべての要件に当てはまる必要があります。

1)相続人であること
今回の相続の被相続人の相続人であることが条件です。そのため、遺言書で財産をもらった受遺者や、相続放棄をして生命保険のみを取得した者などは含まれません。

2)今回の相続発生前10年以内に発生した相続により被相続人が財産を取得
連続して10年以内で相続が発生している場合にのみ適用が可能です。

3)前回の相続で被相続人に相続税が課税されていること
前回の相続で被相続人が相続税を支払っていることが要件となります。例えば、配偶者の税額軽減等で前回の相続では相続税の納税が生じていなかったようなケースでは、この要件には該当しないこととなります。

2.相次相続控除の計算例

【計算前提】
・前回相続H25.2.3、今回相続H28.1.8
・今回の被相続人が前回の相続で支払った相続税 = 1,000万円(A)
・今回の被相続人が前回の相続でもらった財産価額 = 1億円(B)
・今回の相続における財産価額の合計額 = 8,000万円(C)
・今回の相続で相次相続控除をうける相続人が取得した財産価額 = 5,000万円(D)

前提条件により、A、B、C、Dの項目についてはそのまま数値をあてはめるだけです。
なお、Eの経過年数については、平成25年2月から平成28年1月までですと、2年11か月5日となり、1年未満は切り捨てとなりますので、2年、つまりE=2ということになります。

ここで経過年数を計算するために、便利なWEBページがありますので、こちらのサイトを利用すると良いでしょう。

では、実際に計算してみますと、

相次相続控除を利用した計算例

となり、計算結果は、444万円となります。この444万円を今回の相続の相続税の計算上控除できるということにあります。

なお、実際に申告する際には、相続税申告書の第7表にこの情報を記載していきます。書式の項目に従って記載すれば基本的に迷うところはないでしょう。上記の計算事例に従った記載例を以下でご確認いただけます。

▼ 相続税申告書第7表(相次相続控除額の計算書)の記載例
相続税申告書第7表(相次相続控除額の計算書)の記載例

3.相次相続控除に関するQ&A

相次相続控除の特例に関して、よくあるQ&Aとなります。

3-1.相続人間で特例の適用額を自由に選べる?

今回の相続で相続人が複数いる場合、どの相続人がいくらの相次相続控除の特例を使うかは、たとえ相続人間で了解があったとしても選択することができません。前述の数式の通り、各相続人が取得した財産額によって自動的に按分されてしまいますので、その計算結果に従うしかありません。

3-2.更正の請求や修正申告で適用が可能か?

相次相続控除には当初申告要件がありませんので、修正申告や更正の請求でも、適用することが可能です。
ちなみに、この特例を適用することで、相続人全員の相続税の金額が算出されない場合には、そもそも今回の相続税の申告手続き自体をしなくても良いことになっています。

3-3.相次相続控除を適用する際の添付資料

添付書類として、前回の相続における相続税申告書の以下の表のコピーを添付する必要があります。なお、11表の2、14票についてはそもそも存在しない場合がありますのでその場合は不要です。

前回の相続税申告書のうち「第1表」「第11表」「第11表の2」「第14表」「第15表」

3-4.未分割の状態で相次相続控除が適用可能か?

遺産分割が完了していなくても相次相続控除は適用が可能です。その場合、各相続人は法定相続分で仮に相続財産を取得したと仮定して相続税の計算を行いますので、この相次相続控除の計算においても同様に計算を行います。

4.相次相続控除が使えそうな場合は迷わず税理士に相談する

ここまで相次相続控除の特例についての解説を行ってきました。相続税額が軽減されるので適用できる場合は忘れずに申請したい控除特例ですが、実際に相次相続控除を使って相続税額を計算すると、通常の相続税申告以上に計算が複雑になります。

もし今回の相続の10年以内に被相続人が相続税を支払っていた可能性があるという場合には、すぐに相続税に強い税理士に相談することをおススメします。

相続税専門の税理士法人チェスターでは、相続税申告のご相談を頂いた場合には必ず10年以内の相続の有無をお伺いし、適用できる場合にはもれなく相次相続控除を適用した申告を行っています。
もし、過去の相続税申告書が手許にないといった場合でも、税務署に閲覧申請を行うことで、相次相続控除の適用は可能です。

全国13拠点で無料相談会も行っておりますので、相次相続に該当する可能性がある方はお気軽にご相談下さい。

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【相続税の外国税額控除】適用要件や計算方法をわかりやすく解説 https://chester-souzoku.com/declaration_new/foreign-deduction-335 Mon, 25 Mar 2024 01:00:46 +0000 http://chester-souzoku.com/?p=335 日本以外の海外に相続財産がある場合には、日本の相続税以外に海外でも相続税が課せられる場合があります。その場合、同じ相続財産に対して二重に相続税を払うことになりかねないので、そういったことを回避するために相続税の外国税額控除という控除特例が設けられています。

相続税の外国税額控除とは、海外で支払った相続税の一部を、日本で支払うことになる相続税から控除できるという制度ですが、その適用要件や計算方法等について詳しく解説していきます。

1.海外で払った相続税は日本の相続税から控除できる

相続税の外国税額控除は、海外で支払った相続税を上限として、日本で支払う相続税のうち海外財産が占める割合分の相続税を控除できるという内容になっています。
控除できる額については下記(1)、(2)のいずれか「少ない方」の金額となり、それほど複雑なものではありません。

【相続税の外国税額控除】
※(1)、(2)のいずれか「少ない方」の金額

(1)外国で支払った「相続税に相当する税」

(2)相続税の外国税額控除額

2.適用を受けられる者は「無制限納税義務者」のみ

相続税の外国税控除の適用を受けられる方は決まっており、下記(1)、(2)の「いずれにも」該当する方となります。

【外国税額控除の適用を受けられる者】
※(1)、(2)の「いずれも」該当する方
(1)相続(又は遺贈)によって、日本国外の財産を相続(取得)した者
(2)日本国外の財産について、その外国において“相続税に相当する税”が課税された者

相続人の住所地や国籍などにより、無制限納税義務者と制限納税義務者(外国籍の方等)に分けられます。

日本国外にある相続財産を取得して、その外国財産に対して日本で相続税が課税されるのは、無制限納税義務者のみで、制限納税義務者の場合には外国にある財産には日本で相続税が課税されません。

つまり、制限納税義務者の場合は、そもそも二重払いの状態が生じていないこととなりますので、相続税の外国税額控除の適用は受けられないこととなります。

3.相続税における外国税額控除の計算事例

【前提条件】
国内財産10億円、国外財産5億円
相続人A(兄)は、上記のうち国内財産5億円、国外財産5億円を相続し日本で1.5億円、海外で1億円の相続税を支払った。相続人B(弟)は、上記のうち国内財産5億円を相続し日本で1億円の相続税を支払った。

上記のようなケースの場合、まず相続人Bはそもそも海外で相続税を支払っていないので外国税額控除の適用はありません。相続人Aについて、相続税の外国税額控除の計算をしてみましょう。

(1)外国で支払った相続税 → 1億円
(2)1.5億円 ×(5億円 ÷ 10億円)= 7,500万円

よって、相続人Aの外国税額控除の金額は7,500万円となり、日本の相続税1.5億円からこの7,500万円が控除できることになります。

・外国で課税された相続税は外国で相続税を納付すべき日のTTSで換算する必要がある

外国で支払った相続税を日本の相続税から控除するためには、外国税額を日本円に換算する必要があります。この換算レートについては、その外国税額を納付すべき日(納付期限)又は実際の送金日におけるTTS(電信売相場)で換算することになっています。

4.諸外国における“相続税に相当する税”

なお、日本の相続税に相当する税が諸外国ではそもそも存在しないケースも多々あります。以下が一例となります。ただ、相続税に相当する税がある国で例えばアメリカなどでも遺産が最低4~5億円ほどないとそもそも相続税が生じないといった制度になっています。

相続税に相当する税がある国とない国

5.相続税の外国税額控除を適用する場合の手順と添付書類

相続税の外国税額控除を適用する場合には、相続税申告書第8表の記載が必要となります。詳しい様式は下記リンク(国税庁HP)をご覧ください。

参考:相続税申告書様式第8表|国税庁

また、添付書類として、海外で課せられた税額を証する書類(海外の相続税申告書)も必要となります。

6.海外の財産が関係する相続税申告は国際相続に強い税理士に依頼した方が良い

相続税における外国税額控除について解説してきました。外国税額控除の控除額の計算や、申告書への記入自体はそれほど複雑なものではありません。

しかし、相続財産の中に海外資産が含まれている、相続人や被相続人が海外在住もしくは外国籍である、といったいわゆる国際相続の相続税申告は、国際相続の経験が豊富な税理士に依頼した方が安心です。

海外の相続手続きには複雑で時間がかかるものも多く、日本の相続税制はもちろんのこと、海外の税法や手続きまで精通した専門家でなければスムーズに行うことは出来ないからです。

税理士法人チェスターは、日本国内には数少ない、国際相続専門のチームを擁する税理士法人です。
事例の少ない国際相続の経験を豊富に持ち英語対応も可能なスタッフが対応致します。

詳しくは下記からご確認頂けますので、国際相続にお困りの方は是非ご検討ください。

国際相続税申告プラン【英語対応】

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国際相続とは?基礎(準拠法)・相続税・手続き・注意点まで解説
アメリカの相続税の基本をきちんと解説
被相続人が外国人の場合の相続手続
プロベート相続手続きは回避すべき~その理由とプロベート対策~

【参考URL】
相続税法第二十条の二(在外財産に対する相続税額の控除)

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「包括遺贈」と「特定遺贈」の違いをわかりやすく解説します https://chester-souzoku.com/measures/comprehensive-bequest-519 Mon, 25 Mar 2024 01:00:27 +0000 http://chester-souzoku.com/?p=519 遺言書によって財産を渡す方法には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があります。

「包括遺贈」とは、例えば「全財産の○○%を○○にあげる」と言うように、渡す財産を具体的に指定せずに配分割合を指定する方法です。一方、「特定遺贈」とは、例えば「この○○という財産を○○にあげる」と言うように、渡す財産を具体的に指定する方法です。この2種類の方法は、遺言書を書く人が自由に決めることができます。

一見そんなに違いがないように見えますが、どちらの方法を採用するかによって、財産を受け取る側の相続税の金額が変わったり、また負うべきリスクが変わったりしてきますので注意が必要です。

1.「包括遺贈」の定義と特徴

包括遺贈とは、全財産を割合を指定することで渡す方法です。例えば、「私の全財産の3分の1をAさんに渡す」といった指定の方法です。なお、「私の財産のうち、土地Aの2分の1をAさんに渡す」といった指定の方法は包括遺贈ではなく、後に説明する「特定遺贈」に該当します。

民法に以下のような条文があります。

(包括受遺者の権利義務)
民法990条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
(引用:民法 九百九十条(包括受遺者の権利義務)

上記の民法の条文の通り、包括受遺者(包括遺贈で財産を受け取った者)は、相続人と同一の権利及び義務を有することになります。

実際問題として、財産を割合で指定されたとしても、いざ具体的に配分をしようとすれば、どの財産を取得するかという部分が決まっていませんので、他の受遺者や相続人と相談する必要がでてきます。ですので、包括遺贈により財産を取得する人は、他の相続人と一緒に遺産分割協議を行うこととなります。

2.「特定遺贈」の定義と特徴

特定遺贈とは、財産を特定して渡す方法のことを言います。例えば、「私の財産のうち甲土地をAさんに渡す」といった指定の方法です。
受け取る財産が明確になっているため、包括遺贈と異なり、他の相続人や受遺者と遺産分割協議を行う必要がありません。

3.包括遺贈と特定遺贈の主なメリット・デメリット

包括遺贈と特定遺贈、それぞれのメリットとデメリット

一方のメリットが一方のデメリットという関係にありますが、以下詳しく解説していきます。

・財産内容の変更に対応ができるかどうか
包括遺贈のように「全財産の何分の何」と言うように割合で指定を行っている場合、遺言書を書いた時点と実際相続が発生した時点で遺産内容に変更があったとしても特に問題が生じることはありません。

ただ、特定遺贈の場合は、遺言書を記載した時点と相続が発生した時点で財産の状況が異なった場合に問題が生じてしまう可能性があります。

例えば、遺言書を書いた時点では土地A5,000万(市場価格)を相続人Aに、土地B5,000万円(市場価格)を相続人Bにというように、公平に財産を分けるつもりであっても、いざ相続が発生したときは、土地Aが値上がりしていて6,000万円に、土地Bが値下がりしていて4,000万円になっていたという事態も起こりかねません。

・債務(借金)を引き継ぐかどうか
「包括遺贈」は債務(借金)を引き継ぎ、「特定遺贈」は債務(借金)は引き継ぎません。
ですので、「特定遺贈」で財産をもらう者にとっては、安心して財産を譲り受けることができます。但し、「包括遺贈」の場合には、同時に借金も引き継いでしまう恐れもあるため、財産を譲り受ける際には隠れた借金がないかどうかという点に気を付ける必要がでてきます。

・相続放棄に期限があるかどうか
「包括遺贈」の場合は、他の相続人と同様、放棄をする場合には相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。これは、上述の債務(借金)を引き継ぐ可能性があることと関係しています。
なお、「特定遺贈」の場合は放棄に特に期限はありません。

3-1.包括遺贈を選択した方が良い場合

実際の遺言書で、特に意識をせずに書くとほとんどの場合が特定遺贈になると思います。多くの場合、遺言書を書く理由は、「遺産の分け方で揉めて、相続人が争って欲しくないから」だと思います。ここで、包括遺贈ですと割合しか決められていないので、結局はどの財産を誰が取得するという部分を決めるために遺産分割協議をする必要があるからです。

ただ、次のような場合は、包括遺贈を選択した方がよいでしょう。

・自分の具体的な財産を正確に把握していない場合
・財産の内容が頻繁に変動し相続時点の財産内容の想定が難しい場合
・あえて割合のみを指定し、具体的な分割は財産をもらう側で相談して決めてほしい場合

こういった場合は、特定遺贈で具体的に財産を指定することができませんので、包括遺贈という方法で、ざっくりと割合のみを決めておく遺言書を作ると良いでしょう。

3-2.特定遺贈を選択した方が良い場合

特定遺贈で遺言書を作った方が良い場合は、「3-1.包括遺贈を選択した方が良い場合」以外となりますが、具体的には以下のような場合が該当します。

・財産を渡す者に借金を負わせたくない場合
・誰にどの財産を渡すということを具体的に指定したい場合
・相続発生後に財産をもらう人間同士で遺産分割の話をする必要がない状態にしたい場合

包括遺贈をいう方法では、このようなことを実現することができないため、特定遺贈という方法を使う必要があるためです。

4.相続手続きを行う上での留意点

「包括遺贈」もしくは「特定遺贈」によって財産をもらった際、具体的に相続手続きをしていく中で留意すべき事項をご紹介したいと思います。

4-1.特定受遺者の場合は債務・葬式費用が控除できない

特定受遺者(特定遺贈で財産ももらった者)は、相続税の計算を行う際に、仮に負担した債務や葬式費用があった場合についてもそれを相続税の計算上控除することができません。

本来、特定受遺者は債務や葬式費用を負担する義務がないのでこのような取り決めとなっています。
なお、もともと相続人であるものが特定遺贈で財産を譲りうけた場合にはこの規定は適用されず、他の相続人と同様問題なく債務や葬式費用の控除が可能となっています。

ただ例外的に、負担付遺贈と言って、債務を負担することを条件に特定の遺産を渡すような内容の特定遺贈の場合にはその債務については相続税の計算上控除できることになっています。

4-2.特定遺贈の場合には不動産取得税がかかる

「特定遺贈」で不動産をもらった場合には、不動産取得税がかかります。通常、相続で不動産をもらう場合には不動産取得税はかからないことになっていますが、この「特定遺贈」の場合のみ例外となっています。

なお、債務・葬式費用と同様、もともと相続人であるものが特定遺贈で不動産を譲りうけたとしてもこの不動産取得税はかからないことになっています。

4-3.包括遺贈と特定遺贈の場合の遺言書の記載例

「包括遺贈」及び「特定遺贈」それぞれの場合の遺言書の記載例をご紹介します。

注意すべき点は、「包括遺贈」の場合は全財産のうちの割合を明確に記載する「特定遺贈」の場合はどの財産であるかを明確に記載するといったことです。後々争いの火種となる可能性があるため、あいまいな表現は避けることを心がけましょう。

【包括遺贈の記載例】
遺言者は、長男○○(昭和○○年○月○日生)に遺産の○分の○を遺贈する。
【特定遺贈の記載例】
遺言者は、長男○○(昭和○○年○月○日生)に以下の土地Aを遺贈する。

5.迷ったら専門家に相談を

包括遺贈及び特定遺贈について、その定義や特徴、メリット・デメリットを述べてきました。
これから遺言書を書こうとしている方は、どちらの方法が自分の希望に沿った遺言内容が実現できるかということをよく考えてみましょう。

また、遺言書によって財産をもらうことが分かっている方の場合は、自分が特定遺贈もしくは包括遺贈どちらの方法で遺贈されたのかを知り、今後の相続手続きの参考にして下さい。

なお、実務的には包括遺贈か特定遺贈かの判断に迷う場合も多々あります。
判断を誤って、その前提で相続手続きを進めていくと後々やっかいなことになる可能性も。

判断に迷ったら、素人判断せず、専門家に相談してみましょう。

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遺贈には相続税がかかる!遺贈を行う際に知っておきたいこと

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養子縁組による相続のデメリット・メリットや注意点について解説 https://chester-souzoku.com/declaration_new/adoption-inheritance-tax-930 Mon, 18 Mar 2024 00:40:12 +0000 http://chester-souzoku.com/?p=930 養子縁組をすると相続税が節税になると聞いたことがある人も多いと思います。実際に養子縁組を行うことで相続税は節税できるのですがいくつかの注意点もあります。

単に相続税が節税になるからという理由だけで養子縁組を行うと後で税務署から指摘を受けてしまうリスクもありますので注意が必要です。

この記事では養子縁組で相続税を節税する方法と注意点について解説しますので参考にしてください。

参考記事:養子縁組を行う前に知っておくべき、養子縁組による相続のメリット・デメリット大公開!

1.養子縁組が相続税の節税対策になる理由と具体的な節税額

養子縁組が相続税の節税対策になる理由は、相続税の計算が「法定相続人の人数が多いほど減額される仕組み」になっているためです。そして相続税の計算上、養子は実子と同じ相続人としてカウントされるのです。

このため養子縁組をすると相続人の人数が増えて控除額が増えて、結果として相続税が節税になるというシンプルな理由になります。

例えば相続税から控除できる基礎控除は相続人の人数が多いほど控除額が増える計算式になっています。

【相続税の基礎控除の算式】
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

その他にも生命保険の非課税枠等のように相続人の人数が増えるほど非課税枠が大きくなるような規定もあります。

【生命保険の非課税枠の算式(相続人が子3人の場合)】
500万円 × 法定相続人の人数

生命保険の相続税非課税枠

・養子縁組による具体的な節税効果
具体例として子供が1人だけのケースで養子縁組を行った場合の相続税の絶税額をまとめてみました。遺産総額が1億円場合で450万円の節税効果があり、2億5千万円ほどの遺産があれば節税効果が約2,000万円と大きくなっています。

養子による相続税の節税額一覧表

この表を確認していただくと分かりますように、遺産総額が増加にするにつれて養子縁組による相続税の節税効果が高まっていきますね。

2.養子縁組を活用した相続税対策の注意点

前章では具体的な相続税の節税効果を解説しました。節税額の大きさを見て養子縁組を検討したいと思われた人も多いと思います。しかし養子縁組による相続税対策はデメリットや注意点もありますので注意しましょう。

2-1.養子縁組で相続税が2割加算になることあるので要注意

孫を養子にすると相続税が2割加算されてしまいます。これは孫であれば子を飛ばして財産を相続させることが可能になってしまうため相続税を2割加算するという決まりになっています。

ただし孫養子は相続税が2割加算されてしまうので不利になるかというと一概にそうでもありません。前章で紹介したように相続人が1人増えることの節税メリットは非常に大きいため孫養子が相続して2割加算されても有利になるケースも多くあります。

このあたりは税理士とも相談して有利不利のシミュレーションをしてもらうとよいでしょう。

2-2.相続税法上の養子縁組の人数には制限がある

この養子縁組による相続税対策の紹介をすると、こんな質問がよく出てきます。

「では養子をたくさん増やしたら相続税をゼロ円にできるのですか?」

この回答は「いいえ、できません。相続税の計算上、考慮できる養子の人数には制限があります」という答えになります。

・故人に実子がいる場合は相続税の計算に考慮できる養子は1人まで
・故人に実子がいない場合は相続税の計算に考慮できる養子は2人まで

被相続人に実子がいる場合といない場合の相続税計算における養子の扱いの違い

これは養子縁組による相続税対策を無制限に許可してしまうと相続税を不当に減少させることが可能になってしまうため制限が設けられているのです。

ただし民法上、養子縁組の数には制限がありませんので相続税の節税にはなりませんが養子を増やすこと自体は可能です。

2-3.税務署に養子縁組を指摘されないために注意すべきこと

養子縁組による相続税対策は比較的、税務署からは指摘を受けにくい安全な対策ですが次のような場合には税務署からあとで養子縁組による相続税の節税を否認される可能性があるため注意しましょう。

例えば父が病院で危篤状態になり慌てて相続税の節税のために息子のお嫁さんと養子縁組をしました。そして実際の相続では息子のお嫁さんは一切財産を相続せずに相続税申告をしました。この結果、養子が増えたため相続税の支払い額が大きく軽減されました。

しかしそのあとで税務署がやってきて、こんな質問をしてきました。

税務署「故人の息子さんの妻と相続開始直前に養子縁組をされていますが、この理由を教えてください」

相続人「父が介護等で色々とお世話になった私の妻にも財産を渡したいから、これまでの御礼として養子縁組をしました。」

税務署「しかし今回の相続で養子の方は何も財産を相続されていませんね。これは相続税を節税するために行った養子縁組だと判断できます。」

相続人「・・・・・」

というやりとりが想定されます。税務署は養子縁組によって相続税が減額されることを知っていますので養子縁組の理由を聞いてきます。特に相続開始直前に養子縁組を行っているようなケースでは注意が必要です。

上記の指摘の対応策としてはやはり「養子にも財産を相続してもらう」ということが大切です。実際に財産を相続していれば税務署としても指摘をすることが難しいためです。

コラム
Q.養子縁組の手続きはどのように行うのでしょうか?A.養子縁組が成立するためには、養親もしくは養子の本籍地の市区町村の戸籍課に養子縁組届を提出することが必要です。手続きは難しくなく、養親と養子の印鑑と戸籍があれば手続きが可能です。ただし養子が未成年者の場合には家庭裁判所が発行する養子縁組許可審判書が必要です。

3.養子縁組を相続対策として行う前に

この記事では養子縁組による相続税の節税効果と注意点を解説してきましたので理解が深まったと思います。いくつかの注意点はあるものの大きな節税効果もある対策です。将来の相続税を少しでも節税したいという人は検討してみるとよいでしょう。

但し、相続対策のために養子縁組を実施される方については、実行前に相続専門の税理士に相談されることをお勧めします。

相続対策のためにやったつもりなのに、実は節税対策には一切なってなかったなんて事例もよく耳にします。

【関連記事】
養子縁組を行う前に知っておくべき、養子縁組による相続のメリット・デメリット大公開!

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みなし相続財産とは?非課税枠や生命保険・退職金について解説 https://chester-souzoku.com/declaration_new/regarded-as-property-415 Mon, 18 Mar 2024 00:00:17 +0000 http://chester-souzoku.com/?p=415 相続税財産の中に「みなし相続財産」という言葉がよく出てきますが、聞きなれない言葉ですので内容を詳しく知りたいという方も多いと思います。

このみなし相続財産に該当するものを理解していないと相続において相続税の納付漏れが生じて税務署からペナルティを受けるといった思わぬ損をすることもあります。またみなし相続財産のことを知っておくことで相続税の節税をすることも可能です。

この記事ではみなし相続財産についてその種類や税金のことを税理士が分かりやすく解説しますので、相続税を計算する際に参考にしてください。

1.みなし相続財産とは?2つのみなし相続財産の代表例

みなし相続財産は複数の種類がありますが、大半が生命保険と退職金のケースが多いためこの章ではみなし相続財産の基礎知識と、その代表例である「生命保険」と「退職金」について解説していきます。

1-1.みなし相続財産とは本来は相続財産ではないけれど相続税がかかる財産のこと

みなし相続財産とは、本来の相続財産ではないため遺産分割の対象とはならないが相続がきっかけで取得する財産であるため、相続財産とみなして相続税がかかる財産のことをいいます。

一番イメージが湧きやすい例としては「生命保険金」があるでしょう。生命保険は故人が生前に保険会社と契約を結び受取人を指定するため相続発生時は遺産分割協議の対象とはならずに受取人固有の財産として扱われます。

しかしながら保険金というお金(財産)を相続していることには変わりないため、相続財産と「みなして」相続税がかかるのです。それではまずはみなし相続財産の代表例である生命保険と退職金を確認することでみなし相続財産についての理解を深め、相続税の計算時に間違えないようにしましょう。

1-2.生命保険

通常、遺言がなければ故人の財産は相続人同士での遺産分割協議の対象となります。しかし生命保険は、故人が生前に自分の意思で生命保険に加入し受取人を指定している契約を締結しているため、受取人固有の財産となります。

また生命保険金については相続税の課税対象となりますが、非課税枠が設けられているため相続税の節税効果もあります。

(非課税枠算式)500万円×法定相続人の人数

例えば父が相続人である長男と次男にそれぞれ1,000万円ずつ合計2,000万円を生命保険金の受取人に指定していた場合、500万円×2名=1,000万円が相続税の非課税対象となるため長男と次男がそれぞれ受け取った1,000万円の内500万円分が相続税の対象から外れます。

このように生命保険金は他の相続財産と同様に相続財産とみなして相続税の対象とはなりますが、一定の相続税の非課税枠があり節税対策となります。

1-3.死亡退職金

死亡退職金は故人が在職中に亡くなった場合に会社から支給されるものですが、就業規則や退職金規程によりあらかじめ配偶者や子等、支給対象者や支給順位が定められています。つまり相続人が遺産分割協議によって誰が退職金を受け取るのかを決めるわけではなく、勤務先の規程によって受取人があらかじめ決められているのです。

このため本来の遺産分割対象の相続財産ではありませんが、相続を原因に発生する財産で相続税の課税対象となるためみなし相続財産に含まれるのです。

また死亡退職金も生命保険金と同じく相続税の非課税枠が設けられています。

(非課税枠算式)500万円×法定相続人の人数

このように死亡退職金は他の相続財産と同様に相続財産とみなして相続税の対象とはなりますが、一定の相続税の非課税枠があり節税対策となります。

1-4.その他のみなし相続財産

みなし相続財産の代表例は生命保険と死亡退職金ですが、その他にもみなし相続財産となるものがありますのでこの項で紹介します。

(1)生命保険契約に関する権利
前章では生命保険金についてみなし相続財産に該当すると説明しましたが、生命保険契約に関する権利もみなし相続財産となります。

生命保険契約に関する権利とは、保険料を支払っていたのはお父さんで被保険者が子供という保険契約をいいます。被保険者が子であるため、保険料を支払っていたお父さんが亡くなっても死亡保険金は払われません。

しかし相続人である子の立場からすると父が支払っていた生命保険契約をそのまま引き継ぎ、子に万が一のことがあれば子の家族に死亡保険金が払い出されたり、保険契約を解約して解約金を受け取ったりすることができるため財産的な価値があることになります。

そこで相続税を計算する上ではこのような生命保険契約の権利を相続した相続人にも、生命保険契約そのものを財産をみなして相続税を課税することになっているのです。相続税の計算時に漏れやすい財産ですので注意が必要です。

(2)債務免除
例えば遺言で「長男Aに対する貸付金1,000万円は、私が死んだら免除する」といった記載があった場合、本来長男Aは1,000万円を返す義務があったが遺言の債務免除の文言により1,000万円を返さなくてもよくなったため、その分得した(相続した)ことになります。

このため故人が本来貸付金として有していた債権を遺言により債務免除したとしても、その債権は相続財産とみなして相続税の対象となるのです。

仮に債務免除に相続税がかからないのであれば、父が生前に全財産を子に貸し付けて遺言で免除してあげるという相続税の租税回避スキームが可能になってしまうことをイメージすると分かりやすいと思います。

2.一緒に押さえておきたい「みなし贈与」

みなし相続財産と同様の考え方で、みなし贈与という言葉もありますので併せて理解しておきましょう。みなし贈与もみなし相続財産と同様に、本来は贈与とはいえないけれども譲受人がなんらかの得をしている場合には贈与税がかかるというものです。

(1)低額譲受
本来の時価よりも低額で財産を譲り受けた場合に、時価と譲受価格の差額分を譲り受け人が得していることになりますのでその差額分がみなし贈与の対象となります。

例えば本来3,000万円の価値がある土地を1,000万円で譲り受けているような場合、譲受人は2,000万円の得をしていますので、その2,000万円分が贈与とみなされて贈与税の対象となります。

(2)無償名義変更
不動産や有価証券の名義を無償で変更した場合、名義が自分のものになった人は何の対価も支払わずに財産が自分のものになっていますので、名義変更された財産の時価が贈与とみなされて贈与税の対象となります。

例えば3,000万円の投資信託を父から子名義に無償で名義変更すると子名義の財産となってしまい、容易に相続税の課税逃れができてしまうため無償名義変更がみなし贈与の対象となっています。

(3)親族間の金銭貸借
親族間でお金の貸し借りをしたけれども、長年返済や金利を支払っておらず実質的には贈与したのと変わらないような実態がある場合、貸したお金や金利部分が贈与とみなされて贈与税の対象となります。

特に親子間の金銭の貸し借りは馴れ合いになることが多く、形式上はお金を貸しているけれども実態は子にあげたのと変わらないケースもよくあります。そうした場合、通常であれば年間110万円を超える贈与を行った場合には贈与税がかかることとの公平性がなくなります。

思わぬ贈与税を負担しないためにも親族間でお金を貸し借りする際には、金銭消費貸借契約書を作成し計画的な返済及び適正な利息を設定することが大切です。

☆みなし贈与に関する関連記事はこちらもご覧ください
思わぬ課税に要注意!みなし贈与の注意点

3.みなし相続財産が多数ある相続税申告は税理士に任せると安心

この記事では「みなし相続財産」と「みなし贈与」の解説を行いましたので、この聞きなれない言葉に対しての理解を深めることができたと思います。「みなし」という言葉にあるように、本来の相続や贈与とは異なるが税金の対象となるという意味においては思わぬ税金がかかる可能性もありますので注意が必要となります。

特に相続税申告において、このみなし相続財産が多数ありそうな場合には、ご自身で申告するのではなく税理士に相談することをおすすめします。ここまで何度か述べたように、みなし相続財産は一般的に高額な上に見落としやすく、計上漏れにより多額の加算税が課せられてしまう可能性があるためです。

相続税専門の税理士法人チェスターでは、独自のチェックリストを用いて最初の概算の段階でみなし相続財産の有無についてもれなくヒアリングし、みなし相続財産の計上漏れが発生しないようにしております。

既にご相続が発生しているお客様を対象とした無料相談会ではみなし相続財産も考慮した相続税額の試算を行っておりますので、お気軽にお申込みください。

【参考記事】
生命保険で死亡保険金をもらったときの相続税完全ガイド
「生命保険契約に関する権利」の相続税評価と相続するときの注意点
遺族が受け取る死亡退職金に相続税がかかる理由と計算方法

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遺産相続における「時効・期限切れ」について分かりやすく解説 https://chester-souzoku.com/inheritance/inheritance-aging-527 Mon, 18 Mar 2024 00:00:01 +0000 http://chester-souzoku.com/?p=527 遺産相続には、実は7つの時効があります。これらの時効や期限を知らなかった場合、本来もらえるはずの財産がもらえなかったり、本来払う必要のない債務を払うことになったりと、重大な不利益を被る可能性があります。
こうしたリスクに備えるために、ぜひ概要だけでも知っておいてほしいのです。これは、いろいろな現場を見てきた専門家としてのアドバイスです。

例えば、遺留分侵害額請求権という権利があります。これは、遺言などで特定の人が多く遺産を相続した場合に、本来もらえる最低限の遺留分を請求できる権利です。この時効は1年とされているので、1年以内に請求しなければ時効が成立してしまい本来もらえるはずの遺留分がもらえないことになってしまいます。

このように、時効の期日を把握して遺産相続で思わぬ落とし穴にハマらないようにしなければなりません。
ここでは、遺産相続に関する7つの時効について全て解説していきます。
ぜひ参考にしてください。

1.具体的な7つの「時効」とは

遺産分割に関する「時効」は、下記の7つの手続きに関するものです。これらを意識するだけでも、遺産相続の手続きを進める上で必要なスケジュールを把握することができます。遺産相続という重要な意思決定をする場合において、時間がなくて焦ってしまうということがないようにゆとりあるスケジュールで手続きを進めていきましょう。

  • 遺産分割をする権利(遺産分割請求権)の行使
  • 遺留分侵害額請求権の行使
  • 相続回復請求権の行使
  • 相続税の申告
  • 相続放棄の手続き
  • 不動産の名義変更の手続き
  • 生前贈与の贈与税の申告

2.各「時効」についての解説

ここからは各手続きの「時効」について解説していきます。
しかし相続回復請求権(「相続財産を返せ」という権利)、相続税、借金、相続登記、生前贈与といった遺産相続に関わる時効については、あまり関係のない方もいると思いますのでご自身の関係のある部分のみをご覧頂ければと思います。

2-1.遺産分割をする権利(遺産分割請求権)の「時効」について(民法第907条)

被相続人(亡くなった方)が、遺言書を書いていなかった場合には、相続人間で遺産をどのように分けるのかを話し合いで決めなければいけません。この話し合いを、「遺産分割協議」と言います。そして、1人の相続人が他の相続人に対して「遺産分割をしましょう」と言う権利のことを、「遺産分割請求権」と言います。

この「遺産分割請求権」には、時効はありません。つまり、生きている限り永遠に請求することができます。しかも、仮に遺産分割をしていない状態で亡くなってしまったとしても、この「遺産分割請求権」は相続され次の世代の者が権利行使することができますので文字通り、永遠に存続します。

2-2.遺留分侵害額請求権の「時効」について(民法第1048条)

遺留分侵害額請求権の時効は、1年です。相続の開始(被相続人の死亡)と遺留分の侵害を知った時から1年間です。
なお、相続の開始を知っていない状態ですと、この時効は相続の開始から10年となります。

なお、「遺留分侵害額請求権」とは、遺言書によって財産を多くもらう人に対して、財産をあまりもらえない人が追加で財産をもらえるように請求できる権利のことを言います。

例えば、相続人が長男及び長女の子供2人の状態で、被相続人である父は生前に長男を可愛がりすべての財産を長男に渡す旨の遺言書を書いていたとします。この遺言書自体の内容は無効ではありませんが、このようにあまりにも遺産の取得に偏りができてしまうと残された相続人の生活もありますので、法律で、「最低限の遺産をもらえる権利」が長女に保証されています。この「最低限の遺産をもらえる権利」のことを「遺留分」と言い、それを請求する権利のことを「遺留分侵害額請求権」と言います(民法第1046条)。

遺留分侵害額請求をする立場側から考えると、相続の開始と遺留分の侵害を知ってから1年以内に遺留分侵害額請求をしなければ、今後一生その請求はできなくなってしまいます。本来自分がもらえるはずの相続財産がもらえなくなってしまいますので、注意が必要です。

また、遺留分侵害額請求をされる側の立場ですと、遺留分を侵害して自分が多く財産を受け取っている場合、この時効である1年(10年)を経過しないと、他の相続人から遺留分侵害額の請求を受ける可能性があります。例えば、遺産を相続して使ってしまっていれば、自分の財産を削って遺留分侵害額を他の相続人に渡す必要さえでてきますので、注意が必要です。

遺留分侵害額請求について更に詳しく知りたい方は「遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)とは?備える方法・計算方法・時効・手続きの流れを紹介」をお読みください。

2-3.相続回復請求権の「時効」について(民法第884条)

実際には相続人でないものが、あたかも相続人であるかのように財産を相続してしまうような場合がごく稀にあります。例えば外観上(書類上)は相続人でも、実は相続廃除や相続欠格などで相続人としての地位を失っていたような場合です。
その場合に、本当の相続人がこの偽の相続人に対して「相続財産を返せ」という権利のことを「相続回復請求権」と言います。

この相続回復請求権の「時効」は、5年です。
本当の相続人が自分の権利を侵害されているということを知った時から5年です。
なお、この事実を知らない場合にはこの時効は相続の開始から20年となります。

2-4.相続税に関する「時効」について(国税通則法第70条)

相続税に関する「時効」は原則5年です。
相続税の申告期限(死亡日から10か月後(相続税法第27条))から5年ですので、相続開始(死亡日)からですと5年10か月ということになります。ただ、悪意がある場合には、時効は7年となります。申告が必要であることを知っていてしなかった場合や意図的に財産を隠していた場合等が該当します。

なお、ここでいう「時効」は、税務署が相続税を課税することができる期間です。相続税の申告期限は死亡日から10か月後であり、この期限までに申告・納税をしなければなりません。

2-5.借金の相続に伴う相続放棄の手続きの「時効」について(民法第915条)

相続するものが借金しかない場合等には、相続を「放棄」するという方法があります。
これを「相続放棄」と言いますが、この「相続放棄」の時効(つまり期限)は、相続の開始(死亡)を知ってから3か月となります。

但し、「やむを得ない事情がある場合」には、この3か月を過ぎても、相続放棄が認められる可能性もありますので、3か月を過ぎたからといって機械的にあきらめるのはやめましょう。詳しくは、「相続放棄するのはどんなとき? 手続き・必要書類・期限など徹底解説」をご覧ください。

2-6.不動産の名義変更に関する「時効」について(不動産登記法第76条の2)

不動産を相続した場合には、名義変更(相続登記)をする必要があります。

これまで、不動産の名義変更に時効(つまり期限)はありませんでした。しかし、令和6年4月1日以降は名義変更が義務づけられ、所有権を取得したことを知った日から3年が期限となります。

なお、上記の期限にかかわらず、名義変更をしなければ、第三者に対してこの不動産は自分のものと主張することができませんので、その不動産を使っての売却等の法律行為は一切できないこととなります。

2-7.生前贈与の贈与税に関する「時効」について(相続税法第37条)

年間110万円以上の金額を贈与された場合には、贈与税がかかります。この贈与税の時効は原則6年です。
贈与があった日の属する年の翌年の3月15日(贈与税の申告期限(相続税法第28条))から起算して6年となります。
但し、相続税の場合と同様悪質な場合には、時効は7年となります。

ここでいう「時効」は、税務署が贈与税を課税することができる期間です。贈与税の申告は、上記の申告期限までに行わなければなりません。

なお、ネットには贈与税の時効が5年という情報も一部ありますが、これは平成15年以前の話であり、現在は税制が改正されておりそれ以降は6年が正しい期間です。また、“贈与した日”が起算点になるという情報もありますがこれも誤りで正しくは、前述のとおり、贈与税の申告期限から6年となります。

贈与税の時効について詳しい解説を読みたい方は「贈与税の時効は原則6年、ただし故意に申告しなかった場合は7年に!」をご参照ください。

3.不安な方は早めに専門家に相談を

遺産相続の手続きには、期限や時効が存在するものがあり、その期間を正しく理解していないと知らなかったでは済まされない事態に陥ってしまう可能性があります。本来もらえるはずであった財産がもらえなくなったり、本来払う必要がなかった借金を返済しなくてはならなくなったりすることになってしまいます

そうならないためにも、遺産相続に関わる時効や期限はよく理解しておく必要があります。

慎重な判断が必要となりますので、もし自信がなかったり判断に迷われたりした場合には相続の専門家に早めにご相談されることをお勧めいたします。

税理士法人チェスターは、年間2,373件以上の相続税申告実績がある相続専門の税理士法人です。ご相続が発生しているお客様の初回面談を無料で承っておりますので、相続税申告にお悩みの方は一度お気軽にお問合せください。

★その他関連記事はコチラ
相続税の時効は5年か7年!成立まで逃げ切れない理由とペナルティも解説

遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)とは?備える方法・計算方法・時効・手続きの流れを紹介

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贈与税は不動産の贈与にもかかる。仕組みや住宅取得資金贈与との違い https://chester-souzoku.com/gift-tax/gift-tax-real-estate-9256 Fri, 15 Mar 2024 00:00:15 +0000 https://chester-souzoku.com/?p=9256 不動産を贈与すると、贈与税がかかることがあります。贈与税について十分な理解がないままに不動産を贈与すると、想定外の税負担が発生するかもしれません。

贈与税には2種類の課税方式があり、また税負担を軽減する特例制度も設けられています。不動産を贈与する際は、贈与税の課税方式を適切に選び、条件に該当する特例措置を活用することが大切です。

本記事では、不動産を贈与する際の贈与税を相続税専門の税理士が解説します。

1.不動産の贈与にかかる税金

不動産の贈与

不動産の贈与にはどのような税金がかかるのでしょうか?制度の概要や利用できる控除について見ていきましょう。

1-1.贈与税の概要と控除の種類

個人から財産の贈与を受けると贈与税が課税されます。課税方式は、大きく分けると暦年課税・相続時精算課税の2種類です。

何も手続きをしない場合、贈与税の課税方式は暦年課税となります。相続時精算課税制度は、贈与税を申告する際に選択が可能です。申告のタイミングは、財産が贈与された翌年の2月1日〜3月15日(土日によって前後します)です。

暦年課税では、1年間に110万円の『基礎控除』を受けられます。そのため1年間に贈与を受けた財産が合計110万円以下であれば贈与税はかからず申告も不要です。

また、夫婦間で居住用不動産(またはその購入資金)を贈与する場合には、最高2,000万円まで贈与税が非課税となる『配偶者控除(以下、贈与税の配偶者控除)』を利用することも可能です。

基礎控除と併用できるため、贈与税の配偶者控除を適用できれば合計2,110万円までの贈与に贈与税がかかりません。ただし、贈与税の配偶者控除が適用されるのは、婚姻関係が20年以上継続した後の贈与に限られます。

1-2.不動産の贈与も贈与税の課税対象

贈与税の対象となる財産には不動産も含まれます。たとえば、評価額2,000万円のマンションを贈与されたときは、基礎控除額110万円を差し引いた残りの1,890万円に贈与税がかかります。

相続でマンションを取得した場合、マンションの評価額も含む遺産の総額が、相続税の基礎控除額「3,000万円+(600万円×法定相続人)」であれば税負担は生じません。

相続税と比較し基礎控除額が少ない贈与税では、不動産を贈与されたときに多額の税金が課される可能性があります。贈与税がかかる場合は、財産を受け取った人が贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日に申告し納税しなければなりません。

1-3.一般贈与財産と特例贈与財産の違い

贈与税は、贈与を受ける財産が『一般贈与財産』と『特例贈与財産』のどちらに該当するかによって、計算方法が異なります。

特例贈与財産とは、父母や祖父母といった直系尊属から贈与を受けた財産のことです。
受贈者は贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上※であることが条件となります。※令和4年(2022年)4月1日以降

特例贈与財産に該当する場合、一般贈与財産と比較して低い特例税率で贈与税が計算されます。一般贈与財産は、特例贈与財産には該当しない贈与財産です。一般贈与財産に該当するときは、一般税率を用いて贈与税を計算します。

1-4.定期贈与とみなされた場合の課税に注意

暦年課税の制度を利用すると、毎年110万円までは税負担なしで贈与を受けられます。この仕組みを利用し、毎年110万円の贈与を10年間続けると、贈与税がかからずに1,100万円の資産を贈与できることになります。

ただしこのケースは『定期贈与』とみなされ、後から課税される可能性があるため注意しましょう。定期贈与とは、毎年一定の金額を贈与することが、あらかじめ決まっている契約のことです。

先の例が定期贈与とみなされると、最初に110万円の贈与を受けた年に1,100万円が贈与税の課税対象となります。そのため、1,100万円から基礎控除110万円分を差し引いた残りの990万円に贈与税が課せられてしまうのです。

贈与額を毎年変えたり贈与ごとに契約書を作成したりすると、定期贈与と判断されにくくはなりますが、心配であれば税理士に相談するのがおすすめです。

2.相続時精算課税制度を選択することができる

相続時精算課税制度

贈与税の課税制度には暦年課税のほかに、相続時精算課税があります。どちらを選ぶかは受贈者(財産をもらう人)が自由に決められるため、それぞれの特徴を把握し適した制度を使いましょう。

2-1.合計2,500万円までの財産贈与に贈与税がかからなくなる

相続時精算課税を利用すると、18歳以上の子や孫が60歳以上の父母や祖父母から贈与を受ける場合に累計『2,500万円』の特別控除の範囲内であれば贈与税がかかりません。2,500万円を超えた分は一律20%の税率の贈与税がかかります。

この制度を利用すると贈与税の負担を抑える効果が期待できるため、相続が発生する前に大きな財産の移転をしやすいのがメリットです。

ただし、この制度を利用して贈与された財産は、贈与者が死亡したときに相続財産に加算され相続税の課税対象になります。また、相続税を計算する際は、2,500万円を超えた分の贈与税が差し引かれます。

2-2.暦年課税との併用や暦年課税への変更はできない

一度課税制度を相続時精算課税に設定すると、その後、指定した贈与者からの贈与はずっとこの方式で贈与税を申告することになります。暦年課税との併用や暦年課税への変更はできません。そのため暦年課税の基礎控除110万円が受けられなくなることを覚えておきましょう。

なお、令和5年度の税制改正により、2024年1月1日以降に相続時精算課税を用いて財産を贈与する場合、特別控除の2,500万円とは別に年間110万円の基礎控除を受けることができます。

相続時精算課税の基礎控除の範囲内で贈与された財産は、贈与者の相続発生時に相続財産に加算する必要はありません。

相続時精算課税制度の特別控除2,500万円の範囲内で贈与された財産は、贈与税がかからないものの相続税の課税対象にはなるため、税負担を少なくする効果が期待できない場合があります。その点も考慮した上で、どちらの課税制度を選ぶか決定しましょう。

3.親から不動産を譲り受けるときにかかる費用

親から不動産を譲り受ける

不動産の贈与を受けるときには、贈与税のほかにも必要な費用があります。贈与税の計算方法とともにチェックしましょう。

3-1.贈与税の計算には主に評価額を使う

土地を相続した際には『相続税評価額』を用いて贈与税を計算します。相続税評価額を求める方法は2種類あり、路線価が定められている地域では「路線価方式」、定めがない地域では「倍率方式」で求めるのが原則です。

路線価方式では、土地の面する道路に設定されている路線価を用い『路線価×各種補正率×土地の面積』で概算を求めます。補正率は、土地の形状や道路との接し方などに応じて決まります。

倍率方式の計算式は、『固定資産税評価額×倍率』です。

建物部分の相続税評価額は、『固定資産税評価額』です。

路線価や倍率方式の評価倍率は、国税庁のホームページで閲覧できます。固定資産税評価額は、区町村などから送られてくる固定資産税の納税通知書に添付された課税明細書で確認が可能です。

3-2.マンションの贈与の場合

マンションの贈与でも、土地(敷地権)の評価額は路線価方式か倍率方式で計算します。ただしマンションでは敷地のすべてを所有しているわけではなく、持分が決まっています。そのため求めた評価額へ持分の割合を乗じて計算しましょう。

また建物の評価額は一戸建ての家屋と同様、固定資産税評価額を用いるのが基本です。

3-3.相続時と違い、不動産取得税も発生する

相続によって不動産を引き継いだ場合、課税される税金は相続税のみです。しかし贈与を受けたときには贈与税のほかに『不動産取得税』も課されます。

不動産取得税は不動産の取得時点で1回限り課税される税金です。2024年3月31日までは固定資産税課税台帳に記載された評価額に対し、土地や住宅は3%の税率が適用されます

参考:住宅:不動産取得税に係る特例措置 – 国土交通省

4.親子間売買をする場合

親子間売買

不動産を親から子へ生前に引き継ぐには、贈与以外に親子間売買をする方法もあります。ただし贈与では発生しない費用負担があるため注意が必要です。

4-1.売買により親子どちらも税金を支払う

贈与で不動産を譲るとき、贈与する側の親には費用が発生しません。一方、子には贈与税や不動産取得税がかかることがあります。

しかし、親子間売買では子だけでなく親にも税金が課されます。なぜなら不動産の売却により利益が発生すると、譲渡所得税の課税対象になるためです。

譲渡所得税の税率は、譲り渡した年の1月1日時点での所有期間が5年超であれば15%、5年以下の場合は30%です。加えて復興特別所得税(所得税額の2.1%)や住民税(所有期間5年超5%、5年以下9%)もかかります。

適正な価格で売買を行った場合は子に贈与税は課せられませんが、不動産取得税はかかります。

4-2.みなし贈与には贈与税がかかる

親子間売買において、不動産を相場とかけ離れた低価格で売買すれば税金を節約できると考える人もいるでしょう。ただしこの方法は『みなし贈与』と判断されるため要注意です。

たとえば、2,000万円程度の価値がある不動産を100万円で売買するようなケースでは、1,900万円のみなし贈与が行われたとされます。当然、みなし贈与分は贈与税の課税対象です。

判断基準は法的に定められているわけではありません。目安として地価公示価格の8割以下での売買だと、みなし贈与と判断される可能性があります。不動産の親子間売買を検討する際は、注意点などを税理士に相談するのが賢明です。

不動産の親族間売買について詳しくは以下の記事で解説していますので合わせてご覧ください。
(参考)親族間売買は「みなし贈与」に?注意点や適正価格、メリット・デメリットを解説

5.親から住宅取得資金の贈与がある場合

親から住宅取得費用資金の贈与がある

不動産ではなく、住宅を取得するための資金を贈与するケースもあります。住宅取得資金を贈与する場合には、一定額まで贈与税が非課税になる制度があります。住宅取得資金の贈与の非課税とはどのような制度なのでしょうか?

5-1.一定額まで贈与税が非課税になる

住宅取得資金の贈与を父母や祖父母などの直系尊属から受けた場合、令和8年(2026年)12月31日までであれば、非課税の特例を利用できます。所定の条件を満たすことで、最大1,000万円までの資金贈与に贈与税が課税されません。

一般の住宅よりも、省エネ性能などを満たした高機能住宅の方が、非課税限度額が大きいのが特徴です(一般の住宅500万円、省エネ等住宅1,000万円)。

5-2.細かな要件を満たさなければならない

贈与税の負担を抑えたいとき、非課税の特例は非常に役立ちますが、所定の要件を満たさなければ利用できません。

まず資金を贈与されたら、その翌年の3月15日までに住宅の購入や新築をして遅滞なく居住することが要件となります。また住居は床面積40~240㎡が対象です。

他にも、受贈者である人の年齢が贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上であることや、所得金額が2,000万円以下(取得する住居の床面積が40㎡以上50㎡未満のときは1,000万円以下)であるなど、さまざまな要件を満たさなければなりません。

加えて中古住宅を取得するときには、建築時期の要件や耐震基準を満たしている必要もあります。

5-3.購入済住宅のローン返済に使うお金は対象外

非課税の特例が適用されるのは、住宅の取得や増改築に使用する資金のみという点にも注意しましょう。同じ金額を贈与されたとしても、資金を住宅ローンの返済に充てるのであれば、特例の対象になりません。

また、タイミングを考えて贈与を受けないと、特例の適用外になることもあります。贈与を受けた翌年の3月15日までに、あるいは同日以降遅滞なく居住しなければいけないため、それまでに居住できるか事前に確認します。

後から期日に間に合わなくなる事態を避けるよう、贈与は居住開始の直前に受けるのがポイントです。

6.贈与制度の仕組みを理解して賢く活用を

贈与制度の仕組み

不動産の贈与を受けた際にも贈与税は課税されます。暦年課税では、年間110万円までの基礎控除の範囲内で財産が贈与されたのであれば、贈与税はかからず申告も必要ありません。

相続時精算課税を選ぶと、累計2,500万円の特別控除があるほか、令和6年(2024年)以降は年間110万円の基礎控除もあります。ただし、特別控除額の範囲内で贈与された財産は、相続時に相続財産に加えられ、相続税の課税対象になる点には注意が必要です。

相続税の負担を抑えるためには、不動産ではなく、住宅購入資金として贈与するのも一つの方法です。さまざまな要件を満たす必要はありますが、最大で1,000万円まで非課税にできます

贈与税の仕組みは複雑です。相続対策のために不動産の生前贈与を検討している方は、相続税専門の『税理士法人チェスター』までお気軽にご相談ください。

相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】

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プロキシーファイトをわかりやすく解説。メリットや注意点を知ろう https://chester-souzoku.com/succession/proxy-fight-explained-in-simple-terms-10688 Wed, 13 Mar 2024 06:00:33 +0000 https://chester-souzoku.com/?p=10688 近年、アクティビストファンドや敵対的買収などと関連して、「プロキシーファイト」という言葉を聞くことが多くなりました。
プロキシーファイトが発生すると、経営陣や社員はもちろん、その会社の株式を保有している個人株主にも、大きく関係してきます。

本記事では、プロキシーファイトの意味から、発生する理由、メリット、デメリット、実例などを解説します。

1.プロキシーファイトとは

1.プロキシーファイトとは

「プロキシーファイト」は英語の「Proxy Fight」のことで、日本語では「委任状争奪戦」「委任状争い」などと訳されます。
簡単にいえば、株式総会において、自らが提案する議案を通したい株主と、それを阻止したい株主とが、他の株主からの「委任状」(Proxy)をより多く集めようとする、多数派争いのことです。

1-1.株式会社の最高意思決定機関は株主総会

株式会社の最高意思決定機関は、株主総会です。取締役、監査役、会計参与などの役員も株主総会で選任されますし、株主総会で解任することもできます。
上場企業では、経営陣に創業者やその一族の人間が含まれている場合でも、その人たちが持つ自社株式の割合は、一般的には、発行済み株式数の20~30%程度までです。
経営陣に創業一族の人間が含まれず、まったく自社株式を保有していない上場企業も珍しくありません。

一方、非上場企業は、創業者やその家族などが大半の株式を保有する、株主=経営陣の同族経営企業がほとんどです。ただし共同経営による創業や、株式の相続が2代、3代と続いたことなどにより、株式が現在の経営陣以外の多くの人に分散しているケースはあります。
上場企業の株に投資しているほとんどの投資家は、株価の値上がりや配当を目当てに株式を保有しており、経営に対して積極的に関与する意志を持っていません。

また、非上場企業の株を相続などで引き継いだ人も同様で、多くは経営に興味を持っていません。
そのため、一般的な水準の配当をするなどある程度株主還元をしていれば、どちらの場合も、株主が現経営陣の経営方針に反旗をひるがえすことはまれです。

しかし、現経営陣の経営方針やガバナンス等に大きな問題が生じた場合や、あまりにも株主を軽視した経営を続けている場合、また他社がその会社の買収などを狙っている場合に、自らの提案する経営方針等を株主総会の議案として提出し、ひいては、経営支配権を得ようとする株主が現れることもあります(こういった株主を、本記事では「反経営陣株主」と呼びます)。

経営陣と「反経営陣株主」との対立が存在して、株主総会で白黒決着をつけることとなったときに発生するのが、プロキシーファイトという争いです。

1-2.株式の購入により多数の議決権獲得を目指すのは非現実的

株主総会の決議には、取締役の選出・解任、配当などに関する「普通決議」と、定款の変更、合併や解散など、会社の根幹にかかわる重要な決定に関する「特別決議」とがあります。
株主総会での議決は議決権の多数決によってなされ、普通決議は出席株主の議決権の過半数、特別決議は同3分の2以上の賛成により、可決されます。
そして議決権は、基本的に1株につき1議決権が与えられます。
つまり、ある株主や株主グループが、株式を過半数、あるいは3分の2以上保有していれば、自らの望む議案を可決させることができます。

しかし、上場企業の場合、発行済み株式数が非常に多く、何千、何万人という株主に分散しているため、過半数の株式を購入するには、多大な費用と手間がかかります。

そこで、反経営陣株主は、自分たちが提案する議案を通したい場合に、なるべく多くの株式を保有しようすることに加えて、他の株主に「私たちの議案が可決されれば経営やガバナンスが改善され、企業価値や株主利益を向上させます」と訴えて、自分たちの議案に賛同するように呼びかけます。
そして、その賛同の意思を示すものとして議決権行使の「委任状」を自分たちに預けてくれるように頼みます。これを「委任状勧誘」といいます。

一方、経営陣側は、反経営陣株主の議案可決を防ぐために、経営陣側(会社側)への賛同を集めようとします。これは、議決権行使書によっておこなわれます。
こうして、反経営陣株主と、経営陣が、それぞれより多くの株主から委任状を奪い合う争いが、委任状争奪戦=プロキシーファイトというわけです。

2.どんなときにプロキシーファイトが起きるのか

プロキシーファイトが発生するのは、経営支配権、経営方針、ガバナンス(企業統治)などを巡って、経営陣と株主との間に深刻な対立が生じているときです。
そのような対立が生じるのは、下記のような理由があります。

2-1.アクティビスト投資家の関与

企業経営に積極的に関与し、経営陣に対して経営改善や企業価値の向上を求める株主を「アクティビスト」「ものいう株主」などと呼びます。
アクティビストは、具体的には、経営方針や事業戦略の変更増配や自社株買いなどの財務戦略の変更組織再編役員報酬減額や取締役交代などのガバナンス(企業統治)の改善、などを求めて、プロキシーファイトを仕掛けます。

逆にいえば、アクティビストが関与する企業は、上記の点でなんらかの問題がある企業である場合が多いといえるでしょう。

2-2.敵対的買収やその防止

ある企業や投資ファンドなどが、別の企業に対して同意を得ないまま、株式の過半数を取得して企業を買収することを、敵対的買収といいます。
この敵対的買収のプロセスの中で、被買収企業が、買収防衛策を導入することがあります。その買収防衛策の阻止などを狙って、買収側がプロキシーファイトを仕掛けることがあります。

2-3.後継者争いなどの経営陣の内紛

敵対的買収やアクティビストは、企業の外からやってくる要因ですが、企業内部での争いが、プロキシーファイトにまで発展することもあります。
例えば、既存の経営陣間で経営方針を巡る意見の違いなどから、内紛が生じた場合や、事業承継に前後して現経営者陣営と後継者陣営とで争いが生じた場合などです。
こういった内紛は、上場企業に限らず、非上場企業でも発生し、プロキシーファイトに結びつくことがあります。

3.プロキシーファイトのプロセス

上記のように経営陣と反経営陣株主とに対立が生じていたとしても、いきなりプロキシーファイトになるわけではありません。
最初は、両者間で交渉の場がもたれるでしょう。そこで双方が歩み寄って、反経営陣株主の要求のすべてあるいは一部が受け入れられるなどすれば、プロキシーファイトには至りません。

しかし、話し合いによっても、主張の隔たりが埋められない場合などは、以下のようなプロセスでプロキシーファイトが進行していきます。

3-1.株主名簿の閲覧、委任状の送付と回収

1株以上の株式を持つ株主は、「株主名簿閲覧謄写請求権」という権利を持っており、正当な理由があればいつでも会社に対して、株主名簿を閲覧やコピーを要求できます(会社法125条)。
反経営陣株主は、株主名簿から得たデータをもとに、委任状の用紙を送付します。委任状には、反経営陣株主が提案する議案への賛成・反対が記載されます
あわせて、主張を説明する資料作成、説明会開催、プレスリリース、Webサイトや新聞広告でのPR、大株主へアプローチなど、理解と賛同を広めるための活動をおこないます。

3-2.経営陣側の対抗策

経営陣側は、反経営陣株主の動きに対抗するため「議決権行使書」を株主に送付し、反経営陣株主の提案に反対し、経営陣側の議案に賛成するように呼びかけます
議決権行使書は、会社が発行できるもので、株主総会の場、または、郵送等で議決権を行使できるものです。

3-3.検査役選任を申し立てる

株主総会前に裁判所へ『検査役』選任の申し立てをおこないます。この申し立てをできるのは1%以上の議決権を持っている株主です。
選任された検査役は、株主総会の招集や決議の方法を調査して報告書を提出します。
株主総会決議後に、「決議取消訴訟」が提起されて決議の有効性が争われるような場合に、この報告書が、株主総会に不正がなかった証拠となります。

3-4.株主総会での議決

プロキシーファイトの結果は、株主総会における議案の採否で表されます

事前に集められた委任状、議決権行使書に加えて、株主総会当日の投票数を合計して、反経営陣株主提案に賛成する票が過半数(または3分の2)あれば議案は可決され、反経営陣株主の勝利となり、経営陣はその要求に従わなければなりません。
否決されれば、経営陣の方針が認められたことになります。

4.委任状勧誘規制に注意

プロキシーファイトにおいて、反経営陣株主が、他の株主に議決権の代理行使のために委任状の提出を呼びかけることを「委任状勧誘」といいます。
上場企業については、金融商品取引法において委任状勧誘を規制する規定があります(金融商品取引法194条、金融商品取引法施行令36条の2等)。
具体的には、「委任状用紙の様式」「参考書類」「写しの提出先」「虚偽記載の禁止」などが定められています。
これは、株主に対して十分な情報提供をし、株主の意思が決議に反映されるようにするためです。

なお、この規制の対象となるのは上場企業だけであり、非上場企業は対象外です。

5.プロキシーファイトのメリット

プロキシーファイトがおこなわれることで、当事者である経営陣と反経営陣株主以外の、一般株主や会社経営全体にメリットがもたらされることがあります。

5-1.経営における株主重視が強まる

特に、アクティビストが主体となるプロキシーファイトは、株主利益を軽視している経営陣に対して、株主重視の施策を実現することを求めておこなわれるものが多いでしょう。

例えば、配当の増額や自社株買いなどです。
プロキシーファイトが生じると、経営陣は株主からの支持を得るために、株主重視の姿勢を強めることとなります。
結果として、反経営陣株主がプロキシーファイトで負けたとしても、その後の経営において株主重視の姿勢を保つための圧力になるでしょう。

5-2.企業価値向上につながる場合がある

反経営陣株主の提案が、経営方針の転換やガバナンス改善に関するものである場合は、プロキシーファイトの結果にかかわらず、それらの全部または一部が実現されることで、企業価値の向上につながる可能性があります。

6.プロキシーファイトのデメリット

プロキシーファイトは大きな争いごとです。そのため、株主や経営にとって、デメリットとなる面もあります。

6-1.コストや手間がかかる

プロキシーファイトがおこなわれれば、反経営陣株主はもちろん、経営陣も、委任状争奪のためのさまざまなPR施策や広告、機関投資家への説明会などを実施しなければなりません。
これらは費用がかかります。
単純に臨時株主総会開催においても、通知書の発送など費用がかかります。これらはプロキシーファイトがなければ不要な費用です。

6-2.事業の低迷につながることがある

プロキシーファイトの結果にかかわらず、反経営陣株主の提案の全部または一部が実施されたり、今後プロキシーファイトが仕掛けられないために対策を打ったりすることにより、事業が低迷するリスクもあります。
また、「会社内部でゴタゴタが起きている」という目で世間から見られることで、企業イメージやブランド価値が毀損され、それが長期的に経営への悪影響をもたらすことも考えられます。

7.プロキシ―ファイトが与える影響

プロキシーファイトは、会社の経営支配権者は株主であるということを、経営陣に強く意識させます。
プロキシーファイトが起きた後は、その結果にかかわらず、経営陣は株主利益を意識した経営にシフトしていくことが多いでしょう。

それは、長期的に見れば、経営を効率化させ株価にもプラスの影響を与える可能性があります。

他方で、経営陣と反経営陣株主との対立が長期化、泥沼化してしまえば、本来経営に割くべき費用や労力をその対応に向けなければならず、また世間からのイメージも悪くなるため、業績や株価にマイナスの影響を与える恐れもあります。

8.プロキシーファイトの事例

最後に、過去のプロキシーファイトの代表的事例を、2件ご紹介します。

8-1.東京スタイルと村上ファンドの委任状争奪戦

2002年、名門アパレルメーカーであった東京スタイルに対して、アクティビストファンドである村上ファンドが仕掛けたプロキシーファイトは、国内ではじめて起きた本格的なプロキシーファイトとして知られています。

東京スタイルは、自己資本比率が高く多額の現金を内部留保していました。これによりファッションビルの建設計画を立てていました。
それに対して、同社株式の9.3%を保有していた村上ファンドが、無駄な投資であるとして反対し、大幅な増配と自社株買いによる株主への利益還元、役員の派遣などを求めました。
会社側は、一定の増配と自社株買いを実施しましたが、その規模は村上ファンドが求める規模以下だったため、プロキシーファイトへと発展します。

結果としては、個人投資家の多くが会社側支持にまわったことなどから、東京スタイル側が勝利しました。

8-2.大塚家具の父娘間の騒動

高級家具販売で知られていた大塚家具では、2009年に創業者の大塚勝久氏が会長に退き、娘である大塚久美子氏が社長に就任しました。
しかし、新社長の経営方針への不満から経営陣に内紛が生じて、2014年に久美子社長が解任され、勝久氏が社長に返り咲きます。ところが、その後経営状態が一層悪化したため、再度内紛が生じて、2015年に再び久美子氏が社長に就きます。

その後、久美子氏の経営方針に不満を覚えた勝久氏が、自身を含む新たな取締役の選任を求める株主提案を提出。
それに対して、経営陣側も勝久氏を取締役から外す会社提案を提出するという、プロキシーファイトが展開されました。
結果的には久美子氏を中心とした経営陣側が勝利を収めます。しかし、泥沼状態の“お家騒動”が長く続いたことから、同社のブランドイメージは大きく低下し、業績も低迷します。

結局、同社は2022年にはヤマダデンキに吸収合併され、法人としての大塚家具は消滅してしまいました。

9.まとめ:非上場中小企業でもプロキシーファイトは無関係ではない

プロキシーファイトの多くは、株式を市場で購入できる上場企業を舞台にして繰り広げられます。
しかし、非上場企業でも、複数の創業者の共同経営で創業された企業や、社歴が長く、2代、3代と株式の相続が発生して株式が多数の株主に分散している企業などでは、思わぬところから反経営陣株主が登場して、プロキシーファイトが生じないとも限りません。

もし、相続に絡んだ理由によって非上場企業でプロキシーファイトが発生したのであれば、税務面も重要な要素になるため、相続にくわしい専門税理士に相談するとよいでしょう。

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特定目的会社(TMK)とは? その意味や活用方法、設立の流れを解説 https://chester-souzoku.com/succession/what-is-a-tmk-11660 Wed, 13 Mar 2024 00:00:13 +0000 https://chester-souzoku.com/?p=11660 不動産投資のことを調べている中で、「特定目的会社」や「TMKスキーム」といった言葉を目にしたことはないでしょうか。
また、特定目的会社と似た言葉に、「特別目的会社」(SPC)というものもあり、こちらは、M&Aや投資ファンドをテーマにした話の中でよく出てきます。
両者の違いはどこにあるのでしょうか。
また、これらの会社は、一般的な株式会社などによる事業会社とはどう違い、どんな場面で利用されているのでしょうか。

本記事では、特定目的会社の基本や利用のメリット、デメリット、また、設立方法などについてくわしく説明します。

1.特定目的会社(TMK)と、株式会社との違い

特定目的会社とは、「資産の流動化に関する法律(以下、資産流動化法)」で規定されている、法人の一類型です。
株式会社などの一般の事業会社と比較することで、特定目的会社の基本的な性格が見えてきます。

なお、特定目的会社は、「特定」「目的」「会社」それぞれの頭文字をとって「TMK」と呼ばれることもあります。
また、資産流動化などの目的を実現するために、特定目的会社を用いることを「TMKスキーム」と呼ぶこともあります(後でまた触れます)。

1-1.特定目的会社が規定されている根拠法は、「資産流動化法」

特定目的会社と株式会社との違いの1点目は、それぞれが規定されている根拠法の違いです。

株式会社、合同会社などの事業会社は、「会社法」において規定されている法人です。
一方、特定目的会社は「資産の流動化に関する法律」(資産流動化法)に規定されている法人です(法人とは、法律上の権利・義務の主体となることができる組織です)。
両者は根拠となる法律が異なることから、設立や運営など、多くの面で違いがあります。

1-2.特定目的会社は、扱える業務が限定されている

2点目として、会社で扱える業務内容の違いがあります。
株式会社は定款に記載することで、モノやサービスの販売など、どのような事業でもおこなうことができます。
一方、特定目的会社は、文字通り「特定の目的」のための業務しかおこなうことができません

その特定の目的とは、要約すれば「『資産流動化計画』に基づいた、資産の流動化及び資産の流動化に附帯する業務」です。

資産の流動化とは、簡単にいえば、不動産のような高額な資産を証券化(小口化)して、売買しやすくすることです。特定目的会社は、資産流動化とそれに附帯する資金調達など以外の事業活動をおこなうことは、認められていません。

1-3.特定目的会社には、税務上の優遇措置がある

特定目的会社は、扱える業務が限定されている代わりに、いくつかの税務上の優遇措置が定められています。
中でもポイントとなるのは、利益配当の損金算入です。簡単にいえば配当を法人の損金にできるというもので、株式会社等の事業会社では認められていません。

種類 根拠法 事業内容 配当の損金算入
株式会社、合同会社、合資会社 会社法 限定なし 不可
特定目的会社 資産流動化法 資産の証券化、運用などに限定

2.特定目的会社と、特別目的会社との違い

特定目的会社と似ているものに、「特別目的会社」があります。混同して使われることも多いのですが、両者は明確に異なりますので、区別をしっかり理解しておきましょう。

2-1.「特別目的会社」は、法律上に規定されていない

実は、株式会社や特定目的会社と異なり、「特別目的会社」には法律上の規定がありません。
それは以下のような背景によります。

欧米では以前から、資産の流動化や証券化による資金調達に限定して業務をおこなう「Special Purpose Company:SPC」がありました。このSpecial Purpose Companyを和訳したのが「特別目的会社」ですが、日本には1997年以前は、そのような法人類型はありませんでした。
SPCの仕組みが日本に輸入されたのは、1998年にSPC法(「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」)が成立して以降です。このSPC法が、2000年に改正され、現在の資産の流動化に関する法律になっています。

ここで注目してほしいのは、1998年に成立したSPC法は、「『特定目的会社』による特定資産の流動化に関する法律」という名前であり、使われている言葉が「特別目的会社」ではなく「特定目的会社」だという点です。
SPCの一般的な訳語は「特別目的会社」であるのに、SPC法で規定されたのは「特定目的会社」という名称だったのです。
ここから、特別目的会社と特定目的会社を同一のものとして混同されてしまうケースも生じているのですが、法律上規定されている名称は、あくまで「特定目的会社」だけです。

現在では、日本における特別目的会社とは、「株式会社や合同会社、特定目的会社などを総じて、特別の目的のために運営され、通常の事業活動をおこなわない会社を指す一般用語」だと理解するといいでしょう。

現実的にも、特定目的会社以外の合同会社などが、特別目的会社として用いられることは、珍しくありません。特に、資産の流動化や資金調達、M&Aなどの場面では、頻繁に用いられています。

2-2.特別目的事業体、特別目的会社、特定目的会社は、含む対象の広さが異なる

ややこしい話ですが、ここでもう1つ、「特別目的事業体」(Special Purpose Vehicle:SPV)という概念もあります。
事業体というのは、事業運営の主体となる組織や仕組みのことですが、法人だけではなく、法人以外の、民法上の組合や信託などもすべて含めて、特別の目的のために運営される組織を指す言葉が、「特別目的事業体」です。
これらの関係をまとめると以下のようになります。

特別目的事業体
(SPV)
資産の証券化やファイナンス(資金調達)のみを目的として、営利事業の運営をしない事業体の総称。法人格を持たない民法上の任意組合や信託、法人格を持つ株式会社、合同会社、特定目的会社などをすべて含む概念。
特別目的会社
(SPC)
特別目的事業体のうち、法人格をもつ組織の総称。株式会社、合同会社、特定目的会社など。
特定目的会社
(TKM)
資産の流動化に関する法律に規定された方法で設立、運営されている法人。

特定目的会社

3.特定目的会社を活用した資産流動化=TMKスキームとは?

特定目的会社は、主に企業が保有している不動産などの高額な資産を証券化・流動化する場合に用いられます。
このスキーム(仕組み)は、「TMKスキーム」とも呼ばれます。TMKスキームの活用場面はさまざまですが、ここでは一例を挙げます。

3-1.TMKスキームの活用

ある株式会社(X社)が100億円のビルを保有しているとします。
X社の業績が悪く財務状況が悪化したので、このビルを売りたいのですが、簡単には売れません。業績が悪いので、足元を見られて「買い叩かれる」可能性もあります。

そこで、特定目的会社を利用した「資産流動化」をおこないます。
まず、特定目的会社(Y社)を設立します。Y社が、「資産流動化計画」を作成して、TMKスキームの全体像を計画します。
そして、融資や出資を受けながら、ビルを運営(第三者に運営実務を委託)し、得られる賃料で、債権者への返済・利払いや、出資への配当をおこなっていきます。このようなY社の運営自体は、実質的にはX社がおこないます。
一方、X社は、特定資産のY社への売却で得られた資金により負債を返済すれば、悪化していた財務状況が改善でき、信用力の向上や業績の回復につなげることができます。

このように、特定社債や特定出資などの資産対応証券により資金を調達することから、「証券化」と呼ばれます。

オリジネーター 流動化の対象となる不動産などの原資産を保有しており、譲渡する法人や個人です。ここではX社。
特定資産 特定目的会社とオリジネーターとの間で売買の対象となる資産です。現物不動産のことが多いのですが、不動産を信託化して信託受益権を特定資産とすることもあります。
特定借入 特定目的会社が特定資産を取得するために金融機関などから受ける借入れです。
特定社債 特定目的会社が発行する社債です。
優先出資 特定目的会社の利益配当や残余財産の分配を特定出資者に先立って受ける権利を持つ出資のことです。
特定出資 特定目的会社の設立発起人の出資です。
特定資産管理処分受託者 特定資産の運営、管理、処分などをおこなう外部企業です。特定資産を信託財産として信託、もしくは特定資産の管理および処分に係る業務を他に委託していることは、後で出てくる「導管性要件」の一部となっています。

(参考)国土交通省ホームページ「不動産の証券化に関する基礎識

3-1-2.TKMスキームは、ある程度大きな事業で用いられている

特定目的会社の設立やTKMスキームの設計、また、運営にはある程度の手間や費用がかかるため、一般的には、ある程度大きな事業において活用されるスキームだといえます。

なお、これまでに届け出があった特定目的会社の一覧は、金融庁のWebサイトで公開されています。
(参考)特定目的会社届出一覧

3-2.(参考)特別目的会社として合同会社を用いる「GK-TKスキーム」やLBOスキーム

資産流動化を目的とした特別目的会社として、特定目的会社を用いるのが「TKMスキーム」ですが、先に述べたように、特別目的会社は、必ずしも特定目的会社である必要はありません。

特別目的会社として、合同会社と匿名組合を用いる、「GK-TKスキーム」も実務上はよく利用されています。(GKは「合同」「会社」、TKは「匿名」「組合」の、それぞれの頭文字からとられています。)
ここではくわしい説明は省きますが、「TKMスキーム」と「GK-TKスキーム」とでは、設立の手間や課税面での違いなどがあるため、必要に応じて使い分けられています。

また、ファンドが買い手となるM&Aにおいては、通常、特別目的会社を利用してM&A資金の融資を受けるLBO(レバレッジドバイアウト)と呼ばれるスキームが用いられます。
このLBOにおいても、特別目的会社として合同会社を利用することが一般的です。

4.特定目的会社の6つのメリット

資産を保有している企業が、特定目的会社を利用して資産の流動化を図ることには、以下のようなメリットがあります。

4-1.メリット1:資産を簿外化(オフバランス)することで、財務の改善が図れる

不動産などの資産を特定目的会社に売却すれば、オリジネーターは、その資産と、資産に紐付いた負債を会社の貸借対照表から切り離す(オフバランス化する)ことができます。
これにより、財務状況の改善が図れます。

具体的には、上の例で見たように、特定目的会社に資産を譲渡し、対価として得られた資金で負債を返済するといったことをします。
このオフバランス化により、自己資本比率やROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)といった経営指標が改善する、あるいは、オリジネーターのキャッシュフローが改善するといった効果が見込めます。

4-1-1.連結決算が必要な場合もあるので注意

ただし、この際には、本当にオリジネーターから資産が切り離されたといえるかどうかをしっかり確認する必要があります。
形式的にオフバランス化したと考えていても、親会社による実質支配があると認められる場合は、連結決算が義務付けられることがあるためです。

具体的には、日本公認会計士協会による「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」の規定などを参照し、オフバランス化の可否を判断することになります。

(参考)特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針

4-2.メリット2:スムーズな事業承継の実現につながる

これは、上のメリット1の結果として生じるものですが、近い将来に会社の親族承継や第三者承継(M&A)を検討・予定しているのであれば、財務が健全化することによってそれがスムーズに遂行しやすくなるという効果もあります。

4-3.メリット3:流動化により資金調達の可能性が広がる

TKMスキームでは、資産がオリジネーターから切り離されます。そのため、仮にオリジネーターの信用力が大きく低下していたとしても、それと関係なく純粋に特定資産の価値や、将来得られると見込まれるキャッシュフローなどを裏付けとして、資金調達が可能になるということです。

また、一般的に高額な資産は、購入相手を探すことが難しくなりますが、証券化により小口化(=低額化)することで、より多くの投資家が投資に参加できるようになります。いいかえると、流動性が高くなります。
これにより、資金調達の間口が広がり、より大きな資金を調達できる可能性が高まるのです。

4-4.メリット4:倒産隔離機能により不動産を守れる

特定目的会社は独立した法人であるため、オリジネーターが倒産した場合でも、特定目的会社が保有する資産はその影響を受けません。これを「倒産隔離機能」と呼びます。
この仕組みがあることにより、投資家や金融機関は、対象不動産の収益性を見極めたうえで、安心して特定目的会社に資金を拠出することができます。

4-5.メリット5:法人税の特例措置(利益配当の損金算入)がある

特定目的会社は、法人税の特例措置により、一定の要件のもとで利益配当の損金算入が認められています。
これは重要なメリットなので、「5.特定目的会社の導管性と利益配当の損金不算入」でくわしく解説します。

4-6.メリット6:不動産取得税および不動産登録免許税の軽減措置がある

上記の法人税の軽減措置に加えて、特定目的会社が不動産を取得する場合、一定の要件を満たすと不動産取得に伴う不動産取得税、不動産登録免許税の軽減措置を受けることができます
具体的には、不動産の取得に対して課税される不動産取得税の、課税標準の算定において不動産価格の5分の3が控除されます。

また、不動産の所有権の移転登記にかかる登録免許税が、1000分の13(通常は1000分の20)に軽減されます。

5.特定目的会社の導管性と利益配当の損金不算入

メリットの項目で述べた、特定目的会社が利益配当の損金算入が認められる要件などについて説明します。

5-1.一般の事業会社から受け取る配当は二重課税になっている

株式会社などの事業会社においては、法人が得た利益(所得)に対して法人税が課されます。

一方で、その会社から投資家が受け取る(税引き後の法人利益を原資とした)配当に対しても、所得税(投資家が個人の場合)や法人税(投資家が法人の場合)が課されます。つまり、課税後の利益から得られた配当にまた課税される二重課税になっているのです。

5-2.特定目的会社における利益配当の損金算入(ペイスルー課税)

特定目的会社も法人であるため、原則的に、利益に対して法人税が課されます。しかし、特定目的会社は、資産の証券化による利益の配分を目的とした法人であり他の事業をおこなうことができません。
そのような性格の特定目的会社において、二重課税があるのでは、特定目的会社を利用する意義が大きく損なわれます。

そこで、特定目的会社においては、二重課税を避けるため、一定の要件を満たす配当の全額を、法人の損金(経費)に算入して、法人段階では非課税とできる特例措置が設けられています。
投資家が配当を得た段階で、投資家への所得税、法人税などが課税されます。
このように、法人が獲得した利益に対し、法人段階では課税されず、利益の分配を受けた投資家の段階で課税される性質のことを「導管性」(どうかんせい)と呼びます。

導管性を担保する方法にも種類がありますが、特定目的会社のように法人段階で損金に参入される方法は、「ペイスルー課税」と呼ばれます。

なお、特定目的会社から投資家が受けた配当について、投資家は法人税の「受取配当等の益金不算入」や所得税の「配当控除」の適用を受けることはできません。

5-3.ペイスルー課税のための導管性要件とは

特定目的会社で、ペイスルー課税が適用されるためには、「導管性要件」と呼ばれる要件を満たしていなければなりません(租税特別措置法第67条の14)。
導管性(どうかんせい)とは、利子や配当の課税において、法人税課税との二重課税を回避する仕組みのことです。
具体的には、以下の要件が求められます(抜粋)。

このうち特徴的なのが、「利益配当が配当可能利益の90%を超えている」という項目でしょう。
この項目があるため、特定目的会社は、利益を会社にほとんど残すことができず、ペイスルー課税の名前の通り、利益が投資家にスルーしていくものであることがわかります。

▼要件1(対象法人について)
・特定目的会社名簿への登載
・特定出資、優先出資の50%超が国内募集である旨資産流動化計画に記載されている
・会計期間が1年を超えないもの
(後略)▼要件2(対象事業年度について)
・資産流動化業務およびその付帯業務を資産流動化計画にしたがいおこなっている
・他の業務を営んでいない
・特定資産を信託財産として信託、もしくは特定資産の管理および処分に係る業務を他に委託している
・事業年度末において同族会社に該当しない
・利益配当が配当可能利益の90%を超えている
(後略)

6.特定目的会社の4つのデメリット

特定目的会社を用いることには、デメリットもあります。

6-1.デメリット1:法人設立に専門知識が必要であり、事務負担が重い

特定目的会社の設立は、資産流動化計画の作成が必須となるなど、設立までの事務負担が重く、また相応に時間もかかります
例えば、同じ特別目的会社のGK-TKスキームで用いられる合同会社の設立と比べても、特定目的会社設立のほうが手間も時間もかかります。

6-2.デメリット2:法人の維持費用がかかる

特定目的会社は、株式会社などとは異なり、資産流動化法に基づいて設立されます。同法による法人設立には、10万円以上の資本金を用意する必要があります(会社法上の会社は1円以上)。

また、特定目的会社の設立、登記には専門家への依頼が必要であり、その報酬も必要です。
特定目的会社の運営にあたっても、一般的な株式会社とは異なる利益配分の仕組みなどがあるため、知識を持つ専門家のサポートが必要です。

6-3.デメリット3:取得できる資産に制限がある

特定目的会社は、オリジネーターの持つどんな資産でも取得できるわけではありません
一般的には、不動産や不動産に関する信託受益権を取得する場合に、特定目的会社が用いられます。

6-4.デメリット4:資産流動化計画に定められた特定業務しかおこなえない

これはデメリットというより、特徴というべきかもしれませんが、特定目的会社は、設立時に提出する資産流動化計画に定められた特定資産に関する業務しかおこなうことができません
資産流動化計画は後から変更することも可能ですが、取得できる資産などには一定の制限があり、無制限に資産を取得できるわけではありません。

7.特定目的会社設立の流れ

特定目的会社設立までの概要を説明します。
なお、特定目的会社の設立手続きには専門知識が必要となりますので、実行する際は専門家への相談が必須です。

7-1.(1)定款作成・認証

特定目的会社の設立には、定款の作成が必要です。
定款は、特定目的会社の基本的な事項を定めた文書で、特定目的会社の目的、出資の内容、運営の方法などを明記します。
定款は公証人による認証により法的効力を持つようになります。

7-2.(2)特定出資の払込み

定款が認証された後、発起人(特定社員)は特定出資の払い込みをします。
特定目的会社の最低資本金は10万円です。

7-3.(3)設立登記

特定出資が払い込まれたら、法務局で特定目的会社の設立登記をおこないます。

7-4.(4)資産流動化計画の作成

株式会社の設立と大きく異なるのがこの点です。
特定目的会社で、特定資産の運用事業を始めるには、「資産流動化計画」という計画書の作成・届け出が必須とされています。
資産流動化計画とは、特定目的会社がどのように特定資産を運用し、どのように資金を調達、利益配分をするのかなどを詳細に記述した計画のことです。
資産流動化計画の記載内容
(出所:金融庁「II .資産流動化計画の記載内容」 )(一部)

7-5.(5)業務開始届出

資産流動化計画を作成後、内閣総理大臣(受付窓口は所轄財務局)に対して業務開始の届出をします。
業務開始届出には、定款や資産流動化計画の添付が必要です。この届出により、特定目的会社は正式に業務を開始することができます。

7-6.(6)資金調達

業務開始後に、資金を調達します。
具体的には、不動産などの特定資産から得られるキャッシュフローや資産価値を裏付けとして、投資家からの出資や金融機関からの借入れなど、さまざまな方法で資金調達をします。

7-7.(7)特定資産の取得

最後に、特定目的会社は資金調達により得た資金を用いてオリジネーターから不動産などの特定資産を取得します。

8.まとめ:特定目的会社を活用するには経験豊富な専門家のサポートが必須

高額な資産を保有している企業や個人は、特定目的会社を活用して資産を流動かすれば、資金調達の間口が広がり、調達可能性を高めることができるでしょう。
一方、資産流動化法に基づいて設立・運営される特定目的会社は、会社法に基づいて運営される一般的な株式会社などとは、異なる面がたくさんあり、専門知識がなければ、設立、運営は困難です。
また、GK-TKスキームなど、類似の特別目的会社スキームもあるため、どのようなスキームを用いるのがよいか、得失の比較も必要です。
いずれにしても、高度な専門知識が求められるので、特別目的会社の運営経験の豊富な専門家に相談しながら進めていくことが大切です。

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被相続人とは誰のこと?相続人との違いについてわかりやすく解説 https://chester-souzoku.com/measures/ancestoran-512 Tue, 12 Mar 2024 00:30:21 +0000 http://chester-souzoku.com/?p=512 相続のことを調べていると「被相続人」という言葉がよく出てきますが、相続の知識がない方ですと「被相続人」が亡くなった人を意味することが分からないというケースも多いと思います。

相続は専門用語が多く使われ初めて相続のことを調べたり勉強する人にとっては、用語の意味が分からずに先に進むのが遅くなることもあります。

この記事では「被相続人とは」「相続人とは」という相続のスタート地点で出てくる基本用語の解説を行いながら、次のステップに進めるような内容となっていますのでこの記事を参考にしてください。

そもそも「相続税」とは?抑えるべきポイントは何かについて知りたい方は下記の記事も参考にされてみてください。
【相続税のキホン】基礎控除・計算方法・税率・非課税枠を徹底解説

1.被相続人とは亡くなった人のこと

「被相続人」とは、亡くなった人のことをいいます。

「被」という言葉が「~される」という意味をあらわしますので相続される人、つまり亡くなった人となるのです。

一般的には亡くなった人のことを「故人」とあわらすことが多いため、被相続人という言葉は聞きなれないかもしれませんが、実際に相続が発生した場合や弁護士・司法書士・税理士等の専門家は故人のことを被相続人と呼ぶことが多いため覚えておきましょう。

2.相続人とは財産を相続する人のこと

被相続人に対して「相続人」とは、財産を相続する立場の人をいいます。相続が起きた時に誰が相続人になるのかというのは民法で定められています。このため相続人のことを「法定相続人」と呼ぶこともあります。

この民法が定める法定相続人の範囲に該当しない人は被相続人の遺産を相続することが原則としてできなくなりますので、相続において自分が被相続人との関係性で法定相続人に該当するかどうかを知るのは非常に重要です。

3.誰が相続人になるのかを確認しよう

相続において「誰が相続人になるのか?」は重要です。この記事では「被相続人」とは亡くなった人のこと、「相続人」とは財産を相続する人のことを解説しましたが、次のステップとしては誰が相続人になるのかを調べていきましょう。

すぐわかる相続人関係図

この図で被相続人(故人)を中心にして、誰が相続人に該当するのかを確認することができます。相続人に該当するかどうかは民法で厳格に定められています。

まずは第1順位に該当する人(配偶者や子供)の有無を調べて、該当者がいなければ第2順位をみていくというのがこの図の見方です。

また誰が相続人になるのかを調べるための正確な方法は、「戸籍」を確認することです。そのためには被相続人の(改製)原戸籍謄本という戸籍を出生まで遡っての取得が必要です。

改製原戸籍(かいせいげんこせき、かいせいはらこせき)とは、通常の戸籍謄本と違い、過去の本籍地の移動や結婚、離婚等の異動履歴が分かる戸籍謄本をいいます。相続が起きた後に相続人を確定させるために故人の過去の戸籍の変遷を調べるために必ず取得する戸籍です。

しかし実際に相続に詳しくない人が原戸籍を収集し相続人の範囲を確定させるのは難しいケースもあります。そこで誰が相続人になるのかということを分かりやすく本サイト内の別記事で解説していますので「相続人の範囲がすぐに分かる方法(簡単フローチャート付)」の記事で詳細を確認しましょう。

4.〇〇人や〇〇者。相続でよく出てくる登場人物の専門用語を解説!

相続の事を調べていると被相続人や相続人以外にも〇〇人や〇〇者のように特定の人のことを指す専門用語を耳にすることが多いかと思います。
この章では、相続でよく出てくる特定の人物を指す用語を一覧にまとめましたので是非参考にしてみてください。

4-1.代襲相続人(だいしゅうそうぞくにん)

相続人となるべき人が被相続人よりも前に亡くなっている場合の、その人の子をいい、これを代襲相続といいます。

例えば父親が死亡した時点で子供が既に亡くなっている場合、その子供の子供すなわち孫が相続人となります。この場合の孫を代襲相続人と呼びます。

4-2.受遺者(じゅいしゃ)

遺言で財産を相続する人のことをいいます。

例えば全くの他人であったとしても亡くなった方が遺言書を残しており、その遺言書の中でその人に財産を渡すと記載があれば、その方は財産を相続することになります。

なお、受遺者には2つの種類があります。

①特定受遺者
遺言書に特定の財産のみ記載がある場合でその財産を受け取る方をいいます。②包括受遺者
遺言書に財産の〇割を渡す。のように特定の財産ではなく割合が記載されており、その割合に応じた財産を受け取る方をいいます。

4-3.推定相続人(すいていそうぞくにん)

相続が発生した場合に相続人になる人をいいます。

例えば父親がまだ存命しているが、仮に亡くなった場合に相続人となることが予定されている人(妻や子)が推定相続人に該当します。

4-4.特別縁故者(とくべつえんこしゃ)

相続人ではないが、被相続人と特別な関係があった人をいいます。
相続が発生した場合、その被相続人に相続人が1人もいないときは特別縁故者が相続財産を受け取ることができます。

例えば被相続人と婚姻届は提出していないが、夫婦関係と同じ生活を営んでいた内縁関係のある人などが該当します。

4-5.法定相続人(ほうていそうぞくにん)

民法で定められた遺産を相続する権利や借金等を負担する義務を負う相続人のことをいいます。法定相続人が法律で定められていなければ、遺産相続の際に収束がつかなくなるため故人と近い関係性にある人が法定相続人となることが定められています。

参考:「法定相続人」と「遺産を相続できる割合」を初心者でも分かるように解説!

5.まとめ

この記事では「被相続人とは」「相続人とは」という相続の基本知識の解説を行いました。

次のステップでは誰が相続人になるのかといったことを調べる方が多いと思いますので、詳細は本サイト内の別記事である「相続人の範囲がすぐに分かる方法(簡単フローチャート付)」の記事を参考にしてみてください。

相続手続きについて、専門家に丸投げしたい!とりあえず色々聞いてみたい!といった方は、相続専門の税理士法人チェスターが実施している無料相談会に参加してみるのも良いと思います。

また、その他の相続手続きについては、以下の記事も参考にしてみて下さい。

【遺産相続手続き】相続人順位や範囲・税金・相談先を徹底解説
相続税がかかるかもしれない人必見! 相続税申告の手続きを徹底解説

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遺産相続で兄弟のトラブルを避けるには?基礎知識や注意点を解説 https://chester-souzoku.com/inheritance/inheritance-brother-589 Tue, 12 Mar 2024 00:30:19 +0000 http://chester-souzoku.com/?p=589 兄弟の遺産相続について、

「親の面倒を看ていたら他の兄弟より多く遺産を相続する権利があるの?」
「自分達夫婦には子供がいないので、将来自分の兄弟に財産がいってしまうのを避けたい」
「兄弟で相続する場合の遺産の取り分(相続分)を知りたい」

と言った、お悩みをお持ちではないでしょうか。

この記事では、兄弟が関わる遺産相続について知っておきたい基礎知識や注意点などを解説しています。この記事をよく読んで事前に必要な対応策を講じれば、無用な争いを避けることができるかもしれません。

1.兄弟で遺産相続をする際のそれぞれの取り分は?

兄弟で遺産相続をする場合の法律に基づく取り分(法定相続分と言います)については、「親が亡くなって兄弟で相続する場合」と「兄弟が亡くなって他の兄弟で相続する場合」で異なります。それぞれ、順番に解説していきます。

1-1.親が亡くなって兄弟で相続をする場合の取り分

親が亡くなって兄弟で相続をする場合の各相続人の取り分(法定相続分)は、配偶者がいる場合には配偶者が2分の1、残りの2分の1を子供である兄弟で均等に按分することになっています。

配偶者がいない場合には、原則は、子供である兄弟の人数で均等に按分することとなっています。

【ケース1】父が死亡、相続人は母と長男、長女の3名の場合

【ケース1】父が死亡し、相続人が母と長男、長女の3名の場合

親が亡くなって、兄弟で相続をする場合の取り分(法定相続分)については、基本的には「均等」となっています。例えば、長男と長女の2人の兄弟がいる場合には、子供の相続分をこの2人で均等に分割します。
配偶者である母がいる場合には、母が2分の1、長男が4分の1、長女が4分の1となります。

【ケース2】父はすでに他界、今回母が死亡し、相続人は長男、次男、三男の3名の場合

【ケース2】父は既に他界、今回母が死亡し、相続人が長男、次男、三男の3名の場合

相続人が兄弟しかいない場合には、それぞれ同じ身分となりますので、法定相続分は単純に均等に分割した割合となります。子供が3名ならそれぞれ3分の1ずつ、子供が4名ならそれぞれ4分の1ずつといった具合です。

【参考】以前は、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分だった

平成25年に民法改正が行われるまで、兄弟での法定相続分は嫡出子と非嫡出子で異なっていました。非嫡出子とは、婚姻関係にない(籍を入れていない)男女の間に生まれた子供のことを言い、愛人の子供等が該当します。現在では、嫡出子でも非嫡出子でも法定相続分は均等となっていますが、平成25年9月4日以前に発生した相続については、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の法定相続分の2分の1となっていました。

例えば、ケース2で長男と次男が嫡出子で三男が非嫡出子の場合は、長男5分の2、次男5分の2、三男5分の1とされていました。

1-2.兄弟が亡くなって兄弟で相続をする場合の取り分

兄弟が亡くなって兄弟間で相続をする場合の原則的な取り分(法定相続分)は、配偶者がいる場合は配偶者が4分の3で残りの4分の1を兄弟で均等に按分します。配偶者がいない場合には、兄弟間で均等に按分することになっています。

但し、父母のどちらかが違う半血兄弟(異母兄弟や異父兄弟)がいる場合には、半血兄弟の法定相続分は、両親が同じである兄弟の2分の1になります。

【ケース1】兄が被相続人で、相続人が妻と兄弟である弟と妹の3名の場合

【ケース1】兄が死亡し、相続人は妻と、兄弟である弟と妹の2名の場合

子供がおらず、両親や祖父母がすでに他界している者が亡くなった場合の相続人は、配偶者と兄弟姉妹となります。その場合の法定相続分は、配偶者4分の3、兄弟4分の1となります。
なお兄弟姉妹が複数いる場合にはこの4分の1を均等に分配します。よって、当該ケースでは、弟と妹の法定相続分はそれぞれ4分の1の2分の1、つまり8分の1ずつとなります。

このケースでは、配偶者と兄弟が遺産相続について話し合うことから、トラブルが多くなりがちです。予想されるトラブルとその対処法については、この記事後半の「3-4.【トラブル事例4】子がいない夫婦に相続が発生、遺産相続に夫の兄弟が登場」を参照してください。

【ケース2】ケース1で配偶者がいない場合

【ケース2】被相続人に配偶者がおらず、兄弟姉妹のみで遺産相続する場合

結婚しておらず、両親や祖父母がすでに他界している者が亡くなった場合、相続人は兄弟のみとなります。この場合の法定相続分は単純に兄弟で均等に分割することとなります。

よって、相続人である兄弟が2名の場合はそれぞれ2分の1ずつ、3名の場合はそれぞれ3分の1ずつということになります。

【ケース3】ケース2で、異母兄弟・異父兄弟がいる場合

【ケース3】相続人が兄弟姉妹のみで、その中に半血兄弟がいる場合

被相続人である姉は母Aの子供、弟も母Aの子供、父の再婚後に生まれた妹は母Bの子供といったように、片方の親が異なるいわゆる異母兄弟・異父兄弟がいる場合には法定相続分が異なります。
姉と弟は両親とも同じなので、弟のことを全血兄弟と言い、妹は片方の親が異なるので半血兄弟と言います。半血兄弟の法定相続分は全血兄弟の半分となります。
ここでは、全血兄弟である弟は3分の2、半血兄弟である妹は3分の1という割合になります。

なお、親が亡くなって子供が相続する場合については、全血兄弟と半血兄弟がいる場合でも法定相続分は異ならずに均等となります。

2.兄弟が亡くなった場合の相続で気を付けるべきこと

「兄弟が亡くなって他の兄弟で相続する場合」は、「親が亡くなって兄弟で相続する場合」に比べて、気を付けるべきことがたくさんあります。親が亡くなった場合に認められることが、兄弟が亡くなった場合には認められないこともあります。

ここでは、兄弟が亡くなった場合の相続で気を付けるべきことを5つご紹介します。

2-1.兄弟に遺留分はない

遺留分とは、相続人が最低限受け取ることができる遺産の割合であり、通常は、被相続人の財産の2分の1となります(相続人が直系尊属(両親、祖父母)のみの場合は3分の1となります)。
遺留分は被相続人の配偶者、子、直系尊属にのみ認められていて、兄弟姉妹には認められていません。

したがって、相続人が配偶者と兄弟の場合、被相続人が「妻に全ての財産を相続させる」と遺言で指定すれば、兄弟は遺産をもらうことができなくなってしまいます。見方を変えると、残された配偶者と自分の兄弟が遺産相続でもめるトラブルを、遺言書によって防止することができます。
事例は、この記事後半の「3-4.【トラブル事例4】子がいない夫婦に相続発生、遺産相続に夫の兄弟が登場」でご紹介します。

2-2.代襲相続は一代のみ(甥・姪まで)

被相続人より先に相続人が亡くなった場合は、亡くなった相続人の子が代わりに遺産を相続します。これを代襲相続といいます。
親が亡くなって相続人である子もすでに亡くなっている場合は、孫が遺産を相続します。もし、孫も亡くなっている場合は曾孫が相続するというように、再代襲も可能です。

しかし、兄弟姉妹が相続人になる場合の代襲相続は一代のみとなり、再代襲はできません。
相続人である兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、甥・姪は代襲相続ができます。甥・姪もすでに亡くなっている場合は、死亡した甥・姪の子は代襲相続ができません。

甥・姪が先に死亡した場合は再代襲できない

2-3.相続税が2割加算される

被相続人の兄弟姉妹が遺産を相続したときは、相続税が2割加算されます。代襲相続で甥・姪が遺産を相続したときも同様です。

相続税の2割加算は、被相続人の配偶者及び1親等の血族以外の人が遺産を相続して相続税を納めることになった場合に適用されます。
被相続人の遺産は配偶者と子が相続することが多く、兄弟が遺産を相続することは偶然性が高いことから、税額負担の調整が図られています。

相続税額の2割加算の対象となる人(国税庁ホームページより)

(画像引用:国税庁ホームページ

2-4.収集する戸籍の量が多くなる

相続の手続きでは、被相続人と相続人の家族関係を確認するために、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が必要です。

被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合は、さらに被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本も必要になります。両親の戸籍謄本が必要になるのは、父母のどちらかが異なる兄弟姉妹(半血兄弟)がいるかもしれないからです。

戸籍謄本は制度の改正によって作りかえられることがあり、1人分の出生から死亡までの戸籍謄本は何通かに分かれることが通常です。兄弟姉妹が相続人になる場合は、収集する戸籍が数十通にのぼることもあります。

2-5.全員が相続放棄すると相続人不存在になる

兄弟姉妹が相続人になる場合で、相続人の全員が相続放棄すれば相続人不存在となります。
兄弟が相続放棄した場合は、次に相続人になる人がいないからです(相続放棄では代襲相続ができないため、甥・姪に相続権は移りません)。

相続人不存在の場合は、相続財産清算人のもとで遺産を処分していきます。被相続人に借金があれば遺産から返済され、余った遺産があれば国に納められます。
相続人不存在の場合の遺産相続については、「相続人不存在の基礎知識と手続きを徹底解説」を参照してください。

3.兄弟間での遺産トラブル事例とその防止策・解決策

兄弟で遺産相続を行う際によくある代表的なトラブル事例を4つご紹介したいと思います。

3-1.【トラブル事例1】どちらかが親と同居し親の面倒を看ていた場合

【トラブル事例1】どちらかが親と同居し親の面倒を看ていた場合

兄弟のいずれかが、親と同居し介護や経済的な援助をしている場合には、いざ親の相続が発生した場合にトラブルになりがちです。

面倒を看ている方の兄弟は、「自分は生前親の面倒を看ていたし経済的な援助もしてきたので、その分多めに遺産をもらいたい」と主張します。
一方、面倒を看ていない方の兄弟は、「それとこれとは話が別で、遺産は法定相続分に従って分けましょう」と主張します。

このような場合は、遺産をめぐるトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。

≪防止・解決策≫
この場合の有効な解決策の一つは、親が生前に「遺言書」を書いておくことです。自分の面倒を看てくれた子供に多めに財産を渡すような遺言書を作成しておけば良いでしょう。
そうすれば、いくら面倒を看ていない方の兄弟が「もっと欲しい」と主張したところで、遺留分の範囲を侵害していない限りは争いようがないので、遺産トラブルを防止することができます。

遺言書がない場合は、親の面倒を看ていた兄弟が「寄与分」を主張することができます。相続人どうしで話し合うことは難しいため、家庭裁判所で調停を申し立てます。

寄与分とは、亡くなった人の療養看護あるいは事業の手伝いなどをした相続人について、相続分の上乗せが認められる制度です。但し、単に親と同居して扶養していたというように、通常期待される程度の貢献だけでは認められません。詳しくは「寄与分として結局いくらもらえるの?」を参照してください。

3-2.【トラブル事例2】どちらかが親から経済的援助を受けているケース

【トラブル事例2】どちらかが親から経済的援助を受けているケース

トラブル事例1とは逆のケースで、いずれかの兄弟が親から経済的な援助を受けていた場合です。

この場合も、経済的な援助を受けていない側の兄弟が「自分はその分多めに財産が欲しい」と主張すれば、遺産トラブルに発展する可能性があります。

≪防止・解決策≫
この場合の有効な解決策も、トラブル事例1と同様に「遺言書の作成」です。経済的な援助を与えていない子供に多めに財産を渡すように親が遺言書を残しておくことで、トラブルを防止することができるでしょう。

なお、経済的援助の内容によっては「特別受益」が認められ、経済的援助を受けていた兄弟の相続分を少なくすることができます。但し、特別受益の計算方法等には明確な基準がないため、当事者間で話し合いがつかない場合には、弁護士に相談するか家庭裁判所で調停を申し立てることになります。

3-3.【トラブル事例3】分ける遺産がほぼ自宅不動産しかない場合

【トラブル事例3】分ける遺産がほぼ自宅不動産しかない場合

分ける遺産が自宅不動産しかない場合には、「遺産をどのように分けるか」についてトラブルになることが多いです。

例えば、遺産が自宅不動産と現預金500万円だったとします。

自宅不動産の価値が500万円で相続人である兄弟が2人であれば、一方は自宅(500万円)、もう一方は現預金(500万円)というようにきれいに分割することができます。

自宅不動産の価値が3000万円だった場合はどうでしょうか。自宅を相続した方の相続人が差額分を現預金で他の相続人に払うことができればよいですが、そうでない場合には困ったことになります。

売却して現預金で分割することもできますが、例えば一方の相続人が、親の思い出がつまっているから売却したくないといった場合は解決が困難になります。

≪防止・解決策≫
この場合の防止策についても、事例1や2と同様に「遺言書の作成」が有効です。財産を残す側の親が、「自宅は売却して2人で仲良く現預金を分けてください」と指定しておけば揉めなくて済むでしょう。

こういった遺言書がなければ、自宅を相続した相続人が差額分を現預金で払うといった方法や、広い自宅の場合には分筆して敷地を分けて相続するといった方法が考えられます。

3-4.【トラブル事例4】子がいない夫婦に相続が発生、遺産相続に夫の兄弟が登場

【トラブル事例4】子がいない夫婦に相続が発生、遺産相続に夫の兄弟が登場

子がいない夫婦で仮に夫が亡くなって、夫の両親も既に他界している場合は、夫の財産は配偶者である妻と、夫の兄弟が相続することとなります。
民法で定められた法定相続分は、妻が4分の3、夫の兄弟が4分の1です。生前に一切付き合いがなかった夫の兄弟が突然現れ、自分の相続分を主張してくるといったことも起こりえます。

特に分けられる財産が自宅の不動産しかないような場合は、遺産を分け合うために自宅を売却することにもなりかねません。
夫の兄弟も法定相続人のうちの1人である以上、兄弟の協力がなければ夫の預金から生活費を引き出すことすらできなくなってしまいます。

≪防止・解決策≫
この場合の防止策についても、事例1や2、3と同様に「遺言書の作成」が有効です。自分の財産はすべて配偶者に渡すという内容を遺言書に書いておけばよいでしょう。兄弟には遺留分がないので、このような遺言書を残しておくだけでトラブルは回避できます。

適切な遺言書さえあれば、夫の兄弟の協力や許可がなくとも夫の財産である預金からお金を引き出したりすることも問題なくできます。

4.早めに専門家に相談することで円満解決することも

兄弟で遺産相続を行う場合の基礎知識と注意点を述べてきました。

親が亡くなって兄弟で相続する場合と、兄弟が亡くなって残された兄弟で相続する場合では、遺産相続の扱いが異なることに注意が必要です。残された兄弟には遺留分がないほか、相続税が2割加算されるなど、親が亡くなった場合に比べて不利になることがあります。
兄弟どうしの相続では感情のもつれが起こりやすいほか、仲裁する役割の親がいないため、トラブルが長期化する傾向があります。すでにトラブルになってしまっているような場合は、相続問題を扱っている弁護士に相談することがおすすめです。

なお、相談内容に税金が絡む場合等で、トラブルになる前段階で公平中立的な立場で専門家のアドバイスが欲しいといった場合は、相続税専門の税理士に相談すると良いでしょう。

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